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Rd.6 Grand Prix of Monaco report
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ラルフが最後尾から6位へ。ヤルノは不運に泣く
最後尾からのスタートとなったラルフだが、レースでは力強い走りで僅差の6位入賞を果たした。いっぽうのヤルノは中盤まで2位を快走したが、遅いクルマにひっかかるなどして後退を余儀なくされた。
2005年5月22日(日)

さまざまなアクシデントが発生した2005年F1世界選手権第6戦モナコGPで、パナソニック・トヨタ・レーシングのラルフ・シューマッハーは最後尾から懸命の走りを見せ6位入賞を果たし、貴重な3ポイントをチームにもたらした。

土曜日の1回目の予選でクラッシュを喫したラルフにとって、3ポイントという結果はその努力にふさわしい価値あるものとなった。

「まずは昨日のアクシデントの後にこれほどまでに効率よくクルマを組み立て直してくれたチーム全体にお礼を言いたい。あれはとても大きなミスだった」、と話すシューマッハー。「土曜日の一件がなければ、間違いなくもっと多くのポイントを手にできていただろう」

モンテカルロという場所では追い越しが事実上不可能であるにもかかわらず、ラルフはレース序盤の数周で順位を4つ上げている。「何台かミラボーで追い抜いたんだけど、そのあとは渋滞につかまってしまった」、と説明するラルフ。

レースは24周目に発生したミラボーでのアクシデントによりコースが塞がれてしまい、セーフティーカーが入ることになった。これはラルフにとって有利な展開となったが、同時に、1回ストップ作戦を選択していたチームメートのヤルノにとってはチャンスを台無しにされる結果となってしまう。

「セーフティーカー・ピリオドが終わると、再び順位を上げることができた」、と続けるラルフ。「最終的にはフェルナンド・アロンソの後ろに数珠繋ぎの渋滞ができてしまって、どのクルマもかなりゆっくりと走ることになった。フェラーリがすぐ後ろにいたからあの状況はちょっときつかった。前のクルマにアタックしたかったけど、同時に後ろにも気を配る必要があった。最後にフィニッシュ・ラインを通過するときには兄のミハエルともうすこしでぶつかりそうになったくらいだ」。

実際にこの2台はあまりにも接近していたため、その差がタイミング・モニターでは表示できなかったほどだった! 公式に発表された2台のギャップはわずか0.04秒だった!

トゥルーリにとってこの日の前半は昇り調子だった。2回目の予選で順位を5位に上げ、レースのスタートでは3位のマーク・ウェバーを1コーナーでかわすことができた。

「上位でレースを走ることができたし、ペースもよかった」と話すヤルノ。「今回はデリケートな戦略を選択していた。というのも、1回ストップ作戦を成功させるため、100パーセントでプッシュしながら同時に燃費にも気を配る必要があったからね。セーフティーカーの存在は私にはマイナスになってしまった。その後、運悪くルノーがタイヤに苦しみはじめて、私はジャンカルロ・フィジケラの後ろで大きくタイムをロスしてしまった。ジャンカルロがついにミラボーでミスを犯したときには、2台のウィリアムズに先行を許してしまっていた。そして次のコーナーのローズヘアピンで彼を抜こうとしたときに、カーブの内側にクルマを激しくぶつけてしまった」

その後、トゥルーリはTF105のバランスに不調を感じたため、クルマをチェックするためにやむなく予定外のピットストップを強いられた。最終的にトゥルーリはポイント圏外の10位でフィニッシュしている。

レースはウェスト・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンが2連勝を飾り、2位にBMWウィリアムズF1チームのニック・ハイドフェルド、3位に同じくウィリアムズのマーク・ウェバーが続いた。これは2人にとってこれまでで最高のリザルトだ。タイトル争いでトップに立つマイルド・セブン・ルノーのフェルナンド・アロンソは4位、マクラーレンのファン・パブロ・モントーヤが5位、6位のラルフの後ろはフェラーリのミハエル・シューマッハーが7位、ルーベンス・バリチェロが8位という結果になった。

パナソニック・トヨタ・レーシングのレース・チーフエンジニアのディーター・ガスはこう語っている。「ラルフにとっては素晴らしいレースだった。最後尾から6位まで追い上げたドライビングは驚異的だったし、それにモナコではあらゆることの準備をした上で、最後まで戦い抜くことの大切さを示してくれた。ヤルノはまったく不運だった。セーフティーカーが入ったことで2回ストップを選択していたクルマに有利になってしまった。あのタイミングは1回目のピットストップのタイミングに近かったからね。また、あれだけ長い間、タイヤのグリップを失っていたフィジケラに前を塞がれたのも不運だった。65周目にヤルノが再びピットインしたときにクルマを周囲深く確認したが、何も異常は見つけられなかった。彼を再びコースに送りだしたのはそのためだ」

この結果、ドライバーズ・タイトル争いでは、トップのアロンソ(49ポイント)と2連勝で2位に浮上したライコネン(27ポイント)の差が22ポイントとなり、ヤルノ(26ポイント)が3位に後退した。ラルフは17ポイントで6位となっている。

コンストラクターズ選手権では、パナソニック・トヨタ・レーシングが43ポイントで3位、ウェスト・マクラーレン・メルセデスが51ポイントで2位、そしてマイルド・セブン・ルノーF1チームが63ポイントでトップに立っている。

これから夏に突入するF1シーズンは過密スケジュールが続く。次戦のニュルブルクリンクで行われるヨーロッパGPはわずか1週間後の開催だ。