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リチャード・クレーガン(チーム・マネージャー)は、問題が生じたらすぐに対応できるよう、常に現状に気を配っておかなければならない。
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●スタッフの体調管理も重要
チーム・マネージャーとして、すべてのスタッフと備品を管理するのがリチャード・クレーガンの任務だ。チームは80人以上のスタッフを擁するため悪夢のような仕事だが、やはりここでも事前準備の成否がすべてを決する。チームスタッフには全員、サーキットの説明や日々のスケジュールを詳細に記したハンドブックが渡される。
「チームスタッフは当然自分たちの仕事を熟知しているよ。だが、それを敢えて文字にしてハンドブックを作成することで、いついかなる時もスタッフ全員がチーム全体の状況を把握することができるようになる。あまりに多くの要素が交錯するF1では、できる限り潜在的な問題の根を摘み取っておくことがとても重要だよ」とクレーガンは言う。
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ピットウォール用モニターが設置される。クルマの走行中、常時、重要なデータを中継するために準備が整えられる。
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あらゆるパーツのための場所。すべてが所定の位置にあれば、重要なパーツを探すために時間を無駄にせず済む。
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このチームポリシーは、スタッフの健康を維持する上でも非常に役立つ。彼らはサーキットを離れてもジムで運動をするよう指示されており、またチームには常にドクターが同行している。クレーガンは続ける。
「チームスタッフ全員が体力的、精神的に充実している必要があるんだ。これが病気を予防する一番の方法さ。時差、ホテルでの宿泊、飛行機による移動、家族と離れて暮らすストレスなど、スタッフの体調は転戦を重ねるにつれ変調をきたす恐れがある。こうした問題の発生を最小限に抑えられるよう、できる限りの努力をしているんだ。多くのスタッフが密接に働いているF1のような現場では、この点を見過ごすことは絶対にできないよ。もしひとりでもレース当日に体調を崩すスタッフがいれば、それはチーム全体のパフォーマンスに少なからず影響を与えてしまうからね」
●新鮮な食材がチームを支える
食事と水分補給はチーム全体に求められる重要なポイントだ。この方面の責務を負うのがフィリップ・ヨッフム率いるシェフたちだ。
「毎日、チームスタッフとゲスト用にランチとディナーを用意しています。可能な限りその土地の食材を使い、郷土色ある料理がメニューに並ぶよう心がけています。例えばバーレーンでは、ハタという魚を使った伝統的な魚料理を用意しました」とヨッフムは言う。
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パナソニック・トヨタ・レーシングのスタッフとゲストたちの胃袋は、5人のケイタリングチームによって常に満たされている。
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「信頼できる地元の店を見つけることは必ずしも容易なことではありません。しかし新鮮な食材を使った料理を出すことで、チームの雰囲気は和みます。幸いチームスタッフは料理にそれほど口うるさくありません。美味しく、十分な量が用意されていれば誰も文句は言いません。特にチキンカレーとウィンナー・シュニッツェル(仔牛のカツレツ)が人気メニューですね。あとアイスクリームも人気があります。特に熱い国でのレースでは、スタッフ全員で1000箱のアイスをたいらげることもあるくらいですよ」
アイス以外にも、100kgの野菜とフルーツ、80kgの肉、20kgのパスタに15リットルのトマトソースがGPの期間中に消費されることもあるとか。もちろん大量の水やドリンクが飲まれることは言うまでもない。パナソニック・トヨタ・レーシングの燃料はいろんなカタチで供給されているのである。
※この記事は「One Aim誌」に掲載されたものを再構成しました。
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