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イタリアGP レースの舞台裏
2007年9月10日(月)

●唯一無二のモンツァサーキット

モンツァナショナルサーキットは、イギリスのブルックランズ、アメリカのインディアナポリス・モータースピードウェイに次ぐ、世界で3番目に古い常設サーキットです。モンツァは1922に建造され、当初はバンク(傾斜)がついたカーブが有名でした。その後、ドライバーからあまりにもクルマに対する負荷が大きく、危険であるという声が上がり、このバンクは使用されなくなりました。その後のモンツァはスリップストリームを使ったバトルで名を馳せるようになり、1971年のイタリアGPではピーター・ゲシンがわずか0.01秒差でロニー・ピーターソンを抑えて優勝。これはF1史上最も僅差の勝利です。

現在のモンツァはF1カレンダーの中で唯一の高速かつ低ダウンフォースのサーキットとなっています。これについてシャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャー、パスカル・バセロンは「モンツァではここでしか使わない1回限りのセットアップが必要になる。結果としていつもとは違うクルマになる」とコメント。さらに「たとえばハイダウンフォースのモナコではバルセロナ用のセットアップで走っても何とか生き残ることができるだろうが、モンツァを専用のセットアップを施していないクルマで走れば、まるで自分が止まっているかのように、他車にどんどん追い抜かれてしまう」と語っています。

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース

ドライバーズタイトル争いでトップに立つルイス・ハミルトンとそれを追う2年連続チャンピオンのフェルナンド・アロンソとの差はわずか3ポイントに縮まりました。アロンソはイタリアGPでの勝利により、今シーズン4勝目をあげた最初のドライバーとなりました。今回3位でフィニッシュしたキミ・ライコネンはトップまで18ポイント差、いっぽうキミのチームメート、フェリペ・マッサはメカニカルトラブルでリタイヤに終わり、その差は23ポイントに広がっています。BMWザウバーの2台は、予選トップ10入りの記録を今回も維持し、レースでもポイントを獲得。これでコンストラクターズ選手権3位の地位をさらに強固なものとしました。また、ニコ・ロズベルグが3ポイント獲得したAT&Tウィリアムズは、4位を争うINGルノーとの差を13ポイントに縮めています。パナソニック・トヨタ・レーシングはレッドブルに対する4ポイントの差を縮めるべく、残り4戦に挑みます。その緒戦ベルギーGPは、スパ・フランコルシャンを舞台に9月16日に決勝レースが行われます。

●レースリポート
イタリアGPではパナソニック・トヨタ・レーシングのヤルノ・トゥルーリが11位、チームメートのラルフ・シューマッハーが15位でフィニッシュしました。

レースは中団グループの各車が僅差で争う展開となり、ヤルノとポイントを獲得したジェンソン・バトンとの差はわずか5秒でした。また9位がマーク・ウェバー、10位がルーベンス・バリチェロでしたが、バトンを含めいずれもスターティンググリッドはヤルノより後ろ。彼らはスタート直後に順位を上げるとヤルノより第1スティントを長めに走り、唯一のピットストップを終えた時点で、ヤルノの前に出る形となりました。

いっぽうラルフのレースは、昨日までのフリー走行と予選の難しい状況の影響もあり、大きな順位アップはかないませんでした。モンツァの高速カーブを通過する際のクルマのフィーリングにしっくりきていなかったラルフは、予選を18位で終えていました。

「いいスタートを切ることができなかった。前後のクルマとの争いは非常に僅差だった」とヤルノ。「クルマの速さ自体は良好だったが、スタートであれだけ順位を落としてしまったのは不運だった。渋滞の中では本来の速さを十分に発揮することができず、また、バトンの第1スティントは私より3周長く、さらにはウェバーとバリチェロも1周長めだった。そのため残念ながら私にできることは何もなかった。ただしここイタリアでのレースはいつだって私にとって特別なものだし、雰囲気もいい。来週末はスパに向かい、いつも通りポイント獲得を目指す」

いっぽうのラルフはこうコメントしています。「18番グリッドからのスタートだっただけに、非常にタフな午後になることはわかっていた。ヤルノと同じく、第1スティントを長めに走った各車に順位を明け渡す形となった。とにかくこれもひとつの経験として捉えて、次のスパでのレースに集中していきたい。あのコースはいつも楽しめるしね」

今回の優勝は、2年連続チャンピオンのフェルナンド・アロンソ。マクラーレンのチームメート、ルイス・ハミルトンを破っての勝利でした。ハミルトンは、1回ストップ作戦を選択していたフェラーリのキミ・ライコネンをレース終盤に追い抜いて2位を獲得。4位と5位にはBMWザウバーのニック・ハイドフェルドとロバート・クビサが続き、6位は最後に5位をクビサに明け渡したニコ・ロズベルグ(それでも今シーズンの彼の自己最高タイ)、ヘイッキ・コバライネンが今年3度目の7位、そして8位にジェンソン・バトンが入り、自身とホンダに今季2ポイント目をもたらしました。