マイク、1月8日にバルセロナで行われた新車発表会以降、テストプログラムの進捗はいかがですか?
「テストではTF105のセットアップに時間を割いた。特に2005年の空力レギュレーションにより減ってしまった
ダウンフォースについては、新しい技術レギュレーションにわれわれがどのくらいうまく対応できているのかを知るために
ロングランに取り組んできた。また、レースドライバーのヤルノとラルフは2人ともトヨタで初めてフルシーズンを戦う
ことになるが、テストは彼らがチームにとけ込んでひとつになるためのいい機会にもなった。テストでは、テストドライバーの
オリビエとリカルドを加えた全員で、エンジンの開発とミシュランタイヤのパフォーマンス・チェックを行った。
とにかくわれわれにとってはとても忙しい時期だったよ。オーストラリアに向けた準備だけではなく、シーズン中の
テスト日数を30日間に制限するというルールにわれわれは従っているからね。この影響があったから、プレシーズンテストの
重要性は倍増したんだ」
テストでのタイムは芳しくありませんでした。これについて何か不安は?
「テスト・セッションでのラップタイムに関して私はこれまで一度も気にしたことがないし、今もそれは同じだ。私の考えでは、
みんなはテスト時のタイムを深読みしすぎだと思うね。各チームはそれぞれが独自のテストプログラムを用意しているわけだから、
燃料を軽くして速いラップタイムを狙っても、いいことなんてないんだよ。われわれはパフォーマンスをチェックするために
ロングランに集中したわけで、本当の競争力について明確な指標はメルボルンに行かないとわからない。私としては、2005年の
トヨタはいいシーズンを送れる、という確信に変わりはないね」
新車発表会からこれほどの短期間で改良型の空力パッケージを発表したのはなぜですか?
「1月のTF105の公式発表会は比較的早い時期に開催されたが、これはクルマの開発に関して他チームに一歩先んじる、
というのが狙いだった。1月初旬にヘレスで走行が可能になり、すぐに本格的な作業を開始できた。われわれは以前から
メルボルン向けとして大幅に改良した空力パッケージの採用を計画しており、そのパーツは2月中旬にバルセロナで
初めてテストされた。ラップタイムに関しては、再舗装されたばかりのバルセロナの路面コンディションの問題があったため、
その時のテスト結果から明確な結論を出すつもりはまったくなかった。そのため3日間のテストは新しいパッケージの
シェイクダウンのつもりで行ったんだ。とはいえ、ドライバーは2人ともとてもポジティブな感触を持ってくれたし、
クルマの性能の向上にもすぐに気づいてくれた」
改良型の空力パッケージにより、どんな形でメリットがもたらされるのでしょう?
「新しい空力レギュレーションによりダウンフォースが25パーセント低下した。つまり、われわれの競争力というのは
主に風洞実験の結果に依存することになる。ただし空力面での改善はここで終わるわけではなく、すでにマレーシアに
向けて新しいフロントウィングの採用を計画しているし、その後も開発はずっと続いていく。われわれが開発に取り組む
姿勢はこれまでよりも遙かに積極的になっているし、2005年にトヨタのポジションを上げるにはそれが必要なのだと私は
思っている」
オーストラリアではTF105にどんな新しいパーツが加わるのですか?
「メルボルンでレースを走るTF105の大部分は、この前のバルセロナを走ったパッケージそのままになる。ただし、
新しいリアウィングをはじめ、いくつかオーストラリアに向けて新しいパーツを投入する予定だ」
アルバートパーク・サーキットについて、技術面から見た特徴を教えてください。
「メルボルンは常設のレースコースではなく、F1の週末のために特別に準備されている。そのため、まずは週末を通じて
コース・コンディションが大きく変わることになるね。最初の日は、コースを準備するためにあわただしい仕事をした
後だけに、とても埃っぽい状態になっている。3日間のレース日程が進むにつれて、コース表面にはタイヤのラバーが
乗っていくが、初日のコンディションとはずいぶん違った状況でレースをすることになる。アルバートパーク・サーキットは
低速、中速、それに高速コーナーがうまくミックスされたコースだが、ほとんどのチームはダウンフォースのレベルを
ほぼマックスの状態にして走らせてくる。新しいルールによってダウンフォースのレベルは下がったものの、その損失を
取り戻すべく、われわれはテストでかなりの仕事をこなしてきた。だからメルボルンまでに失ったダウンフォースを
取り戻してくるチームがあったとしても私は驚かないよ」
オーストラリアGPの週末に最も負荷がかかるのはクルマのどの部分でしょうか?
「アルバートパーク・サーキットはブレーキにやや厳しく、気温もかなり高くなる可能性がある。シーズンの最初の
レースでもあるため、われわれは冷却系のパッケージをよく考えておく必要がある――特に日曜午前の予選2回目と午後の
レース前のパルクフェルメ(車両を保管しておくガレージ)ではね」
オーストラリアGPに向かうパナソニック・トヨタ・レーシングにとって最大の挑戦となるのは何でしょうか?
「技術レギュレーションとスポーティング・レギュレーションが変更された結果として、オーストラリアGPの週末では、
すべてのチームがいくつもの不確定要素に対処しなければならなくなる。われわれは2レース分の耐久性があるエンジンを
開発しなければならなかったし、タイヤにもレース1回分の耐久性が求められるようになった。それに予選方式も新しくなった。
こういった要素と2005年の空力制限が合わさって、オーストラリアでの週末は全てのチームにとってとにかく難しいものになるだろう」
最後に、メルボルンでのパナソニック・トヨタ・レーシングのパフォーマンスについて予想をお願いします。
「プレシーズンテストでは、信頼性の面で抜群の成績を残せたと思っている。だからこの点に関しては問題ないと考えて
いるよ。クルマのパフォーマンスに関して断定的なことを言うのはほぼ不可能だ。ライバルたちの中で自分たちがどこに
位置しているのかを知るには、メルボルンまで待ってみるしかないね」
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