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![]() マレーシアGP レースの舞台裏
2006年4月8日(日)●マレーシアGPは灼熱地獄 F1ドライバーの場合、スポーツカーレースやツーリングカーレースのドライバーが着用しているような“クールスーツ”を使用することはできません。 ![]() パスカル・バセロンによると「そういったスーツにはかなりの大きさの冷却水タンクが必要になる」のだそうです。そして「シングルシーターのレースカーの中にそれを設置するのは現実的ではない」そうで、対策としては「ドライバーのドリンク装置を頻繁にチェックする」程度で「私たちにできるのはそれだけ」なのだとか。 通常、ドライバーは1レースにつき3~4キロ相当の水分を失います。そのため、脱水症状を避けるためにも電解質で満たされたドリンクが不可欠なのです。「マレーシアではコースの路面が粗いためタイヤの摩耗がかなり問題になるが……」とバセロン。「同時に、ドライバーが十分な水分を補給できない場合、“ドライバーの摩耗”もパフォーマンスに影響を及ぼす」のだとか。そして、「その過酷な状況に対処するには、日常のトレーニングで鍛えておくほかない」のです。 ●ライバルチーム周辺で見つけたニュース 「今まで走ったなかで一番キツいレースだった。レース序盤の数周はフェラーリよりも燃料が重い状態で彼らを抑え込まなければならなかったんだからね。ふぅ……、本当にタフだった」 2005年の日本GP以来、初めての勝利を手にしたマクラーレンですが、表彰式の際には表彰台の下にハミルトンの父、アンソニー氏の姿もありました。イギリス国歌の演奏が始まるとすぐにアンソニー氏はこみ上げてくる感情を隠すようにサングラスで目を覆いました。 「ルイスはずっと前からイギリス国歌が流れるF1の表彰台に立ちたいと願っていた。これほどの暑さと厳しいレースの後にそれを実現できた今、ルイスがどれほどの気持ちなのか私にはわかったよ。その瞬間、私も同じ気持ちになったんだ!」とアンソニー氏は喜びいっぱいの笑顔を見せていました。 ●レースリポート ヤルノ及びチームメートのラルフ・シューマッハーは今回もそろって予選でトップ10入りし、開幕戦のメルボルンと同じく8番グリッドと9番グリッドからのスタートとなりました。ただし残念ながらスタートは予定通りにはいかず、ヤルノとラルフのふたりは共に順位を下げてしまいました。 ![]() 「自分の後ろからスタートしたルノーのフィジケラの後ろになってしまった」とヤルノ。「第1スティントでは彼よりも速かったものの、追い抜きは難しかった。今回はここマレーシアでタフなレースになったね。暑さもずっと厳しかったけれど、でも2ポイント獲得して午後のレースを終えられたのはよかった。これは私自身とこの週末の間ミスをひとつも冒さなかったチームへのご褒美だ」 ラルフは1周目で順位を4つ落としたばかりか、19周目に1回目のピットストップを行った後にスローパンクチャー(タイヤの空気がゆっくりと抜けていく症状)に見舞われてしまったため、さらなる妥協を強いられることになります。このため9周後に再度ピットインせざるをえず、またその時点でレース周回が半分となっていたため、チームは最後まで走りきれるだけの燃料をラルフのマシンに補給することになりました。 「1コーナーではヤルノを避けなければならなかった。その後はパンクに見舞われてしまい、その時点でポイント獲得のチャンスは消えてしまった」とラルフ。「今日のセパンは何のご褒美も得られない暑くて長い午後になってしまった。2回目のピットストップで燃料を重くしてからはドライビングが容易でなかったし、それがクルマのバランスにも影響した。ただし先週のここでのテストの後、明らかに進歩できたことは評価できるし、ヤルノはさらにポイントを稼いでわれわれのポテンシャルを証明してくれた」 レースはワールドチャンピオンのフェルナンド・アロンソがボーダフォン・マクラーレン・メルセデスに移籍以来、初めての勝利を手にしました。2位は彼のチームメートで、F1デビューから2戦連続で表彰台を獲得したルイス・ハミルトン。メルボルンで優勝したフェラーリのキミ・ライコネンが3位、4位はBMWザウバーのニック・ハイドフェルド、5位はフェラーリのフェリペ・マッサ、6位はルノーのジャンカルロ・フィジケラ、そして7位のヤルノに続き8位で最後のポイントを手にしたのはルノーのF1ルーキー、ヘイッキ・コバライネンとなりました。 |