2015年6月 1日(月)配信

TOYOTA GAZOO Racing、
ル・マン・テストデーで高い信頼性を確認

TOYOTA GAZOO Racingは、5月31日(日)にフランスのル・マン サルト・サーキットで行われたル・マン・テストデーで、24時間レースに向けて非常に有益で建設的なテストを行いました。公式テストは、6月13〜14日に行われる決勝レースを前に、普段は公道として使用されている1周13.629kmのフルコースを走ることの出来る唯一の機会です。TOYOTA GAZOO Racingは2台のTS040 HYBRIDの最終的な調整を行うべく、8時間に及んだテストを無駄なく走り切りました。

昨年のル・マン24時間レースの予選でポールポジションを獲得した中嶋一貴は、第2戦スパ6時間レースで負った怪我から回復し、2014年の世界チャンピオンであるセバスチャン・ブエミとアンソニー・デビッドソンと共にTS040 HYBRID #1号車のステアリングを握りました。中嶋は回復次第ではレースへの参戦が困難になる可能性があったために、リザーブドライバーの小林可夢偉がテストで4周の計時ラップを走り、不測の事態に備えました。

TS040 HYBRID #2号車をシェアするのは、2人のル・マン参戦回数を合わせるとなんと21回にもなるアレックス・ブルツとステファン・サラザンの2人。彼らに、LMP1で初めてサルト・サーキットを走るマイク・コンウェイが加わってテストをこなしました。

この日、チームに与えられた最大の課題は、ル・マン仕様に改良されたロードラッグ・パッケージの性能を確かめることで、そのために幾つものセットアップを試し、タイヤの性能を確認しました。断続的に降り続いた雨のためにコースの状態は歓迎するものではありませんでしたが、ミシュラン・ハイブリッド・インターミディエイトタイヤ及びレインタイヤの性能確認が可能になり、また低グリップのコースにおけるTS040 HYBRIDのセットアップを進めることが出来ました。午後のセッションは濡れたコースで始まりましたが、途中でコースが乾き、再度雨が来る前にスリックタイヤでの走行も実現出来ました。

2台のTS040 HYBRIDは7人のドライバーが操り、合計173周、2500km超を走破しました。テストの結果は7番手、8番手の順位でしたが、チームは確かな進歩を確認し、6月13日にスタートする第83回ル・マン24時間レースに向けて士気を高めています。
TOYOTA GAZOO Racingへの皆様の熱い応援をよろしくお願いいたします。

佐藤俊男 チーム代表:
ル・マン24時間レースに向けての準備をするために、チームには大変な仕事をしてもらい感謝しています。今日はコース状況を頻繁に変える天候がテストでの大きな要素となりました。 このような状況下でもクルマやタイヤの状態を確認、性能を引き出せたことは収穫です。24時間レースでは、必ず今日のような状態が訪れるために、その対処法を確認するという意味でも有益でした。 一方、ドライでの走行が少なかったため、今日の順位から結論付けることは難しいですが、レースに向けて多くのデータを収集出来ました。これを活かしドライでの速さを十分に引き出して行きます。

TS040 HYBRID #1号車
(アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、小林可夢偉)
午前:8位 3分27秒071 45周
午後:7位 3分25秒321 47周

アンソニー・デビッドソン:
天候変化が激しく難しい日でした。ドライ路面で走ることが出来なかったのは残念でしたが、スリックタイヤでは余り走れなかったでしょう。レースではドライでたっぷりと走りたいです。ラップタイムを見ると、我々はやることが山ほどありそうで、昨年とは違った状況ですが、謙虚に出来ることをやり遂げたいと思っています。

セバスチャン・ブエミ:
午前中のセッションは変わりやすい天候で、ドライ、ウエット、酷い雨、実に色々な状況を体験出来ました。我々の今日の仕事はデータを収集することでした。今日はテストデーであり、我々に大切なのは決勝レースで可能な限りの走りをすることです。

中嶋一貴:
またTS040 HYBRIDの運転席に戻って来ることが出来て最高の気分です。事故の後の怪我はもう完治し、問題は全くありません。アクシデント後初めてのドライブでしたが、以前と同じレベルで走ることが出来たことに満足しています。午後のセッションは不安定な天候のために手を焼きましたが、天候が回復して来たところでタイヤ交換のタイミングを確認することが出来て大きな収穫になりました。スリックタイヤは少々の濡れにも十分な性能を発揮してくれました。また、午後のドライなコースでは、昨年ポールポジションを獲得した時と同じ確実な感覚を掴むことが出来ました。

小林可夢偉:
ル・マンのコースで初めてLMP1カーを運転しましたが、最高ですね。天候の変化が激しかったですが、私はドライな路面を走ることが出来て良かったです。このコースにおけるLMP1の実力は私の想像を遙かに超えていました。以前私がル・マンを走ったのはGTカーで、その時は後ろからプロトタイプが襲いかかって来るので、ミラーばかり見ていました。今日はその反対でGTカーを抜いたのですが、ル・マンで速く走るには遅いクルマをいかに上手く抜き去るかが重要な要素で、その経験が出来ました。

TS040 HYBRID #2号車
(アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
午前:7位 3分26秒929 42周
午後:8位 3分30秒334 39周

アレックス・ブルツ:
私はドライを数ラップしただけですが、2台のTS040 HYBRIDでタイヤテストを共有し、パフォーマンスのデータと、ドライ、ハイブリッド・インターミディエイト、ウエットタイヤ相互の交換タイミングのデータを収集しました。目まぐるしく変化するル・マンの天候のもとでは、得られるものはそれほど多くは望めませんが、今はレースウィークに焦点を絞り、ベストを尽くせるよう準備します。

ステファン・サラザン:
終日刻々と天気が変わるため、全てのタイヤスペックを試せた興味深い一日でした。私達は、TS040 HYBRIDの多くの特性を改善しましたが、ラップタイムで足りないところがある以上、まだ改良の余地を見つけなければなりません。まだ1週間あるので、パッケージの最適解を見つけられると思います。ル・マンはとても長く、複雑なレースであることも分かっていますから、そこへの挑戦は、速く信頼性の高いものでなければいけません。レースウィークではどうなるか、見ものです。

マイク・コンウェイ:
今日の天候は大荒れでした。すべてのコーナーが異なった状況で、乾いていると思ったら次のコーナーは濡れていて、とにかくトリッキーでした。私がこのコースをLMP1で走ったのは今日が初めてです。2年前にLMP2で走った時の記憶が甦り、周回ごとに慣れて行きました。LMP2と走行ラインは同じですが、コーナーへのアプローチは非常に短時間で減速距離も短いです。LMP2カーを抜く度に、「あれは2年前の自分だ」と考えました。でも、LMP1がどれだけ速く抜いていったかはすっかり忘れてしまっていました。

メディア向け"ミート・ザ・チーム"を6月10日(水)午前11時〜12時、6月11日(木)午後4時半〜5時、パドック内のトヨタ・チームテントで行います。恒例の記者会見は6月12日(金)正午からParc du Raccordement のトヨタ・ホスピタリティで行います。メディア関係者は是非ご参加下さい。

[ 追記 ]
ル・マン24時間レースの主催者であるACO(西部自動車クラブ)は、5月31日、木下美明前トヨタ・レーシングチーム代表に「スピリット・オブ・ル・マントロフィー」を授与し、「耐久レース・エリート」の名簿(*注)にその名を加えることを発表しました。 木下前チーム代表のル・マンとの付き合いは、TS010の担当エンジニアであった1990年代にまで遡ります。また最近では、2012年にトヨタがル・マン復帰を果たしたことをきっかけとして日本の自動車メーカーのWEC参戦復帰が始まりましたが、トヨタのチーム代表として尽力し、2014年にマニュファクチャラー、ドライバー両WEC年間チャンピオンを獲得するまでに至りました。トヨタモータースポーツへの多大なる貢献と、ル・マンスピリットトロフィー受賞を称えつつ、今後は佐藤俊男(現TMG社長)が、チーム代表の任を引き継いでいきます。

佐藤俊男、チーム代表:
今日こうして我々は、第83回ル・マン24時間レースの準備を進めていますが、木下前チーム代表の努力無しに、ここにはいなかったろうと思います。彼の耐久レースに対する情熱、特にル・マンに対する想いには、常々感銘を受けていました。今回の栄誉は、まさにそれにふさわしいもので、このような栄誉をくださったACOに感謝します。チームの誰もが、彼を心から祝福し、レースウィークにここル・マンでまた会えることを楽しみにしています。

(*注) この名簿には、ウォルフガング・ウルリッヒ博士(アウディチーム代表)や、フランスを代表するスポーツカーレースドライバーであるジェラルド・ラルース氏、アンリ・ペスカロロ氏も含まれています。ル・マン24時間レースの精神の象徴となる参戦者に与えられるもので、2001年から続いています。