いつも応援ありがとうございます。第4戦サンマリノGPの報告をいたしましょう。
●初めてのイモラ訪問。さっそくコースを歩く
前戦オーストラリアGPの後で人事に変更がありましたので、皆様にご心配をお掛けしたかもしれませんが、チームは冷静に受け止めてくれています。ポールリカールとバルセロナでテストを行いましたが、順調にこなすことができました。
オーストラリアGPが終わった週に行ったポールリカール・テストでは、今回のレースに向けたタイヤテストを中心に行いました。また、ヨーロッパラウンドに入るとよりダウンフォースが必要なサーキットも出てきますし、前のレースでは最高速が低めなこともありましたので、そのあたりのバランスをどうするかといったこともテストのテーマでした。
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金曜日のフリー走行で電気系統のトラブルが発生し十分に走り込めなかったラルフ・シューマッハーだったが、土曜日にはトラブルは無事に解決し、予選6番手を獲得した。 |
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翌週のバルセロナでは5月のレースに向けた準備を中心に行いました。ポールリカールでもバルセロナでもトップタイムを記録できたことが、やはり励みになりますね。バルセロナには私も行っていたのですが、チームの雰囲気が明るくなりました。
さて、「イモラはミュー(路面抵抗)が低い」と聞いていたので、サーキットに着くとさっそく歩いてみることにしました。よくよく歩いてみると、ミューはそう低そうでもない、という印象です。確かに、ピット前などは舗装が古くてひび割れも多く、ミューは低そうです。ただ、例えばターン4から5にかけてなどは比較的路面が新しく、非常にきれい。このあたりはグリップが出そうです。
また、今年はコース各所で路面が補修を受けているのですが、ここは新しいがゆえに滑りやすそうに思いました。ターン8の手前やターン11、12の前後、ターン12から下りてきてターン14を立ち上がるまでです。
縁石も注意して見ました。他の多くのサーキットは縁石を波形にしていますが、ここはフラット。まったく平らで路面と同じ高さのところもありますから、クルマへの影響は少ないと思います。積極的に縁石を踏み越えていかないとタイムが出ないでしょう。
トヨタは今までこのサーキットとは相性が悪いと言われてきたんですが、今年はそんなことないという気がしました。また、気温がどうなろうと慌てることなく対応できると思っています。
●予選で上位を狙うための準備が整う
本当のことを言えば、ラルフ(シューマッハー)とヤルノ(トゥルーリ)で2台そろってきちんとプログラムをこなせるだろうと予想していたのですが、ラルフには申し訳ないことになってしまいました。電気系のトラブルで走れなかったのは残念です。修理して出したのですが、やっぱりだめだったので、走るのを止めてしまいました。そのぶん、ヤルノが余分に走ってくれたので、予選から決勝に向けた準備はしっかりできました。
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4月のイモラサーキットは気温が低いことが多く、チームも低温対策を施して今シーズン初のヨーロッパ戦へと乗り込んだのだが、今年のサンマリノGPは予想以上に暖かい気候となった。 |
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1週間前はこう予想していたんです。「イモラはやはり寒いですね。でも、寒くてもちゃんとタイヤが使えるようになりました」。と、ところが、金曜日は予想以上に暖かくなりましたので、予定していたコメントが使えなくなってしまいました。今年のタイヤは温度と切り離して考えられないので、天気予報をにらみながらどのスペックを使うか考えますが、寒くても暑くても大丈夫な態勢がようやく整って来ました。
課題の縁石についてですが、意外なほど問題ありませんでした。朝のプラクティスでヤルノが戻ってきて発したコメントが「バランスはいい。縁石は問題ない」でした。あっけない感じでした。昨年あたりから縁石には少し対応できていたと思うんですが、この前のテストでもダンパーのテストなどもやりましたので、その効果などもあり克服できたのだと思います。
●満足だが、「もう少し行けた」という思いもあった予選
金曜日にラルフに起きた電気系のトラブルは、ハードを交換することで解決しました。ラルフは金曜日に走り込みをすることができなかったので、午前中に走り込みを行って予選に臨みました。朝から順調に走行を重ねることができたと思っています。
午後の予選もQ1(予選第1セッション)、Q2は予定どおりに進めることができました。Q3の結果がどうかと聞かれると、まああれくらいだという考えもありますが、その一方で、トラフィック(渋滞)に引っかかったところもありますので、もう少し行けたのでは、という思いもあります。まあ、それは言い出したらキリがないので、気持ちを切り替えレースに向けて頑張りたいという思いです。
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縁石をうまく利用した走りができるかで、タイムが変わってくるイモラ。ドライバーは縁石を問題なく越えて走れることを感じた。車両のバランスがさらに進化したことがうかがえる。 |
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金曜日にも感じたことですが、苦手意識のあった縁石はまったく問題ありませんでした。それより、両ドライバーともに苦しんだのは新しい路面でのブレーキングですね。そのあたりが最後まで苦しんだという感じはありました。裏のシケイン(ターン11~12)とターン14(リバッツァの1つめ)です。
気がつけば予選は僅差の勝負だったのですが、実は高校生の頃から不思議に思っていたのでした。なぜ、それぞれのチームが独自にクルマを作り、運転するドライバーも違うのに、タイムが接近するのかと。この点についてはこう思っています。それぞれが規則を守り、努力をしてクルマを作ると必然的にそろってくるのかなと。去年から今年にかけては、空力に関しては大きな変更がなかった。エンジンはV8に変わりましたが、序盤の3戦が終わってこなれてきたのではないでしょうか。その結果、どのチームも想定どおりのパフォーマンスを引き出すことができ、タイムが接近してきているのだろうと思います。一歩抜け出すためには、早く何かを見つけ出すことが必要ですね。
●満足できないレース結果。巻き返しを誓う
悪くてもポイント獲得、と臨んだレースでしたので、満足できないレース結果ですし、非常に残念です。まずヤルノのトラブルですが、ステアリングコラムのメカ部分が緩んだのが原因です。ヤルノが「ステアリング!」と無線で言ってピットに入ってきたので、もしや電気系統ではないかと疑い、新しいステアリングホイールを用意して迎えたのですが、ドライバーを降ろし、状況を確認してみると、すぐには直らない状況だということが分かりました。
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イタリア人のトゥルーリには自国でのレースということで、レースの場以外でも忙しい日々が続いた。そんなファンの声援に応えるためにも完走を目指したが、無念のリタイアでレースを終えた。 |
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ヤルノにとっては母国での開催グランプリだったので、何としても乗りたかったのでしょう。一度ガレージを出たヤルノはクルマのところに戻ってきて様子を見ていました。結局リタイアすることになりましたが、ヤルノには非常に申し訳なかったと思っています。
一方のラルフです。これはこれからよく調べないといけないんですが、第1スティントと第2スティントでタイムが上がりませんでした。第3、第4スティント、特に他がペースに苦しんでいたレース後半で順調だっただけに、第1、第2スティントで狙い通りのタイムが出ていたら、結果は違っていたと思います。
ニュルブルクリンクで行われる次のヨーロッパGPは、TMGから一番近いサーキットですので、しっかり準備したいと思います。イモラはもともと低い気温を想定して準備してきましたが、ニュルも低いと思っています。ただ今回は予想が外れてレースは暑くなりましたが、おかげでヨーロッパの暑いときはどんな具合か勉強することができました。気温が低くても暑くても、天候に振り回されず、実力を出し切れるようしっかりやります。
では次戦ヨーロッパGPも応援よろしくお願いします。
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