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Rd.5 Grand Prix of Spain Keizo Takahashi report
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金・土曜日 日曜日
高橋敬三リポート:金・土曜日
2005年05月07日(土)
みなさん、こんにちは高橋敬三です。いつも公式サイトへアクセスありがとうございます。金曜日、土曜日の報告になります。

サンマリノではラルフの降格問題などがあり、あまり納得できる成績ではありませんでした。ヤルノの方も、決勝レース中はオーバーステアに悩まされ、なかなかペースを上げることができませんでした。オーバーステアの原因は、タイヤの使い方が適切ではなかったことがデータを見てわかりました。今回は我々のクルマと非常に相性の良いバルセロナなので、何とか表彰台を狙いたいと思っています。

● 空力を強化、エンジンの新スペックはお預け
バルセロナのカタルニア・サーキットは昨年までは非常に路面が粗く、タイヤに負担のかかるコースでした。しかし、今年初めのコース改修で路面は非常にきめ細かいものになり、特性は全く変わってしまいました。タイヤの磨耗もソフト系でも持つようなコースとなりました。昨年までは決勝レースを想定したロングランテストを行うと、後半タイヤがタレてきていたのですが、今年は走れば走るほどタイムが出るようになっています。今回、ミシュランはコンパウンド3種類、ケーシング(タイヤの構造)2種類のタイヤを持ち込みました。そのなかで我々が選んだ2種類のタイヤはどちらも非常に良いものです。先週のヘレスのテストではこのタイヤの他、ダンパーのテストも行いました。

今回のクルマの改良点は空力が中心で、サイドポッド周りのウイングレットと、ディフューザーを変更しています。改良の狙いはダウンフォースを増やすことで、中高速コーナーのあるこのコースでは非常に有効なパーツです。当初、新しい空力パーツは2台分しか間に合わない予定でしたが、木曜日に3台分、さらに金曜日の朝にはスペアの1台分も間に合いました。製造部門もこのところ非常に頑張ってくれていて、頼もしい限りです。エンジンに関しては、新たなスペックの開発を行っていますが、信頼性の部分で若干の不安があったため、今回の投入は見送りました。

ここバルセロナでのセッティングのポイントは、中高速コーナーに対してダウンフォースをうまくつけながらも、長いストレートでのストレートスピードをどうするか。その兼ね合いが非常に重要なコースですね。

● いつもに増して順調な金曜日。タイヤ選択は一長一短で悩む。
午前中は、いつものようにレギュラードライバーは走らず、路面ができるのを待っていました。リカルドもハイドロ系のトラブルで走れず、3台ともピットにいるような状況でした。リカルドのトラブルはすぐに直るものだったので、午後には問題なく走れました。午前中の分も走り、この日は予定通りのテストができました。タイヤは2種類ともそれぞれに良いところがあり、選択には悩みました。どちらもこれまでとは性格の違うものなので、路面温度によって合う、合わないがありそうです。今日は、路面温度は42度くらいでしたが、日曜日の天気は曇りのようなので、その辺も考慮してタイヤは考えました。去年は路面も粗く、デグラデーション(=摩耗。いわゆるタイヤの“タレ”)に悩まされましたが、今年は全くデグラデーションが出ない、走れば走るほどタイムが出るような感じでした。新しいパーツも問題なく、十分なパフォーマンスを発揮してくれたので、この時点では予選に向けて良い方向にいきそうな感じでした。

サイドポンツーン前のウイング(空力パーツ)が小さくなった。  

● トゥルーリ暫定ポールポジション、ラルフ4番手。しかし、4台が0.1秒差の混戦!
土曜日の1回目のフリー走行は路面もできていないようだったので、あまり走りませんでした。2回目のフリー走行では、予定していたテストを行いました。まずは、クルマのバランスを確認して、その後ニュータイヤでのアタック。これでラルフはトップタイムをマーク。ヤルノの方はアンダーステアでちょっとタイムが伸びませんでしたが、すぐに調整して最終的には、ドライバーの満足いくようなセッティングができました。最後にはもう一度クルマのバランスを確認しました。

午後の1回目の予選は、ラルフもヤルノも完璧なアタックを見せてくれたと思います。ただ、ラルフの時は風向きが良くなかったかもしれませんね。予選の後半は風がちょっと強くなってきたようでした。路面のグリップも午前中のフリー走行の時の方が良かったような気がしますね。ヤルノはエンジンがちょっと重い感じがすると午前中から言っていましたが、ピトー管のデータを見たら圧が変わっていたので、風が強くなってドラッグが増えてストレートスピードが伸びなかったようです。

でも、全車燃料も軽く、本気のタイムアタックをする1回目の予選で暫定ポールポジションを取ったのは、速さの証明みたいなものですから、非常に気持ちが良いですね。トヨタとしても初めての快挙ですから。しかし、4番手のラルフまで0.1秒以内の差とは本当に厳しい戦いになっています。それでもルノーとの差は確実に縮まってきていると感じますね。勝てる力が身についてきたなという感じです。

明日の2回目の予選は決勝の戦略も考えてのセッティングになるので、クルマのパフォーマンスだけとはいきませんから、ポールポジションよりもレースでの結果を優先したいと思っています。予選では0.1秒以内にいる4台の中にいれば、レースでもかなり可能性があると思っています。タイヤも今回のミシュランはタイヤのタレがないので、タイヤが原因で落ちることはなさそうです。ただ、明日は今日よりも天気が悪そうなので、気温がどのくらい下がるかが気になりますね。路面温度がどのくらいになるかが、決勝レースではキーポイントになるかもしれませんね。それでは、決勝後にもまたこの公式サイト「高橋敬三レポート」でご報告いたします。

高橋敬三プロフィール
予選を前に戦略を熟考する高橋敬三。