2015年11月 1日(日)配信

TOYOTA GAZOO Racing、
雨に翻弄された上海6時間レースを5位、6位で終える

TOYOTA GAZOO Racingは、2015年FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦・上海6時間レースを、TS040 HYBRID#2号車が5位、#1号車が6位で終えました。しかし、昨年のチャンピオン・チームにとって今年の上海6時間レースは忘れ去りたいくらい残念なレースでした。コース上のデブリ(パーツの破片など異物)を拾った結果スローパンクチャーに見舞われたり、コース上を流れる大量の雨水に足を取られてスピンしたりと、不運とアクシデントに翻弄されました。

午前の早い時間から激しい雨に見舞われた上海国際サーキットは、午前11時のスタートから4周に渡ってセーフティカーに導かれてのレースになりました。アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴の組む#1号車はデビッドソンのドライブでレースをスタート、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ組の#2号車はコンウェイがスタートドライバーを務めました。

スタートから90分ほど経過した頃、デビッドソンが2度目のスティントを始めてすぐに#1号車がスローパンクチャーに見舞われピットイン、中嶋が代わってレースに復帰しました。その間にブルツが2度目のスティントを担当する#2号車が5位に上がりました。

レースが2時間を迎えた頃、雨脚は激しさを増し、多くのクルマがスピン、コース外へ飛び出す場面が見られました。追い抜き禁止を意味するフルコースイエローが解除されてすぐ、ブルツがスピンしたために#1号車が5位に返り咲きましたが、その後今度は中嶋が最終コーナーでスピン。その際、グラベルに足を取られて抜け出すのに時間を要し、再び6位でレースに復帰しました。

後半に入ると、コースは乾き始めたためブエミのドライブする#1号車は最初にレインタイヤからハイブリッド・インターミディエイトタイヤに交換しましたが、依然としてコースは滑りやすく、タイムロスは避けられませんでした。

レースが残り2時間を切るとコースは次第に乾いて来て、#2号車もインターミディエイトに交換、ブルツからサラザンに交代しました。余談ですが、サラザンは明日40歳の誕生日を迎えます。

レースが最後の1時間に差し掛かる頃には、コースの走行ラインは完全に乾き、2台のTS040 HYBRIDは共にスリックタイヤに交換、トップを走るライバル達に遜色のないラップタイムを刻み始めました。しかし、結局ライバル達とのギャップは埋めることが出来ないまま、サラザンが#2号車を5位に、ブエミが#1号車を6位でチェッカーフラッグを受けました。しかし、優勝したポルシェからはそれぞれ4周、5周の差を付けられていました。

今日のレースの結果、ポルシェは最終戦を待たずに2015年のマニュファクチャラーズタイトルを獲得しました。TOYOTA GAZOO Racingは彼らの素晴らしい成績を称えたいと思います。

2015年のWECは残り1戦。11月21日(土)に中東のバーレーンで行われるバーレーン6時間を残すのみになりました。TOYOTA GAZOO Racingは最後まで気を抜くことなく戦います。それが2016年の戦いに結びつくからです。

TOYOTA GAZOO Racingへの皆様の熱い応援をよろしくお願いいたします。

佐藤俊男 チーム代表:
今日は残念な結果に終わりました。ウェット路面を味方に付けることは出来ませんでした。TS040 HYBRID #1号車がスローパンクチャーに見舞われるという不運も含めて、少々トラブルもありました。天候への対応は誰にも難しいものであり、プロの仕事をしてくれたチームメンバーには感謝したいと思います。全力を振り絞って戦いましたが、残念ながら5位と6位が今の我々に成し得る最善の結果でした。今回、マニュファクチャラーズタイトルを獲得したポルシェには祝福の意を表したいと思います。今年、チャンピオンナンバーの#1を身にまとい戦ったことを我々は大変誇りに思いましたし、それが手元を離れるのは寂しい気持ちで一杯ですが、ポルシェはチャンピオンに相応しい、素晴らしい戦い振りでした。来年は我々もより素晴らしい戦いで彼らに臨んで行きます。

TS040 HYBRID #1号車
(アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴)
決勝レース: 6位 164周、ピットストップ7回、グリッド:5番手
最高ラップタイム:1分48秒685

アンソニー・デビッドソン:
私がレースのスタートドライバーを務めたのは初めてで、しばし楽しめました。私はアウディに前をふさがれたので何とか抜きましたが、昨年の記憶を思い起こすようでした。あらゆる条件下で我々は出来る限りプッシュしました。残念ながら雨がまた降り出した時、一貴がグラベルにつかまってしまいましたが、ベストを目指して走り続けることが出来ました。ピットストップを迅速にこなしてくれたメカニックの素晴らしい仕事振りには、感謝しています。

セバスチャン・ブエミ:
今日は少し残念な気持ちです。すっきりとしたレースが出来れば、もう少しだけ良い結果だったと思います。それもレースですが、コンディションは非常にトリッキーでした。我々はインターミディエイトタイヤに賭け、ほぼ報われていました。今日の良いところとしては、30秒間、ファステストラップを保持したことでしょう。次のレースでもプッシュし続けます。

中嶋一貴:
特に私には難しい日でした。土砂降りになり始めた時、私はミスをしてグラベルにつかまり、長くタイムロスをしました。チームの仲間、特にいつも通りに良い仕事をしてくれたメカニックの誰もに申し訳ない気持ちで一杯です。そのあとは成し得る限りのベストを尽くして終われましたが、このミスから学び、次のレースでは、更に攻めて行きたいと思います。

TS040 HYBRID #2号車
(アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
決勝レース: 5位 165周、ピットストップ6回、グリッド:6番手
最高ラップタイム:1分49秒374

アレックス・ブルツ:
非常に困難なレースでした。いつもウェットコンディションは好きなのですが、今日はいくつかのトラブルを抱え、非常にドライブし難い状況でした。修行を強いられた一日でした。

ステファン・サラザン:
今日のレースで特に語るべき事はありません。我々は自分たちの出来るベストを尽くし、5位でフィニッシュしました。チームメイトがいくつかのトラブルに見舞われたこともあり、少なくともチーム間の争いには勝つことが出来ました。今日はあらゆるコンディションを経験出来たことで、有意義な情報も得られました。

マイク・コンウェイ:
スタート時のコンディションは非常にトリッキーで、視界も悪かったのですが、それは全てのライバルに同様です。私はタイヤが正しく動作する領域を維持することに苦しみました。しかし、私のスティントの終盤に向けて徐々に上手く行ったようで、ラップタイムも向上しました。路面コンディションは常に変わり、非常に難しい戦いでした。5位という結果はスタートよりもひとつのポジションアップですが、少なくともチャンピオンシップで#1号車との差を少し詰めることは出来ました。