2週間前のマレーシアGPで2位という素晴らしい結果を手にし、その勢いを持続しているパナソニック・トヨタ・レーシングは、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権第3戦バーレーンGPの舞台となるサキール・サーキットでも初日から前戦と同じような速さを見せてくれた。
周囲に砂漠が広がる全長5.417キロのコースの路面温度は、金曜日の最初のセッションでサードドライバーのリカルド・ゾンタが最速タイムとなる1分31秒449を記録した時点で再び摂氏50度を越えた。午後のセッションでマクラーレン・メルセデスのサードドライバー、アレクサンダー・ヴルツが記録した1分30秒695に続き、ゾンタは全体の2位のタイムでこの日を終えている。マクラーレンは、肩の負傷で欠場したファン・パブロ・モントーヤの代わりに本来はサードドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサがレースを走るため、そのデ・ラ・ロサの役目をヴルツが引き継いでいる。デ・ラ・ロサはキミ・ライコネンと共にレースを走ることになる。
トヨタ・チームにとって唯一の懸念材料は、ギアボックスのトラブルのためにゾンタが午後のセッションに予定されていたタイヤ比較のためのロングランができなかったことだ。ゾンタはフリー走行2回目のフリー走行の時間のほとんどを、ガレージで過ごすことになってしまった。
「その結果、サードカーを使えるアドバンテージを失ってしまい残念だった」、と話すゾンタ。「とはいえ、朝のセッションでは予定のプログラムをこなすことができたし、セットアップやバランスの調整もできた。クルマのフィーリングは良好だよ」
いっぽう、マレーシアで2位入賞を果たしたヤルノ・トゥルーリは少々不満顔だった。
「ミシュランが提供してくれる2種類のタイヤを比較する、といういつも通りの金曜日だった。でもクルマのバランスに関しては完全に満足しているわけじゃない」、とヤルノ。「まだかなりの仕事が残っているから、土曜と日曜についていろいろと予想するには早すぎる。明日の朝のセッションで自分たちの位置を見てみるまでは判断を待たなければならない」
この日のトゥルーリのベストタイムは1分32秒595で、全体では7位だった。チームメートのラルフ・シューマッハーは1分33秒077で全体の10位だった。ヴルツとゾンタの後ろに続いたのはマレーシアGPの優勝者、マイルド・セブン・ルノーのフェルナンド・アロンソ(1分34秒969)だった。4位はレッドブル・レーシングのサードドライバー、ヴィタントニオ・リウッツィ(1分32秒319)、5位はデ・ラ・ロサ(1分32秒333)、6位は7回のドライバーズタイトルを手にし、今回から新車のF2005に乗るスクーデリア・フェラーリ・マールボロのミハエル・シューマッハー(1分32秒431)だった。
「かなり難しい一日だった」、と話すラルフ。「何人ものドライバーがタイヤをロックさせたり、コースオフしたのを見てもわかるように、コース上はグリップがほとんどなかったから、タイヤやセットアップの変更について適切な判断を下すのが難しかった。そのため、タイヤの選択はそれほど単純にはいかないかもしれない」
サキール・サーキットはブレーキに大きな負荷を強いるコースだが、同時にエンジンの耐久性も試されることになる。1周のうちエンジンの全開区間が60パーセントを超えるこのサーキットは、F1カレンダーの中でも5本の指に入る厳しいコースなのだ。さらに砂を吸い込んでしまうという問題もある。今シーズンの最初の2レースでパナソニック・トヨタ・レーシングとジョーダンのクルマ4台のエンジンは、他のどのチームのエンジンよりも長い距離をまったく問題なく走りきっている。このためトヨタはどんなに厳しいコンディションであれ、エンジンの信頼性に対する高い評価を今回も維持できるものと期待している。
チームのシャシー部門テクニカル・ディレクター、マイク・ガスコインは、「リカルドのギアボックスのトラブルはついていなかったが、ラルフとヤルノの2人で予定のプログラムを完了することができたからね。つまり、分析に必要なデータは十分に採れたということだ。ラルフからの報告も参考にしつつ、適切なタイヤを選択できるだろう」、と話した。 |