F1に参戦している自動車メーカーのほとんどにとって、アメリカは重要なマーケットであり、そのためインディアナポリスは大切な一戦となっている。また、昨年はタイヤの問題のため多くのチームがレース出走を取りやめる事態を招いただけに、今年の各チームはアメリカのファンに向けていいショーを見せられるよう一層懸命になっている。
また、インディアナポリス・モータースピードウェイは、今年のレースに対する人々の関心が低くなった徴候は皆無だと発表。シーズン後半の開幕となる今回、インディアナポリスには今シーズン最多の観衆が集まるものと思われる。
「今日は、特に最初の2つのセッションでクルマの感触がかなり良かった」と話すラルフ。「第3セッションではすこしグリップ不足のように感じられて、いいタイムを引き出すのがそれまでより難しかった。最後のタイムアタックはもっといいタイムが出せるはずだったが、それでも8位というグリットは、このような追い越し可能なサーキットの場合、それなりにいいスタート順と言える」
いっぽう、モントリオールでの見事なレースの流れに乗って、インディアナポリスでも昨年同様にいいパフォーマンスを狙っていたヤルノだが、第1セッションで1分13秒787を記録しただけで、期待はずれの結果に終わっている。
「クルマがしっかりしたペースで走れることはラルフが証明してくれたが、予選第1セッションでサスペンションのトラブルに見舞われてしまいフラストレーションを感じている」と説明するヤルノ。「あのときは2台ともユーズドタイヤを履いており、トラブルは私のラップタイムには影響していなかった。だがもう一度タイムアタックするには危険が大きすぎた。コース上でクルマの車高が低いまま走行してしまったわけだが、大変なプレッシャーがかかる今の3回セッション方式の予選中に、それを修復できるほど十分な時間はなかった。ただし、すくなくともインディアナポリスは通常よりも追い越しの機会が多いので、まだすべてを失ったわけではないと希望を持っておきたい」
ポールポジションは圧倒的な速さを見せたスクーデリア・フェラーリ・マールボロのミハエル・シューマッハー。タイムは1分10秒832で、イモラ以降、初となるポールポジションを獲得。チームメートのフェリペ・マッサ(1分11秒435)が2番手で続き、その後はルノーのジャンカルロ・フィジケラ(1分11秒920)、ラッキーストライク・ホンダのルーベンス・バリチェロ(1分12秒109)、フェルナンド・アロンソ(1分12秒449)となった。その後ろの6番手はBMWザウバーのジャック・ヴィルヌーヴ(1分12秒479)、7番手がホンダのジェンソン・バトン(1分12秒523)、8番手のラルフの後ろはチーム・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネン(1分13秒173)ともう一台のBMWザウバーのニック・ハイドフェルド(1分15秒280)となった。
パナソニック・トヨタ・レーシングのシャシー部門シニアゼネラル・マネージャー、パスカル・バセロンは次のように述べている。「ヤルノはサスペンションの問題が生じ、また時間内に修復することもできず不運だった。だがラルフはわれわれのペースがしっかりしていることを証明してくれた。今日はタイヤには何も問題がなかったし、われわれが選択したブリヂストンタイヤには1周の速さと安定感の両方が備わっている。ヤルノは後方グリッドからのスタートとなるだけに相当な量の仕事をしなければならないだろうが、明日の73周のレースではふたりとも全力で戦ってくれるだろう」
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