F1世界選手権第3戦バーレーンGPの1回目の予選で、ヤルノ・トゥルーリがまたもや魔法のような走りでパナソニック・トヨタ・レーシングを暫定フロントローに導いた。
サキール・サーキットを舞台に各車わずかな燃料搭載量で争われる1回目の予選で、トゥルーリは、最後の瞬間にマレーシアGPを制したフェルナンド・アロンソ(現在ポイント争いをリード)に抜かれるまでトップに立っていた。マイルド・セブン・ルノーF1チームのアロンソは1分29秒848、いっぽうのトゥルーリは1分29秒993だった。今シーズンは激しい争いが繰り広げられているが、ここでも1秒ちょっとの間にトップ10のドライバーたちが並ぶ混戦となっている。
ターン8でタイムをロスしたラルフ・シューマッハーは、1分30秒952の11位。この順位から明日のレース分の燃料を搭載した2回目の予選に挑む。
砂漠の真ん中に建設されたサキール・サーキットは、当然のことながらなかなかグリップしにくいという問題を抱えている。このため、建設当初から特別にグリップ力の高いアスファルトが使用されている。しかしここまでのTF105は、スピードこそあるものの、オーバーステアにずっと悩まされている。土曜日の午前中のセッションでは、トヨタの2人のドライバーだけではなく、各チームのドライバーが同じ症状を訴えていた。
そんな中でトゥルーリはまたもや予選でスーパーラップを決めてくれた――ただし本人によればまだまだ100パーセントの走りではなかったという。
「もちろんこれは予選だから、ハードに攻めた走りをするわけだけど」、と話すトゥルーリ。「でも限界ギリギリまで攻めるだけの自信はなかった。ミスをすれば大きな代償を払うことになる、ということを心に留めていたしね。最終的にはコンマ1秒ちょっとの差で暫定ポールポジションを逃してしまったけど、どこか一個所でミスをしたわけではない。全体的にちょっとずつタイムを失った結果だ。もちろん常にポールポジションを狙ってはいるけど、でも現実的なことを言えば、明日の2回目の予選でフロントローに並べれば上々だと思う。今回はタフなレースになるだろうね。ルノーのもう一台も追い上げてくるだろうし、それにフェラーリの新車に乗るミハエル・シューマッハーも速さを取り戻している」
いっぽうのラルフはフラストレーションをあらわにしていた。「がっかりだったよ。午前中の最後のフリー走行では全体で2番目の速さだったし、クルマもタイヤもうまく機能していたから、予選でも同じような走りができるだろうと自信を持っていた。残念ながらオーバーステアのせいでターン8の入り口で約1秒もロスしてしまい、そのせいで11位にまで後退してしまった。明日の朝の2回目の予選では、ポジションを挽回できるようがんばるよ」
アロンソとトゥルーリに続いたのは、今回から新車のF2005に乗るスクーデリア・フェラーリ・マールボロのミハエル・シューマッハー(1分30秒327)だった。続いてBMWウィリアムズF1チームのニック・ハイドフェルドが1分30秒390で4位、ルノーのジャンカルロ・フィジケラが1分30秒445で5位、ウィリアムズのマーク・ウェバーが1分30秒592で6位だった。
パナソニック・トヨタ・レーシングのシャシー部門テクニカル・ディレクター、マイク・ガスコインは、「もちろん2位は素晴らしい結果だが、2回目の予選ではさらに上を目指す」と、チームがさらに高いレベルを期待していることを明確にしていた。
また、「ヤルノはクルマのバランスについて完全に満足していたわけではない」、と打ち明けるガスコイン。「確かに、グリッド後方になって不満を感じるよりも2位で不満を感じていたほうが好ましいことではあるが、今のわれわれには一番前を狙えるだけの力がちゃんとあるんだ。ラルフはひとつのコーナーのブレーキングで0.7~0.8秒もロスしてしまった。3位にはなれると思っていただけに、あれは残念だったが、明日はきっと順位をいくつか挽回できるだろう。明日の狙いは、ヤルノのフロントローを堅守すること、そしてレースでは両方のドライバーが前戦同様にしっかり上位争いができればと思っている」 |