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ベルギーGP レースの舞台裏
2007年9月17日(月)

●“すごい賞品”を手にしたのは?

スパでは土曜日の夜に、トヨタのモータースポーツ活動50周年を祝うパーティーが開催されました。これにF1の商業権を持つバーニー・エクレストンが出席し、トヨタのモータースポーツに対する精力的な姿勢を称えるスピーチを行いました。

また、トヨタ自動車ヨーロッパの社長、荒島正がこの日の大勢のゲストを歓迎するスピーチを行いました。ラルフ・シューマッハー、ヤルノ・トゥルーリ、フランク・モンタニーのドライバー3名と、チーム代表の山科忠、TMG社長のジョン・ハウェット、チームマネージャーのリチャード・クレーガンも出席しました。

またトヨタの豊かなモータースポーツの歴史を彩る有名な方々、元チーム代表のオベ・アンダーソン、ビヨルン・ワルデガルド、マーティン・ブランドルも顔を見せてくれました。彼らはいずれもドライバーとしてトヨタのクルマをドライブし、これまでのモータースポーツ界におけるトヨタの成功に大きく貢献してくれた方々です。3人は、ジョン・ハウェット、リチャード・クレーガンと一緒にステージに上がり、トヨタのモータースポーツ活動との関わりについていろいろな思いを語ってくれました。

この夜はトヨタのプリウスを3年間所有できる権利がもらえるクイズが実施され、オベ・アンダーソンがその素晴らしい商品の当選者を選ぶ役目を担当。

そして見事賞品を獲得したのは、イギリス人ジャーナリスト、ジョー・サワードさんでした。46歳の彼はなんとわずか2年前に運転免許証を取得したばかりとのこと! 喜びいっぱいのジョーさんは「とても皮肉な感じだね」と笑いを振り撒いていました。「クルマを買ったのは20年前だけど、でも運転免許のテストに落ちてしまって、そのクルマはアパートに一緒に住んでいた友人に譲ってしまったんだ。この前2台目のクルマを買ったばかりで、登録したのは1週間前だから、たぶん来週には実物を見れると思っているんだけどね!

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース

ベルギーGPの結果を受けて、ドライバーズタイトル争いはいっそう激しさを増してきました。今回優勝したキミ・ライコネンは、現在タイトル争いトップを走るルイス・ハミルトンとの差を13ポイントに縮めましたし、いっぽうで2位のフェルナンド・アロンソはその差をわずか2ポイントとしています。

残りわずか3戦(日本、中国、ブラジル)となったこの段階になっても、現在ランキング4位のフェリペ・マッサにすらタイトル獲得の可能性が残されているわけですから、この争いが最後の最後までもつれるのは間違いなさそうです。現在、ハミルトンが97ポイント、アロンソが95ポイント、ライコネンが84ポイント、マッサが77ポイント。なお、ヤルノ・トゥルーリは7ポイントで13位、ラルフ・シューマッハーは5ポイントで14位です。

ただしコンストラクターズ選手権のほうは、フェラーリがBMWザウバーに対し71ポイントの大量リードを築いています。

●レースリポート
スパで開催されたFIA F1世界選手権第14戦ベルギーGPでパナソニック・トヨタ・レーシングのラルフ・シューマッハーはトップ10フィニッシュを達成。チームメートのヤルノ・トゥルーリは予選で今回もトップ10入りを果たし、レースではラルフのすぐ後ろの11位でフィニッシュしました。

ヤルノは1周目を終えた時点で渋滞につかまってしまい、F1カレンダーの中で最長を誇るこの追い越しの難しいサーキットでは、そのポテンシャルを十分に発揮することができませんでした。ヤルノは14周目に1回目のピットストップを行い、ブリヂストンのソフトタイヤへと履き替えます。この結果、前が開けた状態でドライブすることができるようになりました。

ラルフはヤルノと異なる戦略を取り、1回ストップを選択。20周目までコース上にとどまります。唯一のタイヤ交換を終えたラルフは、他車が2回目のタイヤ交換をする間に少しずつ順位を上げていき、レース終盤にはポイント圏内に迫る走りを見せました。しかし、最後は4秒差で8位に届かずポイント獲得はなりませんでした。

「レースはまずまずだった。自分のベストを尽くしたし、クルマからも最大限の力を引き出せたと思う。だが残念なことに、それでもポイントを獲得には十分でなかった」とラルフ。「その点から考えると、フラストレーションも感じる。なぜなら、われわれはクルマを限界まで攻めて走らせたし、それにフリー走行の競争力を考えるともっといい結果がついてくるものと思われていたからだ。金曜日はいけそうな感じがしたが、最後はライバルに遅れをとってしまった。これからその原因を確認する必要がある」

いっぽうのヤルノはこう続けました。「レースではもっといけると思っていた。渋滞にはまっていないときの私のクルマのパフォーマンスを見れば、われわれはかなり競争力が高かったことがわかるはずだし、それにクルマのバランスにも満足していた。これからは富士スピードウェイで開催される日本GPに集中していく。できれば母国レースではもっといい結果を手にできればと思う。今週のテストではさらにクルマを改善できるよう懸命に仕事をこなし、そして日本GPではいつもの通りベストを尽くすつもりだ」

予選ではフェラーリがフロントローを独占。レースではポールポジションからスタートしたキミ・ライコネンがわずかの差でチームメートのフェリペ・マッサを抑え、今季4勝目を達成しました。フィンランド出身の彼がスパで優勝したのはこれで3度目となります。続いてフェルナンド・アロンソが3位となり、この日4位でフィニッシュしてタイトル争いのトップを維持したルイス・ハミルトンとの差を2ポイントに縮めています。

ニコ・ロズベルグはトヨタエンジンを搭載しているウィリアムズを6位に導き、今回もポイントを獲得。彼の前の5位はBMWザウバーのニック・ハイドフェルドで、レッドブルのマーク・ウェバーが7位、ルノーのヘイッキ・コバライネンが8位となり、結果、今回は合計6チームのドライバーがポイントを獲得しました。

チーム代表の山科忠は、「チームの次の目標は、ホームコースとなる富士スピードウェイでのポイント圏内復帰」と強調し、次のように語りました。「われわれはこのレースでもっといい結果を予想していただけに残念な気持ちだ。今週末の滑り出しのパフォーマンスが非常によかっただけに、われわれは楽観的に考えていた。言うまでもなく、これからわれわれは日本GPに向けて準備を進めていかなければならない。今は富士スピードウェイでの一戦に集中している。日本GPでの目標は上位フィニッシュしてしっかりした結果を手にすることだ」。