いつも応援ありがとうございます。第5戦ヨーロッパGPのリポートです。
●準地元のニュルブルクリンクで強さを見せつけたい
ヨーロッパGPの行われるニュルブルクリンクは、TMGのあるケルンから近く、ドイツGP(ホッケンハイム)や日本GP(鈴鹿)と同様に、「地元」の意識が強いグランプリです。前回のイモラでは地元のフェラーリが強さを見せましたが、ああいう強さが出せれば言うことないですね。
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「ベストな組み合わせを使う」ということで、シャシーにはほとんど変更点はない。エンジンに関しても大きな変化はないが、最高回転数のアップなどの進化が見られる。 |
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さて、クルマですが、前戦イモラとほとんど変わっていません。今あるものの組み合わせでベストなものを持ってきています。使用するエンジンは、ヤルノ(トゥルーリ)がフレッシュなものを、ラルフ(シューマッハー)は前回からの継続で2戦目になります。エンジンについても「今回はすごいですよ」と言いたいところなのですが、それはもう少し先まで置いておきたいと思います。ただ、音を聞いていただくと、少しずつ高くなっている(=回転数が上がっている)いるのが分かっていただけるかなと思います。
イモラの後のポールリカール・テストでは、第7戦モナコで投入する予定のBスペックをテストしました。このクルマの大きな変更点はフロント回りです。まずTF105Bでフロント回りを大きく変え、続いてTF106でリアを変えました。今回はフロントを再度モデルチェンジしたということです。Bスペックに関してはドライバーが「フロントのパフォーマンスが上がっている」と言ってくれましたので、狙いは達成できていると思います。
●いきなり原因不明の振動トラブルに悩む
天気は良かったんですが、チームの方はどしゃぶりと晴れの混ざったような状態になってしまいました。実は、朝のプラクティスで走り出したときに、ヤルノもラルフも「振動がある」と言ってきたんです。ラルフの方はブリヂストンさんにお願いしてタイヤのバランスを取り直してもらったところ、振動が少し減りましたので、走行を続けました。
ヤルノについては、もともと朝の走行はインスタレーション(機能確認のための走行)だけで終える予定だったので、タイヤのバランスを取り直す作業をブリヂストンさんにお願いして終えることにしました。
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金曜日のフリー走行では振動発生のトラブルのためタイム計測ができなかったヤルノ・トゥルーリ。スペアカーを使用することで対処、今季の予選最高位7番グリッドを獲得、ラルフとともに上位フィニッシュが期待されていた。 |
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ところが、午後の走行を始めたら、ヤルノのクルマはかえって振動がひどいのではないか、という状態になってしまいました。そこで、ブレーキやタイヤ、ホイールなど回転系の部品を、その場で換えられるものは換えながらインスタレーションを繰り返しました。ところが、最終的には解消できずに終わってしました。振動の問題は結構あるんですが、普通は回っている部品のバランスを取り直せば解消します。どうも今回はそうではないようでした。
今回は地元ということもあり、TMGの人間が何人も現場に来ていました。会社(TMG)も近いので、物の対応や解析などについて「こういうことを調べてほしい」と指示を出すことができます。土曜日のP3(フリープラクティス3回目)や予選に向けてはちゃんとした準備ができるだろうという思いで1日を終えました。
●予選では振動問題を解消。ねばり強いレース運びを誓う
本当はもっといい予選結果を期待していたんですが、7番手と11番手という結果になってしまいました。ポールポジションでも獲っていればニコニコなのですが、なかなかそうはいきませんね。
ヤルノの振動問題に関しては現場で解析することができなかったので、部品をTMGに送っていろいろ調べたのですが、結局分からずじまいでした。モノコック本体に起因することも考えられるので、レースカーのエンジンとミッションをTカー(スペアカー)に移し替えました。結果、問題なく走ることができました。前日できなかったセットアップ作業を朝から始めたので忙しかったのですが、なんとかこなせたのかなと思っています。
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GP参戦150戦目を地元からも近いニュルブルクリンクで迎えたラルフ・シューマッハー。フリー走行3回目で3番手タイムをマークするなど好成績が期待されたが、惜しくもゴール直前でリタイアとなってしまった。 |
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ラルフはQ2(予選第2セッション)のタイムアタックの際、ターン4の立ち上がりでスピンしました。一度戻ってきてもう1回アタックしたのですが、そのときは1コーナーでブレーキをロックさせてタイムをロスしたものですから、結果としては11番手にとどまってしまいました。本人も非常にがっかりしていましたね。
金曜日からの流れも順調だったし、予選日朝のプラクティスでもパッといいタイムが出ていたので、本人も期待していただろうし、周囲の期待も高かったと思うんですが、なかなかふたりそろって順調にはいかないものです。現状ではドライバーがプッシュして走らせている状態だろうと思うのですが、早くドライバーが楽に走れるような態勢にしなければいけないと思っています。
決勝レースはポジションがポジションですので、少しでも前に行けるよう、ねばり強く走るつもりで臨みました。最終コーナーにはTMGからの応援団も来ますので、みんなの前でいい結果が出すのが狙いです。
●2台入賞のもくろみが消える……。しかし、手応えはあり
前戦イモラでは第1スティントを短めにしたのですが、今回は引っ張る作戦を選びました。レースの展開から考えて、2台そろって入賞できるだろうし、しなくちゃイカンという気持ちです。
スタートでラルフが出遅れ、1コーナーで危ない目に遭いましたが、なんとか切り抜けてくれました。ヤルノは1つポジションを上げたこともあり、順調かなと思ったんですが、ヤルノのクルマのバランスがおかしくなってしまいました。ピットストップのたびに調整を加えたのが効いて、最後のスティントはだいぶ良かったんですが、ペースが上がらず、もう一歩の9位で終わってしましました。
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スタート直後には6番手にまでポジションを上げていたトゥルーリだが、車両のバランスがパーフェクトではなく、ペースが上げられずに苦しむ。ベストラップもラルフから約0.3秒落ちの1分33秒953にとどまる。 |
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ラルフは前のクルマに押さえられた部分がかなり長くあったんですが、入賞はできるなと思いながら見ていました。ところがその矢先に本当に突然、エンジンがいっちゃいました。本当に残念です。ラルフは地元だし、みんなの注目を浴びていたし、私どもの地元でもあるので、期待に応えるよう頑張らないとと思っていたんですが、本当に申し訳なかったなと思います。
ただ、ヤルノについては予選10番手に残った中では、結構、燃料を積んでいた方だったし、ラルフのペースももう少し上げられそうでした。そういう意味では少し手応えがあったかな、と思っています。次のスペインGPは翌週の開催ですが、やれることをしっかりやって臨みたいと思います。
次戦、スペインGPも応援よろしくお願いします。
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