第9戦カナダGPを終えたF1チームは、北米2連戦の2戦目となるアメリカGPへ向けて移動する。アメリカン・
レーシングの聖地であるインディアナポリスは、2000年よりF1アメリカGPの開催地となっている。
現在F1で使用されるコースは、有名なオーバルコースの一部を使用し、その後、ツイスティなインフィールド
セクションへと続く構成となっている。昨年のアメリカGPは、タイヤの安全性を考慮し、多くのチームが
フォーメーションラップのみの走行でレースを終えるという、レースファンを落胆させる結果となった。そのため、
各チームは、今年のアメリカGPで、アメリカのレースファンに本当のF1グランプリを見せることを待ち望んで
いる。カナダGPでヤルノ・トゥルーリがポイント獲得を果たしたパナソニック・トヨタ・レーシングは、チーム
メイトのラルフ・シューマッハーと共に、今週末に控えたアメリカGPでも、さらに強力な結果を獲得すべく、
全力で努力を続ける。
ラルフ・シューマッハー : カー・ナンバー7
「インディアナポリスには様々な記憶を持っている。昨年については、レースを戦わないというチームの決断は、
各地から観戦に訪れていたファンには、非常に厳しいものであった。しかし、明らかにレースを行うには危険が
あり、ドライバーの安全は最優先されるべきで、正しい決断であった。レースを戦いたいというのはレース
ドライバーの本能だが、昨年の状況ではそれは不可能だったということを、ファンには理解していただきたいと
思う。我々は今年こそトラブルのないレースを行い、アメリカのファンに本当のF1を楽しんでもらわねば
ならない。インディアナポリス・モーター・スピードウェイのオーガナイザーは良い仕事をしてくれた。この
コースでは、ツィスティなインフィールドセクションでの安定性を維持しながら、オーバルセクションでの最高速を
確保するというセッティングに挑戦することになる。常にインディアナポリスでの雰囲気は素晴らしく、今年も
同様になることを期待している」
ヤルノ・トゥルーリ : カー・ナンバー8
「昨年のアメリカGPは残念な週末となってしまった。観戦に訪れてくれた観客には本当に申し訳なく思って
いる。しかし、ドライバーの危険があまりにも大きく、決勝レース当日、他に選択肢はなかった。もちろん、
レースを取りやめるという決断は辛いものだった。しかし、私はポールポジションを獲得していたけれども、
あの条件下でレースを戦うことを望まなかった。今年こそは、心配してくれた全ての人々のためにも、より
良いレースウィークとなることを期待している。インディアナポリスは特別な場所であり、人々は友好的で、
サーキットと街の両方の雰囲気を楽しみにしている。これまで、私にとってはあまり幸運なシーズンとは
言えなかったが、シーズンが進むにつれ、明らかに我々のパフォーマンスは改善されてきており、カナダGPでは
待ちわびたポイント獲得を果たすことが出来た。良い結果でシーズンを終えるために、私にもやっと運が
回ってきたと思う。しかし、まずはインディアナポリスで、昨年の記憶を消すべく、良いレースを繰り広げる
ことを望んでいる」
パスカル・バセロン :
シャシー部門シニアゼネラル・マネージャー
「昨年のアメリカGPでの信じられない展開は、インディアナポリスがいかに独特のコースであるかということを
示している。このサーキットは、空力とタイヤの両面で、妥協不可能な、矛盾する要素を併せ持っている。
オーバルのバンクは、20秒以上にも及ぶフルスロットルの区間であり、モンツァのような低ダウンフォース
セッティングを必要とする。そしてすぐにインフィールドセクションに入ると、モナコのような高ダウンフォース
設定が必要となる。タイヤにとっては、低速なインフィールドセクションでのグリップが求められるが、荒れた
アスファルトのオーバルのバンクでは、リアタイヤに非常に高い負荷がかかるので、それほど柔らかくすることも
出来ない。昨年の状況は、インディアナポリス仕様として用意されたタイヤが、実際のコースコンディションを
再現するのが困難な、テスト装置上だけで開発されたために起こった。2つのタイヤメーカーは今年のアメリカ
GPへ向けて学んでいるはずで、今年はより素晴らしいイベントになることを期待している。インディアナポリス・
モーター・スピードウェイは、ヨーロッパには、類を見ない主旨で作られたコースであり、レース観戦においても
素晴らしい施設だ」
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