2013年11月10日(日)配信

レース2で中嶋一貴が今季2勝目を挙げ有終の美
雨中の猛追でルーキー平川が自身最高位となる4位


最終戦第2レースを制し今季2勝目を挙げた中嶋一貴
 スーパーフォーミュラの2013年最終戦となる第7戦が11月9日(土)、10日(日)の両日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。
 スーパーフォーミュラの名称になって初年度、そして現行のSF13とRV8Kエンジンによる最後のシーズンも最終戦を迎えた。今季のスーパーフォーミュラはアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)とロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)の2名の外国人ドライバーが圧倒的な強さを見せており、ランキング1−2につけているが、この2名は同じ週末に中国で開催される世界耐久選手権(WEC)に出場するため、今大会を欠場、チャンピオンはライバルの結果次第となる。
 この欠場する2名の代わりに、開幕戦以来のスポット参戦となるジェームス・ロシター(PETRONAS TEAM TOM'S)とアンドレア・カルダレッリ(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が出場した。
 今大会は、今季唯一の2レース制。予選はノックアウト方式だが、Q1の結果でレース1のグリッドが決定、Q2、Q3を経た最終結果がレース2のグリッドとなる。レース1は20周、レース2は28周で行われるが、レース2のみタイヤ交換の義務が課せられる。

予選
 9日(土)空は雲に覆われているもののドライコンディションで午後2時にQ1(20分間)がスタート。松田次生(Lenovo TEAM IMPUL)とジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)のインパル勢が好タイムをマークし上位に躍り出たが、終盤これを国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が上回り、国本はレース1のトヨタエンジン勢では最上位となる2列目4番手グリッドを獲得。松田、オリベイラが5,6番手、逆転ランキング2位を狙う中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が7番手で続いた。
 午後2時半に開始されたQ2(7分間)でも国本がトヨタ勢最上位の3番手につける好走。一方で、今大会スポット参戦のロシターとカルダレッリはQ2へは進出したもののタイムを伸ばすことが出来ず10番手、12番手でQ3進出はならず。Q1で好タイムをマークした松田も、Q2ではそのタイムに届かず11番手、平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)も13番手でQ2敗退となった。
 最終Q3は午後2時47分から7分間で行われた。セッション終盤に各車がアタックを開始したところで、好調だった国本がコースアウト。そのまま車両を停め、セッションは赤旗中断、残り3分での再開となった。
 再開後は最後の1周のみのアタックとなったが、トヨタ勢はタイムを伸ばせず、中断前にトップタイムをマークしたオリベイラが、最後に逆転を許したが前列2番手グリッド。中嶋一貴が5番手、平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)が7番手、国本は8番手でレース2のスタートを切ることとなった。

決勝レース1
 10日(日)は朝から雨となり、レース1(20分)は午前10時20分にウェットコンディションでスタートが切られた。
 グリッド2列目以降は前走車の水煙で前が見えないような状況でのスタートとなる中、ポジション争いの中でコースオフした国本がバランスを崩し、中嶋一貴らと接触。カルダレッリも含む4台がスタート直後の1コーナーでコースオフしレースを終えるという、波乱のスタートとなった。
 上位争いで1台脱落したことで、松田をかわしたオリベイラが3位に浮上。これに松田、9番手から混乱に巻き込まれず抜け出した平手が続いた。
 その後方では、11番手スタートの平川が猛烈な追い上げを見せ、終盤にはファステストタイムをマークしながらポジションアップ。
 上位勢はその後順位の変動は無く、オリベイラが3位表彰台。松田が4位、平手が5位、平手のすぐ後まで迫った平川だったが及ばず6位。7位にロシター、8位に安田 裕信(KONDO RACING)が入りポイント獲得を果たした。
 今レースを終えた時点で、PETRONAS TEAM TOM'Sが2年ぶりとなるチームタイトルを決定した。

決勝レース2
 レース1の後に雨は止んだが、完全には路面は乾いていないという難しい状況で、午後2時半にレース2(28周)がスタート。スリックでスタートしてもタイヤ交換義務があるため、上位勢はウェット、中団グループ以降がスリックでのギャンブルに出た。
 スタートでは濡れているイン側最前列のオリベイラが遅れ、4位に後退。5番手グリッドからスタートで3位へとジャンプアップした中嶋一貴はスプーンコーナーでコースオフ。しかし、この2台は1周目終了と同時にピットへ向かい、スリックタイヤへと交換した。
 翌周以降他車も次々にピットへ向かいタイヤを交換。先にピットインを終えたオリベイラと中嶋は、前にいたライバルをかわし、スリックでスタートしピットに入っていない車両を除く、事実上の首位争いを展開することとなった。
 11、12周目にはスリックスタートの平川とロシターがピットへ。これで首位に立った平手も20周目にピットでタイヤ交換を行い、オリベイラが首位に浮上、中嶋一貴が2位で追った。
 ドライバーズチャンピオン争いは、欠場したロッテラーを追う山本 尚貴(TEAM無限)が両レースポールポジションとレース1優勝で、このレース2は3位以上に入れば逆転という状況。この時点で3位を走る国本はタイヤ交換をせねばならず、山本を追う後続とのバトルに注目が集まった。
 残り6周というところで首位を行くオリベイラが突然ペースダウン。中嶋がこれをかわして首位に立った。ミッショントラブルに見舞われ、ペースの落ちたオリベイラだったが、3位との差は大きく、そのまま逃げ切れるかと思われた。
 しかし、終盤降り始めた雨が、残り2周で急に強くなり、これに足をすくわれたオリベイラがデグナーコーナーでコースアウトを喫し、クラッシュ。
 国本はファイナルラップを前にピットイン。しかし、他の車両も強い雨で非常に滑りやすくなった状況でのファイナルラップ争いとなった。
 各車大きくペースダウンする中、中嶋一貴がトップで逃げ切り、今季2勝目で有終の美を飾った。
 その後方では、滑りやすい路面の中で一人ペースを上げた平川が、カルダレッリをかわし4位に上がると、前を行く山本を猛追。接触寸前のテール・トゥ・ノーズでのバトルを繰り広げた。
 互いに雨に足を取られながらの、ぎりぎりの争いが最終コーナーのシケインまで続いたが、追い上げは僅かに届かず、平川は4位でチェッカー。それでも今季スーパーフォーミュラにデビューしたルーキーの平川にとっては、自身最高位でのフィニッシュ、今大会の2レース共にファステストラップという好結果でシーズンを締めくくることとなった。
 ドライバーズランキングでは、山本が3位に入ったため、ロッテラーは同ポイントながら1大会最多獲得ポイントで及ばず、惜しくもタイトル獲得はならなかった。

レース1 3位:
Lenovo TEAM IMPUL 19号車 ドライバー ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ:

雨のためにスタートから2周目ぐらいまでは視界が非常に悪く、難しいコンディションでとてもタフなレースだった。そんな状況だったので、スタートで松田選手と国本選手をパス出来たのは良かったし、そこからは自分のペースで走れた。しかし、コース前半でオーバーステア気味だったのであれ以上のプッシュは難しく、前にいた中嶋大祐選手を抜くまでには至らなかった。とはいえ、久々に表彰台に立てたことは嬉しく思う。

レース2 優勝:
PETRONAS TEAM TOM'S 1号車 ドライバー 中嶋一貴:

チームメイトであるアンドレ(ロッテラー)のドライバーズチャンピオン獲得が叶わず、チームとして残念な部分もあるが、昨日の予選と今日のレースを戦いきって、僕自身はレース2で勝てたし、チームチャンピオンを名乗る資格は十分にあるのではないかと思う。終盤に争っていたオリベイラ選手がトラブルでいなくなっての勝利ということで、あまり素直に喜べるレース展開ではないが、今週末は昨年同様、非常に厳しい状況だったので、勝てたことは素直に喜びたい。この車両とエンジンでは、鈴鹿では苦戦してきた印象があったが、結果として今回は勝つことが出来たし、来年からの新しいSF14ではそれを払拭できればと思っている。

リザルト

レース1
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
1 16 山本 尚貴 TEAM無限 20 38'52.509 1 1'38.055 Honda HR12E
2 31 中嶋 大祐 NAKAJIMA RACING 20 8.608 2 1'38.320 Honda HR12E
3 19 ジョアオ・パオロ・ デ・オリベイラ Lenovo TEAM IMPUL 20 10.877 6 1'38.496 TOYOTA RV8K
4 20 松田 次生 Lenovo TEAM IMPUL 20 11.958 5 1'38.446 TOYOTA RV8K
5 38 平手 晃平 P.MU/CERUMO・INGING 20 14.906 9 1'38.677 TOYOTA RV8K
6 7 平川 亮 KYGNUS SUNOCO Team LeMans 20 15.596 11 1'38.763 TOYOTA RV8K
7 2 ジェームス・ロシター PETRONAS TEAM TOM'S 20 37.699 13 1'38.936 TOYOTA RV8K
8 3 安田 裕信 KONDO RACING 20 38.69 15 1'39.348 TOYOTA RV8K
9 15 佐藤 琢磨 TEAM無限 20 39.435 10 1'38.690 Honda HR12E
10 40 伊沢 拓也 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 20 45.131 12 1'38.908 Honda HR12E
11 11 中山 友貴 HP REAL RACING 20 46.395 17 1'39.800 Honda HR12E
12 41 武藤 英紀 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 20 47.908 18 1'39.884 Honda HR12E
13 18 リチャード・ブラッドレー KCMG 20 1'04.706 19 1'40.925 TOYOTA RV8K
14 62 嵯峨 宏紀 TOCHIGI Le Beausset Motorsports 20 1'15.172 16 1'39.552 TOYOTA RV8K
32 小暮 卓史 NAKAJIMA RACING 12 8Laps 3 1'38.331 Honda HR12E
39 国本 雄資 P.MU/CERUMO・INGING 0 20Laps 4 1'38.381 TOYOTA RV8K
1 中嶋 一貴 PETRONAS TEAM TOM'S 0 20Laps 7 1'38.598 TOYOTA RV8K
10 塚越 広大 HP REAL RACING 0 20Laps 8 1'38.611 Honda HR12E
8 アンドレア・カルダレッリ KYGNUS SUNOCO Team LeMans 0 20Laps 14 1'38.969 TOYOTA RV8K
レース2
順位No.ドライバーチーム周回タイム/差予選予選タイムエンジン
1 1 中嶋 一貴 PETRONAS TEAM TOM'S 28 50'24.755 5 1'38.399 TOYOTA RV8K
2 32 小暮 卓史 NAKAJIMA RACING 28 20.603 3 1'38.108 Honda HR12E
3 16 山本 尚貴 TEAM無限 28 21.725 1 1'37.774 Honda HR12E
4 7 平川 亮 KYGNUS SUNOCO Team LeMans 28 22.263 13 1'38.583 TOYOTA RV8K
5 8 アンドレア・カルダレッリ KYGNUS SUNOCO Team LeMans 28 23.356 12 1'38.566 TOYOTA RV8K
6 2 ジェームス・ロシター PETRONAS TEAM TOM'S 28 29.13 10 1'38.510 TOYOTA RV8K
7 38 平手 晃平 P.MU/CERUMO・INGING 28 1'10.349 7 1'38.705 TOYOTA RV8K
8 15 佐藤 琢磨 TEAM無限 28 1'12.541 9 1'38.385 Honda HR12E
9 40 伊沢 拓也 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 28 1'16.478 4 1'38.202 Honda HR12E
10 41 武藤 英紀 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 28 1'18.478 18 1'39.884 Honda HR12E
11 31 中嶋 大祐 NAKAJIMA RACING 28 1'22.523 6 1'38.630 Honda HR12E
12 11 中山 友貴 HP REAL RACING 28 1'24.308 17 1'39.800 Honda HR12E
13 3 安田 裕信 KONDO RACING 28 1'41.220 15 1'39.348 TOYOTA RV8K
14 62 嵯峨 宏紀 TOCHIGI Le Beausset Motorsports 27 1Lap 16 1'39.552 TOYOTA RV8K
15 39 国本 雄資 P.MU/CERUMO・INGING 27 1Lap 8 1'46.743 TOYOTA RV8K
16 20 松田 次生 Lenovo TEAM IMPUL 27 1Lap 11 1'38.521 TOYOTA RV8K
17 19 ジョアオ・パオロ・ デ・オリベイラ Lenovo TEAM IMPUL 26 2Laps 2 1'38.067 TOYOTA RV8K
18 18 リチャード・ブラッドレー KCMG 26 2Laps 19 1'40.925 TOYOTA RV8K
10 塚越 広大 HP REAL RACING 23 5Laps 14 1'38.618 Honda HR12E
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1 山本 尚貴 Honda HR12E 37
2 アンドレ・ロッテラー TOYOTA RV8K 37
3 ロイック・デュバル TOYOTA RV8K 31
4 中嶋 一貴 TOYOTA RV8K 24
5 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ TOYOTA RV8K 19
6 松田 次生 TOYOTA RV8K 18.5
9 平手 晃平 TOYOTA RV8K 11
10 国本 雄資 TOYOTA RV8K 10
11 平川 亮 TOYOTA RV8K 9
13 アンドレア・カルダレッリ TOYOTA RV8K 4
14 安田 裕信 TOYOTA RV8K 3.5
16 ジェームス・ロシター TOYOTA RV8K 2.5