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![]() ブラジルGP レースの舞台裏
2007年10月22日(月)●最後の一戦 ![]() ラルフ・シューマッハーがパナソニック・トヨタ・レーシングで走るのは今回のブラジルGPが最後となりましたが、レースチームはラルフに最後のお別れの言葉を言う機会を絶対に逃さないよう心に決めていました。チームに在籍していた3年間、ラルフは2年前の日本GPでのポールポジションや3度の表彰台獲得など、いくつもの特別な思い出を手にしています。ラルフにトヨタでの日々を思い出してもらえるようレースチームのスタッフがリアウィングのエンドプレートに各自の名前をサインしたとき、彼らの胸中にはそういった思い出が一気に蘇ってきました。 ![]() TMG会長兼チーム代表の山科忠がチーム全体を代表してラルフの今後について最善を願うと共に、これまでの素晴らしい貢献に対しお礼を述べました。山科さんは次のようにコメントしました。「ラルフはチームに貴重な経験をもたらし、我々の前進を助けてくれた。彼はチームと上手く協調してくれたし、さまざまな意味で我々は彼との関係が終わりを迎えたことを残念に思う。しかしながら、状況が変わり、我々はラルフの今後のキャリアに対し最善を願っている」 そしてもう一つ、“おいしそうな”サプライズもありました。インテルラゴスのピットレーンで、レースチーム全体が見守る中、巨大なケーキがプレゼントされたのです。 ●ライバルチーム周辺で見つけたニュース この数年で最もエキサイティングな展開となったタイトル争いですが、今回インテルラゴスで開催されたブラジルGPではキミ・ライコネンが優勝を飾り、ここまでの内容に相応しい劇的な幕切れを見せてくれました。シーズンの最終戦を3人のドライバーにタイトル獲得の可能性がある状況で迎えるのは1986年以来初めてのことです。 コンストラクターズ選手権のタイトル争いはすでに(マクラーレンが失格となった影響もあり)フェラーリに確定していましたが、ドライバーズタイトルのほうはこれ以上ない程の熾烈な争いとなっていました。 2番グリッドからスタートしたマクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンは、1周目に順位を落とし、さらに9周目に突然失速する前に数ポジション下げてしまいます。彼はレーシングスピードを取り戻してレースを再開できましたが、それも最後尾まで落ちてからの話でした。 最後は7位まで順位を挽回した彼でしたが、これではタイトル獲得に十分ではありませんでした。フェラーリのチームメート、フェリペ・マッサの前でフィニッシュし、優勝を手にしたライコネンが1ポイント差でタイトルを獲得しました。アロンソは3位に終わり、ハミルトンと同じように、チャンピオンとなったライコネンに1ポイント差でシーズンを終えました。 ●レースリポート インテルラゴスで開催されたブラジルGPでヤルノ・トゥルーリが8位入賞を果たし、これによりパナソニック・トヨタ・レーシングは開幕戦と同じく1ポイントを獲得して2007年のF1シーズンを締めくくることとなりました。 見事なパフォーマンスを見せてくれたヤルノは、レース全般を通じてトップ8圏内を維持し、最後は1ポイントを獲得。一方、トヨタでの最後のレースに挑んだラルフ・シューマッハーは、最後まで見事に戦い抜き11位まで順位を上げフィニッシュとなりました。 ![]() この日の午後は非常に暑くなり、路面温度はなんと63度という信じられない程の熱さまで上昇。予選第3セッションまで進出したヤルノは8番グリッドに並び、一方で期待はずれの土曜日となったラルフは15番手からの追い上げを決意して、レースをスタートしました。 インテルラゴスの1コーナー、エス・ド・セナと呼ばれるS字コーナーは、例年大混乱が起こる場所ですが、今回もスタート直後に22台のクルマが我先にそこを通過しようとした際に、やはり同じような事態となりました。ラルフはルノーのヘイッキ・コバライネンと接触しましたが、幸いにもそのままレースを続けることができました。この影響でラルフは順位を落としましたが、ヤルノは1周目を終えた時点で8位を維持。そして9周目にルイス・ハミルトンがトラブルに見舞われると7番手に浮上しました。ラルフは一旦順位を上げたのですが、再び15番手に戻りました。 15周目、ヤルノは6番手に浮上し、22周目にブリヂストンのソフトタイヤに交換するためピットインします。3回ストップ作戦を選択していた彼はこれが1回目のピットストップでした。ラルフは別の戦略を選択しており、トップ10まで浮上した後、33周目に1回目のピットストップを行いました。 ヤルノはトップ6を狙える位置を維持すべく攻めた走りを見せ、43周目に2回目のピットストップを敢行(その後、スーパーソフトタイヤに交換します)。そして素早い作業で彼をコースに送り返したピットクルーのお陰もあり、ヤルノはシーズン最終戦で価値ある1ポイントを手にしました。 「長く間が空いてしまったが、更に1ポイントを加えてシーズンを終えることができ、私は満足している」とヤルノ。「我々全員がタイヤと格闘していた。3回ストップという賭けに出たわけだが、最終的に8位という結果はとても良かったと思う」 「この結果はチームのモチベーションにとっても良かったし、厳しいレースにも関わらず決して諦めなかったチームのみんなにお礼を言いたい。諦めないという姿勢が最も重要なことだ。なぜなら、クルマとそのパフォーマンスを向上させていくため、我々は未来を見つめないといけないからね。我々には潜在能力があると私は信じているし、来年は上位に返り咲けると思っている」 暑さの中、懸命な走りを見せ11番手まで順位を上げたラルフは、トヨタでの最後のレースを終えた後、チームに優しい言葉を残してくれました。「今回がトヨタでの私の最後のレースになったが、3年間過ごした後に去るのはやはり少し残念な気持ちだ。だがチームの全員と一緒に仕事をしてこれたのは私にとって喜びだった。このチームでの時間は楽しかったし、今後、チームの面々と一杯飲みに行けることを楽しみにしている」 |