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Rd12. Grand Prix of Germany
grand prix
新居章年リポート
2006年7月30日(日)
 

いつも応援ありがとうございます。チームにとってヨーロッパGPに続いての地元グランプリとなるドイツGPの報告をいたします。

今度こそ、の思いで2台完走を目指す
ここのところずっと2台完走を目標に掲げながら実現できていないので、今度こそ、の思いで2台完走を目指そうとホッケンハイムにやって来ました。走りきりさえすれば、それなりの結果はついてくると確信しています。

ドイツGPから2台揃って新スペックのエンジンとなったほか、空力面でも性能向上が図られた。土曜日のフリー走行でヤルノ・トゥルーリが走行できなかった分の空力の比較をラルフ・シューマッハーが担当。その結果、決勝でヤルノの13台抜きという追い上げが可能となった。  

エンジンですが、実は前回のフランスGPからラルフに新しいスペックを投入していました。回転数が少し上がっています。本来は今回から2台そろって新しいスペックにする予定だったのですが、アメリカでラルフがリタイアし、エンジンを載せ替えることにしたため、ラルフだけ1戦早く投入しています。今回はヤルノがフレッシュ・エンジンに載せ替えますので、2台が同じスペックになっています。

また、空力についてはサイドポッドの前付近の形状が少し変わって、効率が良くなっています。フランスも暑かったのですが、ホッケンハイムでも暑さを予想していますので、熱対策はしっかりやっています。

気まぐれな天候の影響で「不完全燃焼」な金曜日に
金曜日は不完全燃焼というか、何だったんだろうというという気がした1日でした。午前中のプラクティスでいつものようにインスタレーションラップを行ったのですが、その際、ラルフのクルマはブレーキの温度がアンバランスだったため、パッドとローターを交換しました。

ヤルノはヤルノで少し振動が出るという話がありました。最近よく振動の話が出るので少し念を入れてチェックしました。実はP1(フリープラクティス1回目)では計測ラップを行う予定でいたのですが、できずに終わりました。そのぶん、午後のP2でしっかり走り込みを行うつもりだったのですが、今度は雨が降ってきて思ったように走れませんでした。もっとしっかり降ってくれればウェットタイヤのテストができたのですが、それほど降らなかったので、中途半端に終わっています。

結局、最低限の課題であるタイヤ比較はできましたが、その他に考えていたことはできずに終わりました。ただ、不安が残ったわけではありません。

この日はヤルノの3年間の契約延長が発表になりましたが、彼とこれからも一緒にできるとこを非常にうれしく思っています。ヤルノが公式リリースでもコメントしていましたが、我々ももっと成長できると思っています。一緒に上を目指してやっていきたいですね。

土曜日の不運で2台入賞に暗雲。アメリカGPのような追い上げを期待
金曜日は天気のせいで中途半端に終わりました。 土曜日は気持ち良く過ごそうと思っていたのですが、午前中のフリープラクティスでヤルノのエンジンが壊れてしまいました。おろしたてのエンジンでまだ100kmも走っていないエンジンです。しっかり調べなければ、と思っています。

 
今年のドイツGPはヨーロッパを覆っている熱波の影響を受け、高めの気温が予想されていた。このため、各部の熱対策も前戦同様にしっかりと行われた。また当初の天気予報では予選の時間帯に雨が降るとも言われ、暑さだけでなく、雨への対応もカギとなると見られていた。

一方で、ラルフは朝から順調でした。ウィングの試験もできましたし、セットアップの確認もできました。ヤルノが走れなかった分をラルフがカバーしてくれましたので、その結果をもとに予選~決勝のセットアップを決めました。

予選でもラルフは順調に進んでいたのですが、最後に他車とからんでしまいました。結果、ステアリングロッドとノーズを交換することになりました。その間、コースを周回することができなかったので、予定より5周分重たい状態で最後のアタックに臨みました。タイムが思ったより伸びなかったのは仕方ないでしょう。燃料の搭載分を考えれば、そこそこの結果だと思います。

ヤルノについては予選前に議論がありました。エンジンを交換していますので、Q3まで進んだところで10グリッド降格になります。議論の結果、タイヤを温存することにしました。Q1まではいつものように進め、Q2は最後の瞬間まで走行を見合わせ、1回だけアタックしています。

手応えをつかんだ久々の2台完走と4戦連続ポイント獲得
第2戦マレーシア以来、2台そろって走りきったのは久しぶりです。2台そろって完走するのが目標だと言い続けてきましたので、ポイントのひとつは達成することができました。とてもどたばたしたレースでしたが、クルマ自体はうまく仕上がり、非常に高いパフォーマンスを発揮できたと手応えを感じています。

ラルフはスタート時の展開に恵まれず、ポイント獲得まであとわずかの9位でフィニッシュ。20番手スタートのヤルノは次々と前走車をパスして7位でゴールし、09年までのチームとの契約延長を発表したここドイツで力強い走りを見せた。  

今回のレースでも、予選前にヤルノがエンジン交換をしていなければもっと上を狙えたと思います。ラルフもそうです。偶数列のグリッドにあてがわれたコース右側の路面グリップが低かったせいで、スタートがうまくいきませんでした。その後、ヘアピンで他車と当たってしまいましたし、ピットイン時のスピード超過で ドライブスルー・ペナルティを科されました。

そういう細かなことの積み重ねで、結果としてポジションを失ってしまったのかなと思っています。信頼性を確実にし、レースのオペレーションをしっかりすれば、もっといい結果が得られるはずです。

レース中、スピードトラップの計測ではヤルノが1番でした。後方グリッドからスタートすることが分かっていたので、ストレートで追い越しができるように、ラルフよりもダウンフォースを抜いた仕様にしていました。ヤルノがエンジントラブルを起こして走行できなくなったあと、土曜日のフリープラクティスで、ラルフがヤルノの代わりにエアロのテストをし、その結果をヤルノのクルマに反映させたわけです。

これが上手くいきヤルノは着実に上がってくれました。欲を言えば最後の最後のところでもうちょっと上へ行きたかったですね。

少しずつ良くなっているのは確かです。さらに上の結果を出すためには、準備ですね。久々に2台完走を果たしました。次週のハンガリーでは2台ポイント獲得を目指して頑張りますので、応援よろしくお願いします。

ドイツGPに挑む新居章年。ダブル入賞は逃したものの、再びTF106Bの速さを確認することができた。課題のひとつは信頼性の向上だ。