WEC富士6時間レースは悪天候に翻弄され終了
トヨタ・レーシングのTS030 HYBRID #7が今季初優勝
10月20日(日)に行われたWEC(世界耐久選手権)第6戦 富士6時間レースは、強い雨の影響による数回に及ぶ赤旗中断を経て、16周で終了となった。トヨタ・レーシングはTS030 HYBRID #7が結果として、直接的な競争のなかったこのレースで、表彰台の頂点に立った。
悪天候にもかかわらず集まった2万人余りのファンの前で披露された走行は、3回の短いセーフティカーランのみとなってしまったが、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエール、中嶋一貴のTS030 HYBRID #7はフラストレーションの溜まる一日の勝者となった。
一方、予選で最前列2番手グリッドを獲得したTS030 HYBRID #8のアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンは、スタートを前にした数周のコースインラップの後、スターティンググリッドへと向かう直前に給油のためにピットインしたが、ピット出口の封鎖に僅か5秒、間に合わず、ピットロードから最後尾スタートを余儀なくされた。
セーフティカーの先導で開始されたレースは、僅か8周で赤旗中断となり、レースカーはストレート上で雨足が弱まるまで待機。
2時間の中断の後、再びセーフティカーランで始まったレースで、#7をドライブする中嶋は、ポールポジションの#1アウディがピットインしたことで首位に立った。そして#8のデビッドソンもこのタイミングで給油のためにピットイン。
この2回目の22分間にわたるセーフティカーランのあと、更に強くなった雨のために、再び赤旗が振られ、この時点で中嶋の#7が首位、ポジションアップのチャンスがなかったデビッドソンの#8は27位であった。
午後3時35分に3度目のレース再開となったが、僅か1周のセーフティカーランで赤旗が振られ、レースは規定の半分の時間に満たないまま終了となることが決定された。これにより、ブルツとラピエール、中嶋のTS030 HYBRID #7が2年連続で富士6時間レースを制することとなった。
FIA世界選手権の次戦は、最終戦を前にした第7戦上海6時間レースで、11月9日(土)に決勝が行われる。このレースに、トヨタ・レーシングは2台のTS030 HYBRIDを参戦させることを決定した。
ただし、#7のドライバー、中嶋一貴は同日に行われるスーパーフォーミュラへの出場が決まっているために欠席、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエールの2人での挑戦になる。#8は富士6時間レース同様にアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンの3人がドライブする。
最終戦バーレーン6時間レースへの参戦に関しては、追ってリリースする。
TS030 HYBRID #7:
(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)
決勝レース:1位(16周)
アレックス・ブルツ #7:
今日はちょっと早めのクリスマスがやって来たようで嬉しい。本当は我々全員が素晴らしいレースを見せるために、ここ富士スピードウェイにやって来たのだが、悪天候のためそれは叶わなかった。観客の皆さんには申し訳ないが、レースの中断は賢明な決断だったと思う。もしレースを敢行していたら事故が起こり怪我人も出ていたかもしれなかった。それほどの悪天候だった。もちろんレースはやりたかったが、自然には勝てないのでやむを得ない。
ニコラス・ラピエール #7:
観客の皆さんが一番落胆したはずで、そのことを考えると大変に辛い。ただ、我々が理想としたような方法ではなかったものの、勝利は勝利であり、それは受け入れる。今週末、我々は好調なペースで、ミスも冒さなかった。次戦の上海ではよりクリアな勝利を挙げるように頑張る。とはいえ、今日、優勝トロフィを手に入れられたことは満更でもない。
中嶋一貴 #7:
一番心が痛いのは、レースを見に富士スピードウェイに来てくれた観客のことを考える時だ。今日の勝利を本当に勝利と呼べるのかどうか疑わしいが、1位という結果はチームにとって重要な意味を持つ。天候を考えるとレース中断の決定は正しい。競技長は正しい判断をしたと思う。雨足は想像を絶するもので、特に2度目の赤旗直前の降雨は酷かった。セーフティカーの後ろを走っていても、運転は困難だった。スピードが遅かったので簡単に運転しているように見えたかもしれないが、水しぶきとアクアプレーニングは酷かった。その状況でWECのようにスピード差の大きなレースカーが混走するレースを行うのは危険過ぎた。レース中断は正しい決断だった。
TS030 HYBRID #8:
(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/ステファン・サラザン)
決勝レース:27位(15周)
アンソニー・デビッドソン #8:
奇妙な日だった。痛快なレースを見に来た観客にとれば残念な結果だろう。しかし、こうしたレースでも仲間が表彰台の中央に立つのを見るのは気持ちが良い。我々にとっては、スターティンググリッドに付けなかったのが痛恨の至りだ。ピットレーンに留め置かれたTS030 HYBRIDの中で、赤ランプが消えるのを待つのは不満以外の何物でもない。その時点で早くも1周遅れになってしまった。それがレースだと言えばそれまでだが。
セバスチャン・ブエミ #8:
ちょっと複雑な気持ちだ。どういう方法であれ、勝利は勝利であり、トヨタにとって母国レースでの勝利だ。しかし、我々8号車にしてみれば、勝てたレースをみすみす捨てることになって本当に残念だ。でも、いつまでも悩んでいても仕方ない。先を見るしかない。好天でのパフォーマンスを考えれば、これから先が楽しみだ。
ステファン・サラザン #8:
今日はトヨタの目標だった優勝を果たせた。レースそのものを考えれば残念だが、我々のTS030 HYBRIDは素晴らしかったので、晴れた天候の下で通常のレースが行われても勝てていたと思う。練習走行、公式予選で示すことが出来た、アウディに劣らぬ高性能振りを見せられなかった点が残念と言えば残念だ。とはいえ、トヨタが勝利したことは事実だ。
木下美明 チーム代表:
今日は富士スピードウェイに来場した観客の皆さんに大変申し訳なく思う。大勢の観客が全てのチームに対して温かい応援を送ってくれたのに、悪天候のために本当のレースを見せることが出来なかった。観客の皆さんは本当に辛抱強く、雨の中で何時間も待ち続けてくれた。我々は好天の下でトヨタとアウディの白熱したレースを見て欲しかった。今は、次戦の上海で本当の勝利を得ることに集中している。今日の結果でアウディが今年のマニュファクチャラーズ選手権を制したが、彼らにはおめでとうと言いたい。彼らは非常に高度なレースを展開して来た。その結果としての勝利を心から祝福する。
悪天候にもかかわらず集まった2万人余りのファンの前で披露された走行は、3回の短いセーフティカーランのみとなってしまったが、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエール、中嶋一貴のTS030 HYBRID #7はフラストレーションの溜まる一日の勝者となった。
一方、予選で最前列2番手グリッドを獲得したTS030 HYBRID #8のアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンは、スタートを前にした数周のコースインラップの後、スターティンググリッドへと向かう直前に給油のためにピットインしたが、ピット出口の封鎖に僅か5秒、間に合わず、ピットロードから最後尾スタートを余儀なくされた。
セーフティカーの先導で開始されたレースは、僅か8周で赤旗中断となり、レースカーはストレート上で雨足が弱まるまで待機。
2時間の中断の後、再びセーフティカーランで始まったレースで、#7をドライブする中嶋は、ポールポジションの#1アウディがピットインしたことで首位に立った。そして#8のデビッドソンもこのタイミングで給油のためにピットイン。
この2回目の22分間にわたるセーフティカーランのあと、更に強くなった雨のために、再び赤旗が振られ、この時点で中嶋の#7が首位、ポジションアップのチャンスがなかったデビッドソンの#8は27位であった。
午後3時35分に3度目のレース再開となったが、僅か1周のセーフティカーランで赤旗が振られ、レースは規定の半分の時間に満たないまま終了となることが決定された。これにより、ブルツとラピエール、中嶋のTS030 HYBRID #7が2年連続で富士6時間レースを制することとなった。
FIA世界選手権の次戦は、最終戦を前にした第7戦上海6時間レースで、11月9日(土)に決勝が行われる。このレースに、トヨタ・レーシングは2台のTS030 HYBRIDを参戦させることを決定した。
ただし、#7のドライバー、中嶋一貴は同日に行われるスーパーフォーミュラへの出場が決まっているために欠席、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエールの2人での挑戦になる。#8は富士6時間レース同様にアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、ステファン・サラザンの3人がドライブする。
最終戦バーレーン6時間レースへの参戦に関しては、追ってリリースする。
TS030 HYBRID #7:
(アレックス・ブルツ/ニコラス・ラピエール/中嶋一貴)
決勝レース:1位(16周)
アレックス・ブルツ #7:
今日はちょっと早めのクリスマスがやって来たようで嬉しい。本当は我々全員が素晴らしいレースを見せるために、ここ富士スピードウェイにやって来たのだが、悪天候のためそれは叶わなかった。観客の皆さんには申し訳ないが、レースの中断は賢明な決断だったと思う。もしレースを敢行していたら事故が起こり怪我人も出ていたかもしれなかった。それほどの悪天候だった。もちろんレースはやりたかったが、自然には勝てないのでやむを得ない。
ニコラス・ラピエール #7:
観客の皆さんが一番落胆したはずで、そのことを考えると大変に辛い。ただ、我々が理想としたような方法ではなかったものの、勝利は勝利であり、それは受け入れる。今週末、我々は好調なペースで、ミスも冒さなかった。次戦の上海ではよりクリアな勝利を挙げるように頑張る。とはいえ、今日、優勝トロフィを手に入れられたことは満更でもない。
中嶋一貴 #7:
一番心が痛いのは、レースを見に富士スピードウェイに来てくれた観客のことを考える時だ。今日の勝利を本当に勝利と呼べるのかどうか疑わしいが、1位という結果はチームにとって重要な意味を持つ。天候を考えるとレース中断の決定は正しい。競技長は正しい判断をしたと思う。雨足は想像を絶するもので、特に2度目の赤旗直前の降雨は酷かった。セーフティカーの後ろを走っていても、運転は困難だった。スピードが遅かったので簡単に運転しているように見えたかもしれないが、水しぶきとアクアプレーニングは酷かった。その状況でWECのようにスピード差の大きなレースカーが混走するレースを行うのは危険過ぎた。レース中断は正しい決断だった。
TS030 HYBRID #8:
(アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ/ステファン・サラザン)
決勝レース:27位(15周)
アンソニー・デビッドソン #8:
奇妙な日だった。痛快なレースを見に来た観客にとれば残念な結果だろう。しかし、こうしたレースでも仲間が表彰台の中央に立つのを見るのは気持ちが良い。我々にとっては、スターティンググリッドに付けなかったのが痛恨の至りだ。ピットレーンに留め置かれたTS030 HYBRIDの中で、赤ランプが消えるのを待つのは不満以外の何物でもない。その時点で早くも1周遅れになってしまった。それがレースだと言えばそれまでだが。
セバスチャン・ブエミ #8:
ちょっと複雑な気持ちだ。どういう方法であれ、勝利は勝利であり、トヨタにとって母国レースでの勝利だ。しかし、我々8号車にしてみれば、勝てたレースをみすみす捨てることになって本当に残念だ。でも、いつまでも悩んでいても仕方ない。先を見るしかない。好天でのパフォーマンスを考えれば、これから先が楽しみだ。
ステファン・サラザン #8:
今日はトヨタの目標だった優勝を果たせた。レースそのものを考えれば残念だが、我々のTS030 HYBRIDは素晴らしかったので、晴れた天候の下で通常のレースが行われても勝てていたと思う。練習走行、公式予選で示すことが出来た、アウディに劣らぬ高性能振りを見せられなかった点が残念と言えば残念だ。とはいえ、トヨタが勝利したことは事実だ。
木下美明 チーム代表:
今日は富士スピードウェイに来場した観客の皆さんに大変申し訳なく思う。大勢の観客が全てのチームに対して温かい応援を送ってくれたのに、悪天候のために本当のレースを見せることが出来なかった。観客の皆さんは本当に辛抱強く、雨の中で何時間も待ち続けてくれた。我々は好天の下でトヨタとアウディの白熱したレースを見て欲しかった。今は、次戦の上海で本当の勝利を得ることに集中している。今日の結果でアウディが今年のマニュファクチャラーズ選手権を制したが、彼らにはおめでとうと言いたい。彼らは非常に高度なレースを展開して来た。その結果としての勝利を心から祝福する。