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日本GP レースの舞台裏
2007年10月1日(月)

●再び舞台は富士スピードウェイへ

富士スピードウェイでのF1開催は1977年以来初めてのことだけに、各ドライバーはレースの週末の初めから改修後のレイアウトのチェックにとても積極的でした。結果、ドライバーからの反応は総じて良好なものでした。

パナソニック・トヨタ・レーシングのヤルノ・トゥルーリは「サーキットの状態は良好で、施設も素晴らしい。ここでは全てが良く見えるね」とコメント。またラルフは「感銘を受けた」と述べ「コースのレイアウトがいいしドライブしがいがある。最後にちょっと変ったセクションもあるしね」と続けました。

ワールドチャンピオンのフェルナンド・アロンソはドライバーにとって難しく挑戦しがいのあるコースレイアウトを賞賛していました。「難しいコースだが、我々ドライバーは難しいサーキットが好きなんだ」とアロンソ。一方でフェラーリのキミ・ライコネンは「難度が高いが、ドライブしていて楽しいコース」とコメントしています。

レース終了後、パナソニック・トヨタ・レーシングのチーム代表(兼TMG会長)の山科忠は、改修後のサーキットへの賛辞を惜しみませんでした。「30年ぶりにF1のレースを開催することができた富士スピードウェイに対し“おめでとう”という気持ちです。ここの施設は素晴らしいですし、レースの運営も良かったです。ただし我々パナソニック・トヨタ・レーシングは今回のレースで望んでいたような結果を手にできず残念でした」。

日本GPが富士スピードウェイに復帰したことを祝うため、パナソニック・トヨタ・レーシングは“スシ・バフェット”を開催。チームの全員と世界中のメディア関係者が招待され、日本の最高の食を楽しみました。参加した人は誰もがこの日の寿司と夕べのひとときは素晴らしかったと語っていました。

●ライバルチーム周辺で見つけたニュース

日本GPで今シーズン4勝目を達成したルイス・ハミルトンは、これでF1史上初の新人ドライバーによるタイトル獲得へと大きな一歩を刻んだことになります。ハミルトンはレース序盤にBMWザウバーのロバート・クビサと接触しスピンしたものの、そこから見事に立ち直りました。またマクラーレン・メルセデスのチームメート、フェルナンド・アロンソが42周目にクラッシュしリタイアしたことにより、この勝利の重みが更に増すこととなりました。

この結果、2戦を残した現時点でハミルトンのリードは12ポイントとなりました。彼がタイトルを獲得するには、たとえアロンソが中国とブラジルで連勝したとしても、残りのレースで9ポイント獲得すればいい計算になります。

フェラーリのキミ・ライコネンは、レース序盤にブリヂストン・ポテンザのウェットからエクストリームウェットに交換しなければならず順位を落としたのですが、そこから挽回して3位でフィニッシュしています。しかしタイトル争いではトップのハミルトンに17ポイントの差をつけられてしまいました。

●レースリポート

雨中の劇的なレース展開となった日本GPでしたが、ラルフ・シューマッハーはリタイヤ、ヤルノ・トゥルーリは13位に終わり、パナソニック・トヨタ・レーシングに喜びがもたらされることはありませんでした。決勝レース当日は1976年のジェイムズ・ハントとニキ・ラウダによるタイトル決定戦となった初開催の富士スピードウェイを彷彿とさせる土砂降りのコンディションとなりました。状況があまりにも悪かったため、セーフティーカー先導でレースをスタートせざるをえず、その後40分間に渡ってそのままの状態が続きました。

ラルフは「雨の影響があり、あまり楽しめるレースではなかった。路面がとにかく滑りやすく、レース序盤にセーフティーカー先導で走っていたときはほぼ視界がゼロだった。ああいった水しぶきの中を走るのは本当に難しかったが、レースが進むにつれて状況がすこしだけ改善した」とコメント。今回のレースで松下電器が行ったコンテストから選ばれた特製デザインのヘルメットを使用したヤルノは、セーフティーカー先導中の12周目にスピンを喫し順位を落としてしまいました。

ヤルノは「残念なことにヘアピンでミスしてしまった。タイヤを温めている最中にシフトダウンしたのだが、このとき1速分余計にシフトダウンしてしまったためクルマがスピンしてしまった。そのせいでいくつか順位を落とすことになった。その後セーフティーカーがピットレーンに戻りレースが始まったが、とにかく雨がひどくて視界が非常に悪かった」と説明。そこから挽回を開始したヤルノは、困難な状況の中果敢な走りを続け、最後は13位でチェッカーを受けました。しかし彼自身はこの結果に満足していませんでした。「コースを走った全員にとって厳しい午後だったと思う。もちろんこの結果に私はがっかりしている」とヤルノ。

いっぽうのラルフはレースを完走することができませんでした。レース中盤から無線にトラブルが生じていたラルフのクルマは、その後、雨の影響で電子機器まで不調になり、そのせいで53周目にピットインを余儀なくされました。その後、チームのスタッフがこの問題を解決し、ラルフは数周遅れとなったものの再びコースに復帰します。ところがその後、何かの破片を踏んだのが原因と思われるスローパンクチャーに見舞われ、残り2周というところで彼のレースは終ってしまいました。チーム代表(兼TMG会長)の山科忠は次のようにコメントしています。「更に改善していくためには本当に一生懸命開発を進めていかなければならない。今回のような状況下で我々のクルマは競争力が十分ではなかったが、次の中国GPでは自分たちのベストを尽くす」。