ル・マン24時間レース 多くのドラマを残してフィニッシュ
トヨタ・レーシングとTS030 HYBRIDは2位表彰台/4位完走
長く、厳しい24時間の戦いに幕が下りた。11回にわたってセーフティカーが導入され、めまぐるしく変わる天候とコースコンディションに翻弄されながら、トヨタ・レーシングのTS030 HYBRIDは2台共に24時間を走り抜き、アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ組の#8が2位表彰台を獲得。アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴組の#7が4位でチェッカーを受け、2台共に24時間レースの完走を果たした。
レースが終盤に入り、2位を行く#8は、首位の#2アウディにプレッシャーをかけ続け、一方、#7は#3アウディとピットイン毎に順位を入れ替えながら、激しい3位争いを展開していた。しかし、ル・マンは最後の最後にもドラマが待っていた。
残りが1時間20分を切ったとき、突然コース全域で強い雨が降り始めた。この雨に足をすくわれた#7のニコラス・ラピエールが、ポルシェコーナーでコースアウトし、タイヤバリアにクラッシュ。しかし、ニコラス・ラピエールは、ダメージを負った前部カウルを取り外し、満身創痍の姿ながら、自力でピットへと帰還した。
この突然の雨で、他の車両も数多く、スピンやクラッシュを喫し、頻繁にセーフティカーが導入。このセーフティカー走行の間に、トヨタ・レーシングのメカニックが素晴らしい働きを見せ、僅か30分ほどで#7は車両前部の修復を果たし、4位の順位を守ったまま、コースへと復帰した。
レースは残り30分でセーフティカー導入が解除されて再開。2台のTS030 HYBRIDは、24時間のチェッカーを受け、チームクルーと大観衆の待つゴールを走り抜けた。
ル・マン24時間レースでの2位という結果は、トヨタにとってベストタイの記録である。これまでにTS010(1992)、94C-V(1994)とTS020(1999)が2位フィニッシュを果たしている。
木下美明 チーム代表:
今日は本当にチームを誇らしく思う。我々はチームとしての真価を発揮し、この結果を勝ち取った。我々は非常に困難な状況においても、目標を見失うことなく、決して諦めなかった。2台共に完走を果たし、表彰台を獲得出来たというのは非常に満足のいく結果だ。#7がダメージを受けたあと、全員が見せた意志の強さとチームワークを決して忘れないだろう。チームスピリットを見せてくれたことに非常に感激している。全力を尽くしてくれたチームとドライバーに感謝の言葉を述べたい。今日の結果は喜んでいるが、私の夢はル・マンでの勝利であり、来年は更に強くなって戻って来たい。
TS030 HYBRID #7:
(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)
スターティンググリッド:5番手
決勝レース:4位(341周:首位と7周差)、ピットストップ29回、
最速タイム:3分25秒718
22時間経過時点(ニコラス・ラピエール):4位
23時間経過時点(ニコラス・ラピエール):4位
24時間経過時点(ニコラス・ラピエール):4位
決勝レースのドライバーオーダー:ニコラス・ラピエール/アレックス・ブルツ/中嶋一貴/ニコラス・ラピエール/アレックス・ブルツ/中嶋一貴/ニコラス・ラピエール
アレックス・ブルツ #7:
共にル・マン24時間レースに出場したドライバー仲間の一人を失うという非常に悲しいレースではあったが、優勝したアウディの#2を祝福する。ドラマティックなレースで彼らは勝利を挙げた。そして、我々のチームの1台が表彰台に上ったということは非常に嬉しく、誇りに思う。アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミとステファン・サラザンの3名にはおめでとうの言葉を贈りたい。アウディは10年にわたってこのスポーツを、非常に高いレベルで支配して来たということを忘れてはならない。我々がレースを通して、首位に近い位置で戦うことが出来たということは、非常に勇気づけられる結果だ。
ニコラス・ラピエール #7:
ル・マン24時間レースで表彰台を獲得出来、トヨタ・レーシングにとって素晴らしい一日となった。チームが発足してから僅か18ヶ月という若いチームが、勝利に非常に近い位置で戦えたということは誇りに思う。重大なテクニカルトラブルに見舞われることなく2台が完走を果たせたのは、非常に大きな成果だ。残念なから我々のTS030 HYBRID #7は、私のミスで表彰台争いから脱落してしまった。私は3位でフィニッシュするためにプッシュするしかなかったが、それは上手く行かなかった。4位は残念だが、私がTS030 HYBRIDと共にガレージへと戻って来たときのメカニックは素晴らしかった。彼らは確実な作業で私とTS030 HYBRIDを迅速にコースへと戻してくれ、本当に感激した。
中嶋一貴 #7:
アウディの#3とあれほどエキサイティングな3位争いが出来るとは、予選の段階では予想も出来なかった。今の段階から、来年再びここへ戻って来て、優勝を目指して戦うのが待ちきれない。チーム全員の素晴らしい仕事に感謝したい。チームメイトが表彰台を獲得出来たのも良かった。もう一段上に立てなかったのは残念だが。我々のTS030 HYBRIDにとって、結果は理想的なものではなかったものの、完走を果たせたのは良かった。我々はチームとして懸命に働いた。レース終盤のアクシデントでの対応は誇りに思う。チェッカーフラッグを受けるのを見るのは嬉しいが、昨日の悲しいニュースもあり、複雑な気分だ。
TS030 HYBRID #8:
(アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ)
スターティンググリッド:4番手
決勝レース:2位(347周:首位と1周差)、ピットストップ30回、
最速タイム:3分25秒151
22時間経過時点(アンソニー・デビッドソン):2位
23時間経過時点(セバスチャン・ブエミ):2位
24時間経過時点(セバスチャン・ブエミ):2位
決勝レースのドライバーオーダー:アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/ステファン・サラザン/アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ
アンソニー・デビッドソン #8:
今回のレースは本当にタフなコンディションだった。しかし、チームとTS030 HYBRIDは完璧だった。全員が協力し合い、トヨタ・レーシングは素晴らしい成果を成し遂げた。私は常々、我々がやるべきことを全てやれば、少なくとも表彰台には登れると言っていた。ル・マンに到着したばかりの頃は、まだTS030 HYBRIDから十分な速さを引き出せてはいなかったが、我々は諦めず努力を続けたし、また、レースでは何が起こるか分からないということも知っていた。不幸にもスタート直後のアクシデントは悲しい結果となってしまった。個人的には、昨年我が身に起こったアクシデントから復帰し、ついにル・マンの表彰台に上ることが出来たというのは本当に驚くべきことだ。ずっと夢見ていた結果であり、素晴らしい気分だ。
ステファン・サラザン #8:
チームにとっては素晴らしい結果で、将来に向けて希望が持てた。我々は昨年から猛烈に仕事をしてきた。チームも総力を挙げて頑張った。メカニックは200%の力を出し切った。ル・マンの週末、TS030HYBRIDは最高の調子だったし、まったく問題は出なかった。我々は全力を出し切ったが、アウディの方がほんの少し速かったということだろう。簡単にミスを犯すトリッキーなコンディションで、セバスチャン・ブエミもアンソニー・デビッドソンも素晴らしい仕事をしてくれた。多くのクラッシュがあり、土曜日には我々の仲間のアラン・シモンセンが亡くなる事故があったことを忘れてはいけない。しかし、今はレースを振り返って、ただ嬉しい。チーム、メカニック、エンジニア、みんなに対して最高の気分だ。そんなチームの一員であることに誇りを持っている。私はなんて幸運な男なのだろう。
セバスチャン・ブエミ #8:
今年のル・マンは厳しいコンディションに見舞われて、難しいレースだった。ミスは時と場所を選ばず襲って来るが、私のチームメイトは素晴らしいドライブ、素晴らしい仕事をしてくれた。これまで何度も耐久レースのテストを繰り返して来たが、それで十分かどうか常に心配だった。それがル・マンに来てまったくトラブルなしでレースを2位で終えることが出来た。チーム全員の努力の結果だ。優勝を狙っていた我々にとれば2位は不満が残る結果だが、昨年から素晴らしい進歩を確認出来たので、来年はアウディももう少し心配しなければいけないことになるはずだ。
レースが終盤に入り、2位を行く#8は、首位の#2アウディにプレッシャーをかけ続け、一方、#7は#3アウディとピットイン毎に順位を入れ替えながら、激しい3位争いを展開していた。しかし、ル・マンは最後の最後にもドラマが待っていた。
残りが1時間20分を切ったとき、突然コース全域で強い雨が降り始めた。この雨に足をすくわれた#7のニコラス・ラピエールが、ポルシェコーナーでコースアウトし、タイヤバリアにクラッシュ。しかし、ニコラス・ラピエールは、ダメージを負った前部カウルを取り外し、満身創痍の姿ながら、自力でピットへと帰還した。
この突然の雨で、他の車両も数多く、スピンやクラッシュを喫し、頻繁にセーフティカーが導入。このセーフティカー走行の間に、トヨタ・レーシングのメカニックが素晴らしい働きを見せ、僅か30分ほどで#7は車両前部の修復を果たし、4位の順位を守ったまま、コースへと復帰した。
レースは残り30分でセーフティカー導入が解除されて再開。2台のTS030 HYBRIDは、24時間のチェッカーを受け、チームクルーと大観衆の待つゴールを走り抜けた。
ル・マン24時間レースでの2位という結果は、トヨタにとってベストタイの記録である。これまでにTS010(1992)、94C-V(1994)とTS020(1999)が2位フィニッシュを果たしている。
木下美明 チーム代表:
今日は本当にチームを誇らしく思う。我々はチームとしての真価を発揮し、この結果を勝ち取った。我々は非常に困難な状況においても、目標を見失うことなく、決して諦めなかった。2台共に完走を果たし、表彰台を獲得出来たというのは非常に満足のいく結果だ。#7がダメージを受けたあと、全員が見せた意志の強さとチームワークを決して忘れないだろう。チームスピリットを見せてくれたことに非常に感激している。全力を尽くしてくれたチームとドライバーに感謝の言葉を述べたい。今日の結果は喜んでいるが、私の夢はル・マンでの勝利であり、来年は更に強くなって戻って来たい。
TS030 HYBRID #7:
(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)
スターティンググリッド:5番手
決勝レース:4位(341周:首位と7周差)、ピットストップ29回、
最速タイム:3分25秒718
22時間経過時点(ニコラス・ラピエール):4位
23時間経過時点(ニコラス・ラピエール):4位
24時間経過時点(ニコラス・ラピエール):4位
決勝レースのドライバーオーダー:ニコラス・ラピエール/アレックス・ブルツ/中嶋一貴/ニコラス・ラピエール/アレックス・ブルツ/中嶋一貴/ニコラス・ラピエール
アレックス・ブルツ #7:
共にル・マン24時間レースに出場したドライバー仲間の一人を失うという非常に悲しいレースではあったが、優勝したアウディの#2を祝福する。ドラマティックなレースで彼らは勝利を挙げた。そして、我々のチームの1台が表彰台に上ったということは非常に嬉しく、誇りに思う。アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミとステファン・サラザンの3名にはおめでとうの言葉を贈りたい。アウディは10年にわたってこのスポーツを、非常に高いレベルで支配して来たということを忘れてはならない。我々がレースを通して、首位に近い位置で戦うことが出来たということは、非常に勇気づけられる結果だ。
ニコラス・ラピエール #7:
ル・マン24時間レースで表彰台を獲得出来、トヨタ・レーシングにとって素晴らしい一日となった。チームが発足してから僅か18ヶ月という若いチームが、勝利に非常に近い位置で戦えたということは誇りに思う。重大なテクニカルトラブルに見舞われることなく2台が完走を果たせたのは、非常に大きな成果だ。残念なから我々のTS030 HYBRID #7は、私のミスで表彰台争いから脱落してしまった。私は3位でフィニッシュするためにプッシュするしかなかったが、それは上手く行かなかった。4位は残念だが、私がTS030 HYBRIDと共にガレージへと戻って来たときのメカニックは素晴らしかった。彼らは確実な作業で私とTS030 HYBRIDを迅速にコースへと戻してくれ、本当に感激した。
中嶋一貴 #7:
アウディの#3とあれほどエキサイティングな3位争いが出来るとは、予選の段階では予想も出来なかった。今の段階から、来年再びここへ戻って来て、優勝を目指して戦うのが待ちきれない。チーム全員の素晴らしい仕事に感謝したい。チームメイトが表彰台を獲得出来たのも良かった。もう一段上に立てなかったのは残念だが。我々のTS030 HYBRIDにとって、結果は理想的なものではなかったものの、完走を果たせたのは良かった。我々はチームとして懸命に働いた。レース終盤のアクシデントでの対応は誇りに思う。チェッカーフラッグを受けるのを見るのは嬉しいが、昨日の悲しいニュースもあり、複雑な気分だ。
TS030 HYBRID #8:
(アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/セバスチャン・ブエミ)
スターティンググリッド:4番手
決勝レース:2位(347周:首位と1周差)、ピットストップ30回、
最速タイム:3分25秒151
22時間経過時点(アンソニー・デビッドソン):2位
23時間経過時点(セバスチャン・ブエミ):2位
24時間経過時点(セバスチャン・ブエミ):2位
決勝レースのドライバーオーダー:アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/ステファン・サラザン/アンソニー・デビッドソン/ステファン・サラザン/アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ
アンソニー・デビッドソン #8:
今回のレースは本当にタフなコンディションだった。しかし、チームとTS030 HYBRIDは完璧だった。全員が協力し合い、トヨタ・レーシングは素晴らしい成果を成し遂げた。私は常々、我々がやるべきことを全てやれば、少なくとも表彰台には登れると言っていた。ル・マンに到着したばかりの頃は、まだTS030 HYBRIDから十分な速さを引き出せてはいなかったが、我々は諦めず努力を続けたし、また、レースでは何が起こるか分からないということも知っていた。不幸にもスタート直後のアクシデントは悲しい結果となってしまった。個人的には、昨年我が身に起こったアクシデントから復帰し、ついにル・マンの表彰台に上ることが出来たというのは本当に驚くべきことだ。ずっと夢見ていた結果であり、素晴らしい気分だ。
ステファン・サラザン #8:
チームにとっては素晴らしい結果で、将来に向けて希望が持てた。我々は昨年から猛烈に仕事をしてきた。チームも総力を挙げて頑張った。メカニックは200%の力を出し切った。ル・マンの週末、TS030HYBRIDは最高の調子だったし、まったく問題は出なかった。我々は全力を出し切ったが、アウディの方がほんの少し速かったということだろう。簡単にミスを犯すトリッキーなコンディションで、セバスチャン・ブエミもアンソニー・デビッドソンも素晴らしい仕事をしてくれた。多くのクラッシュがあり、土曜日には我々の仲間のアラン・シモンセンが亡くなる事故があったことを忘れてはいけない。しかし、今はレースを振り返って、ただ嬉しい。チーム、メカニック、エンジニア、みんなに対して最高の気分だ。そんなチームの一員であることに誇りを持っている。私はなんて幸運な男なのだろう。
セバスチャン・ブエミ #8:
今年のル・マンは厳しいコンディションに見舞われて、難しいレースだった。ミスは時と場所を選ばず襲って来るが、私のチームメイトは素晴らしいドライブ、素晴らしい仕事をしてくれた。これまで何度も耐久レースのテストを繰り返して来たが、それで十分かどうか常に心配だった。それがル・マンに来てまったくトラブルなしでレースを2位で終えることが出来た。チーム全員の努力の結果だ。優勝を狙っていた我々にとれば2位は不満が残る結果だが、昨年から素晴らしい進歩を確認出来たので、来年はアウディももう少し心配しなければいけないことになるはずだ。