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イタリアGP レースの舞台裏
2008年9月14日(日)●レースの舞台裏 土曜日のモンツァでは、パナソニック・トヨタ・レーシングの若きテストドライバーである小林可夢偉の22歳の誕生日を祝うケーキ作りのため、チームのケータリングチームが忙しくしていました。 ただしGP2のレースでは誕生日のプレゼントは何もありませんでした。滑りやすい難しいコンディションの中で15周した後、可夢偉はコースアウトを余儀なくされてしまったのです。日曜日のレースは13位で終え、これにより最終結果は10ポイントで選手権のランキングは16位となりました。 ジョルジョ・パンターノが母国でのレースでGP2チャンピオンを決めましたが、一方でジャンポール・ドロワのDAMSと共に戦った可夢偉のシーズンのハイライトは、ファステストラップを記録して優勝したバルセロナでの第2レースでした。 ●ライバルチーム周辺で見つけたニュース 今回のイタリアGPはトロ・ロッソとセバスチャン・ベッテルの両方に歴史的なグランプリ初優勝をもたらしました。これでベッテルは史上最年少でポールポジション及び優勝を手にしたドライバーとなりました。 ドイツ出身の若手ドライバー、ベッテルは21歳73日でこの記録を達成し、2度ワールドチャンピオンになっているフェルナンド・アロンソの記録を破りました。 今シーズン初の完全なウェットコンディションとなった予選では、ベッテルが第2セッションと第3セッションの両方で速さを見せ、そしてレースではスタートからゴールまでトップで走り抜きました。 フランス人のチームメート、セバスチャン・ボーデもトロ・ロッソのために4位で予選を通過しましたが、スターティンググリッドを離れることができず、胸が痛む予期せぬ結果となりました。全車の最後尾についた彼は、このレースのファステストラップでは全体の2番手となるタイムを記録しています。 タイトル争いでトップに立つルイス・ハミルトンは予選15番手に終わり、難しい仕事に取り組むことになりました。問題が起こったのは予選第2セッションの最初の戦略のつまずきからです。ハミルトンと彼のエンジニアはコース上の各車の間に隙間ができるのを待ち、そして全員がブリヂストンのエクストリームウェットタイヤを装着する中、スタンダードウェットタイヤを履こうとしていたのです。 グリップが得られないことに気づいたハミルトンは、エクストリームウェットに交換するためピットインを余儀なくされましたが、その時点で雨が激しさを増し、コース状況は一層悪くなっていました。この結果、彼は15番グリッドからレースをスタートすることになりました。 レースでは大きく順位を上げていった彼ですが、トヨタの2台と同じくピットストップのタイミングが悪く、27周目にエクストリームウェットを履いたものの、その9周後にはスタンダードウェットに交換するため再びピットインしなければなりませんでした。最後はタイトル争いのライバル、フェリペ・マッサのすぐ後ろの7位でレースを終えました。 一方のフェラーリも母国GPで難しいレースを戦うことになりました。フェリペ・マッサは予選6番手でしたが、ワールドチャンピオンのキミ・ライコネンは予選第2セッションの際、コース状況が最適だった周回のアタック中にアスカリシケインでスピンし、14番手となりました。 ライコネンはヤルノと同じ周回(26周目)に1回目のピットストップを行い、その後再び同じ周回(35周目)にスタンダードウェットに交換しました。ドライとなった金曜日のフリー走行の際と同じく、このレースの最速ラップを記録したライコネンでしたが、最後は9位が精一杯で、ポイント獲得まであと一歩及びませんでした。 BMWザウバーのロバート・クビサは第1スティントを長めにしたアドバンテージを生かし、まさにぴったりのタイミングでタイヤをスタンダードウェットに交換し、これにより11番グリッドからベッテルとコバライネン(マクラーレン)の隣の3位表彰台を獲得しました。「スタートでは全く何も見えなかった」と話すクビサ。「実は、知らないうちにターン1でチームメートを追い越していたんだ!」。64ポイントとなったクビサは、残り4戦となった今、タイトル争いでトップのハミルトン(78ポイント)までわずか14ポイント差と迫っています。 ニック・ハイドフェルドはタイトル争いをしているマッサとハミルトンの直前の5位でフィニッシュしました。また予選3番手のマーク・ウェバーが最後の1ポイントを手にしています。 ●レースリポート モンツァで開催されたFIA F1世界選手権第14戦イタリアGPにて、パナソニック・トヨタ・レーシングは不運にもポイントを積み重ねることができませんでした。ヤルノ・トゥルーリとティモ・グロックは共に予選でトップ10入りしました。ヤルノが7位、ティモが9位です。予定では1回ストップ作戦で走り切るはずだったのですが、モンツァの週末は終始不安定な天候に左右されることとなり、その結果、チームは予定外のピットストップを強いられ、2台のTF108は11位と13位に後退してしまいました。 この週末のモンツァでドライコンディションとなったのは金曜日の午後のみで、土曜日の予選は完全なウェットとなりました。ヤルノによれば、ドライではモンツァ仕様に低ダウンフォースにしたクルマの感触は最高ではなかったようです。しかしウェットでは二人のドライバーが共に見事な走りを見せ、そろって第3セッションに進出。二人のドライバーを共に第3セッションに送り込んだのはわずか2チームのみでしたが、トヨタはそのうちの一つでした。ヤルノは第2セッションで4番手となり、1回ストップ用に燃料を重めにして走った第3セッションでは7番手でした。ティモは第2セッションが8番手、第3セッションは9番手でした。 スタート時刻になると雨が更に激しさを増し、このため最初の2周はセーフティーカー先導で進みました。そこから、F1カレンダー中最速のサーキットにて、水しぶきで前が見えないレースへと全車が突入していきました。 「前が何も見えない状況で時速200キロでドライビングするのは常に難しい。しかもこれだけの高速かつ低ダウンフォースのモンツァでというのは、考え得る最悪の組み合わせだ」と説明するヤルノ。「でも良いスタートが切れて、1周目の終わりには6位だった」 ティモは実質的に最初のレースラップをヤルノのすぐ後ろで終えましたが、そこからフェルナンド・アロンソに先行され、また7周目のターン1でスピンした際にはロバート・クビサからも追い越されてしまいました。「序盤にコースが一番濡れた状態だった時は、水しぶきのせいで視界が非常に悪かった」と話す彼。「アタックを仕掛けるのは難しかったが、それでも何とか数回仕掛けることができた。だが予定外のピットストップがポイント獲得の可能性を奪ってしまった」 ヤルノは26周目にピットインした際には4位まで浮上していました。ティモもその1周前にピットインしていました。二人ともポイント圏内上位につけていましたが、ピットインの際に選択すべきタイヤは明らかにブリヂストンのエクストリームウェットだったのです。なおセーフティーカー先導でレースをスタートする際にはエクストリームウェットの装着が全車に義務づけられています。ですが更に長い第1スティントを走っていた何台かのクルマは、乾きつつあった路面状況に適したブリヂストンのスタンダードウェットに履き替えることができました。 「今日は天候に関して運がなかった」と話すシャシー部門シニア・ゼネラル・マネージャーのパスカル・バセロン。「我々のピットストップはタイミングがずれていた。例えば11番手スタートのロバート・クビサは更に8周走ってからピットインしたが、彼は表彰台に上がっている。またフェルナンド・アロンソはヤルノに比べてわずか4周長めに走っただけだったが、スタンダードウェットに交換することができて4位でフィニッシュした。ヤルノとティモは二人ともこのコンディションの中、いい仕事をした。我々はF1初のナイトレースとなるシンガポールにて、再びポイント獲得ができるよう照準を定め、もう一度集中していく」 |