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トルコGP レースの舞台裏
2007年8月27日(月)

●夏休みが終わって仕事を再開!

F1恒例の夏休み期間中、チームのスタッフのほとんどが短いながらも忙しいシーズンのさなかに一息つけるひとときを過ごしました。そんななか、ラルフとヤルノの2人はこの機会を最大限に利用して、家族と一緒にリラックスする時間に充てたようです(シーズン中にこうしてくつろげる機会はなかなかありません)。

夏休みについてヤルノはこう話してくれました。「夏休み期間中は特に何かをやったわけじゃないよ。仕事でいつも飛び回っているから、旅行には行きたくなかった。イタリアのペスカラにいる両親を訪れて、家族と一緒に過ごしたんだけどこれはとてもよかったね。夏の陽射しを十分に楽しんでリラックスできたし、いっぽうで私は体力を維持するために主にサイクリングなどのスポーツをしていた」

その後トルコGPが近づくと、ドライバーはふたりともいつもの仕事に戻り、自分の任務にしっかりと集中して取り組んでいました。

●キングフィッシャーのパーティー

ラルフ・シューマッハーとヤルノ・トゥルーリ、それにチーム代表の山科忠と社長のジョン・ハウエットは今回の土曜日の夜、喧噪で賑わうイスタンブール市内で開催されたキングフィッシャー航空の豪華なパーティーにゲストとして招待されました。トルコではいつも交通の便が問題になるのですが(と言っても、予選でのラルフのことを言っているわけではありません!)、今回のパーティーはボスポラス海峡に浮かぶ豪華ヨットの船上で開催されたため、最悪の状況は免れることができました。なお、この豪華ヨット“インディアン・エンプレス”はキングフィッシャー航空のビジェイ・マリャ氏が所有している船です。

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース
トルコGPを終えた今、タイトル争いはますます熾烈になってきました。マクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンが84ポイントでトップですが、それを79ポイントで追うのは彼のチームメートで2年連続チャンピオンのフェルナンド・アロンソです。レースでのアロンソはスタート直後にBMWザウバーの2台にかわされ6位に落ちてしまいました。「その後の自分のレースはとにかく待ちの姿勢だった」とアロンソ。「1回目のピットストップでニック・ハイドフェルドをかわした頃にはトップから30秒ほど遅れていたし、あとはもう奇跡を待つしかなかった。そしてそれがハミルトンに起こったんだ」

タイトルを狙うハミルトンの勢いは今回のトルコGPですこしばかりそがれてしまったかもしれません。3位を走行していた彼は、右フロントタイヤにトラブルを抱えてしまい、その結果、最後はニック・ハイドフェルドの後ろの5位でフィニッシュとなりました。

6位にはルノーのヘイッキ・コバライネンが入り、続いてウィリアムズ・トヨタのニコ・ロズベルグ、そして最後の1ポイントはポーランド人ドライバーのロバート・クビサが獲得しました。

近年では最も激しい争いとなっている今年のタイトル争いですが、この結果、4人のドライバーがそれぞれ3勝ずつ分けあう形となりました。優勝したフェラーリのフェリペ・マッサはこれで69ポイントとなり、チームメートのキミ・ライコネンをわずか1ポイント上回っています。

●レースリポート

イスタンブールパークで開催された今回、予選でヤルノは9番グリッドを確保し、レースではポイントを狙えるのではと思われていました。ところが、彼のレースはスタート直後の1コーナーで起こった混乱のため、妥協を余儀なくされてしまいます。ヤルノのスタートは良好でしたが、その後の1コーナーで不運にもルノーのジャンカルロ・フィジケラからマシン後部に追突されてしまい、最後尾まで順位を落としてしまったのです。

「われわれにはいい結果を手にできるチャンスがあったのだが、これもレースだ。スタートはよかったが不幸にして1コーナーでフィジケラが私のマシン後部に追突し、そのせいで順位を大きく落としてしまった」とヤルノ。「レースではこういったことが起こることもある。クルマのバランスはレースの間ずっと良好だっただけに残念だ。クルマの調子が良かったのは、ファクトリーで仕事するみんなががんばってくれたお陰だ」

その後ヤルノは前を走るクルマを猛追し、6周のうちに5台を追い越します。そのうちホンダのジェンソン・バトンを追い越したときの動きは特に見事でした。しかし最終的には16位で完走するにとどまります。

いっぽうのラルフのほうは、土曜日の予選で第1セッションを突破できずスターティンググリッドが後方の16番手となってしまったため、レースでも苦しい展開が予想されました。1回ストップ戦略を選んでいた彼は、お陰で順位を着実に上げていくことができましたが、特にレース序盤は燃料が重く、苦しい展開となります。

「この結果に特に満足はしていない」とラルフ。「われわれには速さがあったと思うが、レース序盤はあまり攻めた走りができなかった。硬いほうのタイヤを履いたときのクルマの調子が理想的ではなかったから、タイムをちょっと失ってしまった。レース終盤に向けて私のラップタイムは上向いていったが、これはとても良かったと思う。予選の結果がもっと良ければ、ポイントを獲れていただろうね」

レースはポールポジションからスタートしたフェラーリのフェリペ・マッサが優勝。キミ・ライコネンも2位に入り、フェラーリが1-2フィニッシュを達成しました。3位はマクラーレン・メルセデスのフェルナンド・アロンソでした。

チーム代表の山科忠は次のようにコメントしています。「今週末のわれわれはもっといい結果を予想していた。ファクトリーのスタッフがかなりがんばってくれたお陰で新しいパーツを準備できていたからね。実際、滑り出しはかなり良好だっただけに、いい順位でレースを終えられてしかるべきだった。だがわれわれのクルマはレースのほとんどの時間を渋滞の中で過ごすこととなった。今回は暑い天候となったが、ドライバーはふたりとも最後までレースを走り切ってくれた。今回われわれがうれしく思えるのはこの点だけだ。われわれは、この週末の間に何が起こったのかをこれから分析しなければならない。次のモンツァでのレースに向けて、われわれはさらにプッシュし、よりよい結果を手にできればと願っている」