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マレーシアGP レースの舞台裏
2008年3月23日(日)●レースの舞台裏 彼の26回目の誕生日は前回のレースの後の火曜日でしたが、その日の彼は、クアラルンプールへの移動に40時間も費やすという、悪夢のような体験をしていました。これはシドニーからの便がキャンセルされたためです。まさに、「F1の魅惑の世界へようこそ」、といったところでしょうか。 一方でサードドライバーの可夢偉は、セパンで開催されたGP2アジアシリーズで見事な成果を手にしています。彼は土曜日の第1レースで5位に入賞、そして迎えた日曜日のスプリントレースでは、ルノーのテストドライバー、ロメイン・グロージャンに4秒差をつけて見事優勝を果たしました。 ●ライバルチーム周辺で見つけたニュース BMWザウバーは2戦連続で2位を獲得。ただし今回2位を手にしたのはポーランド人ドライバーのロバート・クビサです。チームメートのニック・ハイドフェルドが6位でゴールしたため、BMWはマレーシアで11ポイントを手にし、今回のレースで一番多くポイントを稼いだチームとなりました。彼らはコンストラクターズ選手権でマクラーレンの24ポイントに次ぐ19ポイントで2位につけています。 ドライバーズ選手権ではヤルノの直後の6位でフィニッシュしたルイス・ハミルトンがトップを維持。イギリス出身の彼は、キミ・ライコネンとニック・ハイドフェルドに対し3ポイントのリードを築いています。 ハミルトンと彼のチームメート、コバライネンは予選で3位と4位になりましたが、スローダウンラップで燃料を節約するためゆっくり走行していた際にニック・ハイドフェルドとフェルナンド・アロンソを妨害したと見なされてしましました。この結果彼らは5グリッド降格となり、8番グリッドと9番グリッドからのスタートとなりました。 ハミルトンは更にレースの1回目のピットストップの際、10秒も遅れてしまいます。これは右前輪を固定するピンが破損し、タイヤ交換に手間取ったためでした。 レッドブルはマーク・ウェーバーがしっかりした走りで7位に入賞し、今シーズン初ポイントを獲得しました。実は燃料ポンプに問題が生じていたため彼のクルマは残り少なくなった燃料をうまく吸い上げることができず、このためチームは早めに彼の車をピットインさせなければなりませんでした。これによりウェーバーは約15秒失い、ニック・ハイドフェルドのBMWの後ろに順位を落とすこととなったのです。 ●レースリポート トヨタの2台のTF108は週末全体を通じて競争力を発揮し、金曜日のフリー走行では1周アタックとロングランの両方で見事なタイムを記録、迎えた土曜日の予選ではヤルノを5番手へと導きました。ティモもトヨタでのデビュー戦となったオーストラリアGPと同様に予選第3セッションに進出しています。 マクラーレンの2人のドライバーが共に予選で他車の走行を妨害したため5グリッド降格となり、これによりヤルノは3番グリッドからのスタートとなりました。スタート直後のタイトな1コーナーではフェラーリの2台がトップを守り、続くヤルノはBMWのロバート・クビサに先行されます。また、そのすぐ後のターン2で今度はレッドブルのマーク・ウェーバーとマクラーレンのルイス・ハミルトンにもかわされてしまいました。 「ストレートの終わりですこし外側に膨らんでしまった」と説明するヤルノ。「ニックは全く見えなかった。ヘルメットの横に背の高い保護パッドがあるため、自分の横にいるクルマがかなり見づらいんだ。お互いのクルマと少し触れ合い、やや出遅れてしまった」 ヤルノは17周目の1回目のピットストップまでトップ6圏内で快走を続け、ピットストップ後にはウェバーのレッドブルの前に出ます。その2周後にルイス・ハミルトンがピットインしましたが、右前輪のホイールに問題が生じ、そのためピットアウトした時にはヤルノの後ろになりました。しかしマクラーレン・メルセデスのチームメート、ヘイッキ・コバライネンは更に1周後までピットストップを遅らせ、この結果、トヨタの前に立つことになりました。 全56周の30周目にフェリペ・マッサのフェラーリがスピンを喫すると、ヤルノは4位に順位を上げます。彼は40周目の最後のピットストップまでこの順位を維持。そして最後のスティントでは、後ろから猛追してきたマクラーレンのルイス・ハミルトンをゴールまで寄せ付けず、なんとかコンマ7秒差で逃げ切りました。 「レースのほとんど時間をマクラーレンの2台と戦っていた」と笑顔を見せるヤルノ。「彼らの方が私より幾分速かったけれど、でも決して諦めなかった。レース全体を通じてずっと彼らの後ろに食らいついて行ったんだ。レース終盤になると後ろから追い上げるのはハミルトンの役目になった。私もきつかったけど、でも自分とチームのためにどうしてもこの4位が欲しかった。この4位をチームのみんなに捧げたいと思う。彼らは冬の間素晴らしい仕事をし、私にしっかり戦えるクルマを用意してくれたし、レースチームはこの週末ずっと素晴らしい仕事をしてくれたからね」 落胆するティモはこう語っています。「スタートは完璧とはいかず、ホイールスピンがちょっと多すぎた。その後、他車と接触してしまったけど、なんとか走り続けることができた。その後のターン14でニコが私にぶつかってきた。ターン13の出口で彼はかなり後ろにいるように見えたから、彼が追い越しを仕掛けてくるなんて予想していなかった。私があのコーナーに切り込んで行ったとき、彼が私のクルマの右リアの角にぶつかり、そのせいでサスペンションが破損してしまった。それで私のレースが終わってしまった。フラストレーションを感じるよ」 チーム代表のジョン・ハウエットは次のようにチームのパフォーマンスを総括しています。「私はハッピーだ。マクラーレンを抑え込むなんて素晴らしかった! 我々は第2集団で戦い、予想通りのことを成し遂げた。だがBMWは非常に手強いと思う。ヤルノはスタート直後の1コーナーで一つか二つ順位を落としたが、クルマはこの週末を通じてずっと良かった。1ラップの速さを更に磨く必要があるとは思うが、それでもロングランが非常に良好で、我々は進化できている。これはとても励みになるね」 |