いつも応援ありがとうございます。第3戦オーストラリアGPの報告をいたしましょう。
|
|
|
オーストラリアGPの会場となるアルバートパーク・サーキットは特設サーキットのため、難コースのひとつとして数えられる。そんな状況の中、ラルフは確実に走り、なおかつ運も見方につけて3位でフィニッシュした。 |
●一番気にしていたのは気候
バーレーン、マレーシアの2戦を終えて、第3戦は南半球の、初秋のオーストラリアに来ました。タイヤ温度の問題から、ここで一番気にしていたのは気候です。それに対して我々は対策を講じるため、先週ポールリカールで合同テストを行い、オーストラリアに向けたタイヤのコンパウンドを選ぶ仕事をしておりました。
テストの結果、ブリヂストンさんにご用意いただいたコンパウンドの中で、これはいいと思えるものも出てきました。今回、どうなるか分からないのですけど、幾分、気温が低くてもパフォーマンスは出せるのではないかと、期待してメルボルンに乗り込みました。
ヨーロッパ外をまわる遠征戦の3レース目ということで、タイヤ以外は大きく変えていません。開幕戦のバーレーン以来、マレーシア、オーストラリアと、クルマをドイツ(TMG)には返さずに運んでいますので、細かなパーツは変わっていますが、基本的には一緒になっています。
エンジンは、ラルフ(シューマッハー)が前回の予選でエンジントラブルが発生し、現地で載せ替えていたので今回が2レース目です。ヤルノ(トゥルーリ)は3戦目ですので、フレッシュなエンジンに替えました。スペック的には今までと同じです。
●予定通りのプログラムをこなせた金曜日
木曜日の夕方、サーキットを歩いてきました。普段は同じ日でも早い時間に歩くのですが、ここは木曜日からサポートレースがあるので夕方しか歩けなかったのです。12コーナーくらいで日没になってしまったのですが、一応『完走』はしました。
第一印象は“狭い”ですね。テレビで見るより、自分で歩いた方が、コンクリートウォールが迫ってくるようなイメージで狭く感じます。コースはほとんどと高低差がなくフラットですので、歩いていて楽でした。細かなバンプがありますが、歩くと何でもなくても、クルマが走るとボトミング(サスペンションの動き幅を完全に使い切ってしまう)するような箇所もあるかなと思いました。
路面温度は低めでしたが、タイヤのウォームアップはテストどおりの働きが見られました。ラップタイム、ポジション的には満足していませんが、2台そろって予定どおりのプログラムを進めることができ、手応えはありました。
1戦目バーレーンでは「何でだろう」と感じて終わり、2戦目マレーシアは気温に助けられたところがあったかもしれません。タイヤが温まらないということで、いろんなことをやってきました。先週のポール・リカールテストでもう一度おさらいをし、ブリヂストンさんも低い気温を想定したタイヤを用意してくれました。考えてきたことをそのまま進めることができたかなと思っています。
夜には雨が降るという天気予報が出ていましたので、雨が降ったら一から出直しになる可能性があるので心配でした。午前はウエットになるものの、午後の予選の頃には乾くという予想もありましたので、それをもとに、2台がそろって最終予選に進めるよう、セットアップを進めていくつもりでいました。
|
|
トゥルーリは体調を崩しながらもオーストラリアGPに挑んだが、やはりうまく流れに乗ることができず、予選第2セッション最後の最後でトラブルに見舞われ、決勝でも早い時期にリタイアとなってしまった。 |
|
●予選では金曜日に掲げた目標を達成
雨の予報についてはあらゆる可能性を考えていました。予選の前に降って止むのか、予選の途中で降ってくるのか、どちらも想定して午前中のプログラムをこなしました。午前中のフリープラクティスはウエット路面で始まりましたが、困ったコースだなという印象です。ターン3から6の手前までは両サイドに木が茂っているせいか、なかなか乾かない。予選の途中でこのような状態になると大変だなと思いましたね。
結局、予選はドライとなり、ラルフ、ヤルノともにトップ10入りと、前日に掲げた目標を達成することができました。これでほっとしてはいけないのでしょうが、少し安心しています。ただ、ヤルノについては残念です。走行中に鳥がリアウイングに当たり破損したうえ、予選第2セッションの最後に電気系のトラブルでギヤが動かなくなってしまいました。
ガレージに戻ってきてすぐに状態を確認し、まずはウイングを交換しなければいけなかった。さらに、電気系やギヤですが、これについては最後の瞬間まで最終予選に走れるよう準備を進めたのですが、結局、交換する道を選びました。最終予選で部品を交換することになると、FIAの監視下でしかできません。なので、走行を見合わせたということです。
気温が低くても、なんとかなるようにと準備してきたタイヤが、うまく働いてくれたかなと思っています。少しずつですが、やってきた成果が出てきたかなと感じています。しかし、タイム的にはまだまだ。信頼性についても、テストを通じてやってきたつもりですが、課題の残る予選になりました。
「レースでは上位での入賞を目指して頑張ります」と公式的な発言をしつつ、心の中ではもっと上を狙っていました。レースの世界では何が起きてもおかしくありませんから。さらに、その先のヨーロッパラウンドに向けても時間がありますし、クルマの性能向上や信頼性を含め、取り組んでいきたいと思います。
|
|
|
今シーズン最初の表彰台を獲得したパナソニック・トヨタ・レーシングチーム。開幕2戦は苦しい展開となっていたが、解決の糸口が見えてきての3位表彰台。チームはいい雰囲気で3週間後のヨーロッパラウンドを迎える。 |
●ラルフがいい展開で引き寄せた表彰台
決勝は本当にうまくいきましたね。レースにはいろんなラッキーとアンラッキーが転がっていると思いますが、ラルフに関してはうまくラッキーだけをつかんでいけたと思います。クルマの実力がそこまであったかどうかは別にして、展開としてはいいレースができたと思います。公式発言の方ではなく、心の中でひそかに願っていた表彰台が、うまくとれました。本当に良かったと思います。
ポイントはミハエル・シューマッハーがスピンし、セーフティカーが入りましたが、そのときのピット作業。それからセーフティカーが入った周のラルフのプッシュですね。これが今回の結果につながった要因でしょう。当然、そのときプッシュできたブリヂストンさんのタイヤのおかげですね。
先週のテストで選んだスペックを積極的に使えたのかなと思っています。最初にセーフティカーが入ったときは、ずるずる下がってしまい心配しました。ですが、そのあとは非常に良かったですね。プッシュできたときはほっとしました。
一方、1周目でリタイヤとなってしまったヤルノですが、それもレースですね。3コーナーで並んだときに押され、スピンしてしまいました。ヤルノはうまい展開にのれなかったのかなと思います。実は体調が悪かったのです。予選日にも熱がちょっとあったようです。気持ちを切り替えて、次戦へと向かいます。
今回のレースはチーム全員が一生懸命やってくれてこういう結果になりました。クルマの仕上がりで言うと、まだまだやらなければならないことがありますが、何をすればいいのかは、ハッキリと見えて来ました。次のレースまで3週間ありますので、今度はタイヤの性能をきちんと引き出したうえで、そこにクルマの性能を積み上げたいと思います。
では、パナソニック・トヨタ・レーシングの活動を、今後とも応援よろしくお願いします。 |