スーパーフォーミュラ 第4戦 中嶋一貴がポール・トゥ・ウィンで完勝!
トヨタエンジンがトップ4独占
- コース:ツインリンクもてぎ (4.801km)
- 予選:8月3日(土)晴:ドライ
- 決勝:8月4日(日)雨後曇:セミウェット〜ドライ
2位のアンドレ・ロッテラー(左)、優勝した中嶋一貴(中央左)、
PETRONAS TEAM TOM'S監督の舘信秀(中央右)、
3位のロイック・デュバル(右)が並び、トヨタエンジンが表彰台を独占
スーパーフォーミュラの第4戦が8月3日(土)、4日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで行われた。
今季のスーパーフォーミュラは、開幕戦を欠場したアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が第2戦オートポリス、第3戦富士と2戦連続で勝利を飾り、圧倒的な強さを見せている。
ツインリンクもてぎは比較的タイトなコーナーやヘアピンでストレートが結ばれた、ストップ&ゴーが繰り返されるタイプのサーキットなため、ブレーキやタイヤ、ドライバーへの負担も大きい。
このコースではロッテラーが過去6勝、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)が3勝、ロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が2勝と、外国人ドライバーが強さを見せているが、過去5戦中4戦で表彰台に割って入っている中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)をはじめとする、日本人ドライバーの活躍にも期待がかかった。
予選
3日(土)は好天に恵まれ、夏らしい暑さの下、午後1時5分より予選Q1開始。今大会の予選は、Q1での上位8台が1台ずつのアタックを行う、スペシャルステージ方式で行われた。
30分間のQ1では、各車2回もしくは3回のアタックを行い、セッションが進む毎に次々にタイムが塗り替えられていった。そんな中で速さを見せたのが前戦ポールシッターのデュバル。デュバルはただ一人1分32秒台に入れ、2011年にロッテラーが記録したコースレコードを破る速さでQ1トップタイムをマーク。オリベイラが2番手、中嶋一貴が3番手、ロッテラーは最後のアタックで詰め切れず、それでも5番手。国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が6番手でスペシャルステージ進出を決めた。
松田 次生(Lenovo TEAM IMPUL)が9番手、混雑するコース上でタイムを伸ばせなかった平手 晃平(P.MU/CERUMO・INGING)が10番手。この2台は共に、8番手から僅か100分の1秒差という僅差で及ばず惜しくも敗退。途中トップタイムをマークするなど期待されたルーキーの平川 亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)も前走車に阻まれクリアラップが取れず13番手。安田 裕信(KONDO RACING)が14番手、嵯峨 宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)18番手、リチャード・ブラッドレー(KCMG)19番手という結果となった。
午後1時50分から開始されたスペシャルステージは、Q1の順位の逆順で1台ずつコースイン。3ラップし、計測1ラップ目のタイムでグリッドが争われた。
3番目にコースインした国本が好タイムをマークし、その時点でのトップに躍り出ると、続いてアタックしたロッテラーは国本のタイムを上回れず。6番目アタックの中嶋一貴がQ1では届かなかった1分32秒台に入れ、トップに立つと、続いてアタックのオリベイラはこれに届かず。最後にアタックしたデュバルは、1分32秒台に入れたものの中嶋一貴のタイムを上回ることはできず、中嶋一貴が昨年の第4戦富士以来約1年ぶりとなるポールポジションを獲得。
2番手にデュバル、3番手オリベイラ、4番手国本、5番手ロッテラーと続き、トヨタエンジンが予選トップ5を独占して決勝へ臨むこととなった。
決勝
4日(日)は空を雲が覆い、気温も8月としては低めのコンディション。通常よりも若干遅い午後3時過ぎのスタート直前には雨が降り始めた。しかし、路面は若干濡れたものの、全車スリックタイヤのまま、午後3時15分に52周(約250km)の決勝レースのスタートが切られた。
ポールポジションの中嶋一貴は好スタートで首位をキープ。その後方では、2番手グリッドのデュバルと3番手のオリベイラが2位争いを繰り広げたが、そのバトルの隙を突いて、3列目5番手グリッドからロケットスタートを決めたロッテラーが2位へとポジションアップ。得意とする濡れた路面で、首位の中嶋に迫った。
スタート直後こそ少し濡れていた路面も、すぐに乾いていき、各車ペースアップ。序盤は中嶋一貴にロッテラーが追走していたものの、安定したハイペースで周回を重ねていく中嶋一貴に対し、ロッテラー、デュバルとの間隔は徐々に開いていった。
レースが後半戦に入った30周目には、首位中嶋一貴と2位のロッテラーとの差は5秒まで広がったが、諦めないロッテラーは、周回遅れの処理などで中嶋一貴のペースが落ちるのを見逃さず、その差を詰めていった。
34周目にロッテラー、翌周にデュバル、そしてその翌周に中嶋一貴と4位につけていたオリベイラがピットイン。上位勢はピットでの大きなトラブルもなく、全車ピット作業を終えた時点でも順位は変わらず。
終盤戦に入ると、中嶋一貴を追うロッテラーが猛プッシュを開始。その差は2.5秒程まで詰まったが、中嶋一貴も一歩も引かずタイムアップ。トップを争う2台が周回毎にファステストタイムを塗り替えていく、息詰まるような攻防戦が繰り広げられた。
しかしこの日好調ぶりを見せつけた中嶋一貴は、最後までマージンを守りきり、トップでチェッカー。一度も首位の座を譲ることなく、ポール・トゥ・ウィンで今季初勝利を飾った。2位にロッテラー、3位にデュバル、4位にオリベイラが続き、トヨタエンジンは表彰台のみならずトップ4を独占する速さでもてぎを制覇。国本が6位、平川が7位でフィニッシュし、若手ドライバー2人がポイント獲得を果たした。
-
中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S #1)がポールポジションから
一度も首位を譲ることなく今季初勝利を挙げた -
2位でフィニッシュし、ランキング首位の座を守る
アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S #2)
PETRONAS TEAM TOM'S 1号車 ドライバー 中嶋一貴:
前回の富士のレースペースが奮わず、今朝のフリー走行時も似たような状況だったので、どうなることかと思ったが、レースに向けてセッティングを変え、出来る限りのことをしたのが奏功した。予選でもそうだったのだが、結果的に全てが上手く回ってくれた。スタート前に雨が降ったが、条件は一緒だし、前にいるのがアドバンテージだと思っていた。最後までミスなく走り切り、優勝出来て良かった。
PETRONAS TEAM TOM'S 2号車 ドライバー アンドレ・ロッテラー:
ウォームアップ走行時は全く走行に問題はなく、セッティングを変えずにそのままレースに臨んだ。スタート前に雨が降り始めた時は、自分にとって得意のコンディションなので有利だと思った。スタートで上手くインに入り、4コーナーでロイック(デュバル)をパスすることが出来た。その後は最後までずっとプッシュし続けた。今回は、(中嶋)一貴がとても良い仕事をしたと思う。我々の1−2は、チームとしてもパーフェクトな結果であり、素晴らしいレースウィークとなった。
KYGNUS SUNOCO Team LeMans 8号車 ドライバー ロイック・デュバル:
朝の走行は調子が良くなかったので、燃料の計算をしながら、セッティングを替えてレースに万全の形で臨んだ。レースではスタートは良かったのだが、アウト側を走ったことが失敗で、4コーナーでのアンドレ(ロッテラー)とのバトルの際にインに入られ、パスされてしまった。そのシーンがテレビに映ってなかったのが残念だ。前半のコンディションでのペースは良く、JP(デ・オリベイラ)をパスすることが出来たが、中盤はトムスの2台に全くついていけなかった。日本で参戦しているレースはこのカテゴリーだけなので、残りのレースも頑張って行きたい。
リザルト
決勝 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回 | タイム/差 | 予選 | 予選タイム | エンジン |
1 | 1 | 中嶋 一貴 | PETRONAS TEAM TOM'S | 52 | 1:24'17.917 | 1 | 1'32.839 | TOYOTA RV8K |
2 | 2 | アンドレ・ロッテラー | PETRONAS TEAM TOM'S | 52 | 1.812 | 5 | 1'33.276 | TOYOTA RV8K |
3 | 8 | ロイック・デュバル | KYGNUS SUNOCO Team LeMans | 52 | 7.422 | 2 | 1'32.983 | TOYOTA RV8K |
4 | 19 | ジョアオ・パオロ・ デ・オリベイラ | Lenovo TEAM IMPUL | 52 | 16.057 | 3 | 1'33.038 | TOYOTA RV8K |
5 | 32 | 小暮 卓史 | NAKAJIMA RACING | 52 | 46.21 | 8 | 1'34.039 | Honda HR12E |
6 | 39 | 国本 雄資 | P.MU/CERUMO・INGING | 52 | 55.653 | 4 | 1'33.194 | TOYOTA RV8K |
7 | 7 | 平川 亮 | KYGNUS SUNOCO Team LeMans | 52 | 1'01.708 | 13 | 1'34.042 | TOYOTA RV8K |
8 | 16 | 山本 尚貴 | TEAM無限 | 52 | 1'06.507 | 6 | 1'33.393 | Honda HR12E |
9 | 10 | 塚越 広大 | HP REAL RACING | 52 | 1'07.011 | 11 | 1'33.809 | Honda HR12E |
10 | 31 | 中嶋 大祐 | NAKAJIMA RACING | 52 | 1'08.155 | 16 | 1'34.491 | Honda HR12E |
11 | 11 | 中山 友貴 | HP REAL RACING | 52 | 1'15.358 | 17 | 1'34.516 | Honda HR12E |
12 | 41 | 武藤 英紀 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 52 | 1'16.083 | 15 | 1'34.226 | Honda HR12E |
13 | 20 | 松田 次生 | Lenovo TEAM IMPUL | 52 | 1'19.293 | 9 | 1'33.769 | TOYOTA RV8K |
14 | 18 | リチャード・ブラッドレー | KCMG | 51 | 1Lap | 19 | 1'35.862 | TOYOTA RV8K |
15 | 38 | 平手 晃平 | P.MU/CERUMO・INGING | 51 | 1Lap | 10 | 1'33.773 | TOYOTA RV8K |
16 | 62 | 嵯峨 宏紀 | TOCHIGI Le Beausset Motorsports | 49 | 3Laps | 18 | 1'34.866 | TOYOTA RV8K |
15 | 小林 崇志 | TEAM無限 | 41 | 11Laps | 12 | 1'33.990 | Honda HR12E | |
3 | 安田 裕信 | KONDO RACING | 2 | 50Laps | 14 | 1'34.143 | TOYOTA RV8K | |
40 | 伊沢 拓也 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING | 0 | 52Laps | 7 | 1'33.673 | Honda HR12E | |
ドライバーズポイント | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | ドライバー名 | エンジン | ポイント | ||||
1 | アンドレ・ロッテラー | TOYOTA RV8K | 29 | ||||
2 | ロイック・デュバル | TOYOTA RV8K | 20 | ||||
3 | 山本 尚貴 | Honda HR12E | 18 | ||||
4 | 中嶋 一貴 | TOYOTA RV8K | 16 | ||||
5 | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ | TOYOTA RV8K | 16 | ||||
7 | 松田 次生 | TOYOTA RV8K | 12 | ||||
9 | 平手 晃平 | TOYOTA RV8K | 8 | ||||
10 | 国本 雄資 | TOYOTA RV8K | 5 | ||||
11 | 平川 亮 | TOYOTA RV8K | 5 | ||||
13 | アンドレア・カルダレッリ | TOYOTA RV8K | 2 | ||||