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Rd.7 Grand Prix of Europe report
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不運とアクシデントで上位を逃したものの、ヤルノが1ポイントを確保
スタート前後の不運のため2台とも後方からの追い上げとなる苦しい展開の中、最終的にヤルノ・トゥルーリが1ポイントを獲得。レースペースは上々だっただけに、次戦での巻き返しが期待される。
2005年5月29日(日)

ニュルブルクリンクで開催されたヨーロッパGPでは、“ホームレース”でありながら苦戦を強いられたパナソニック・トヨタ・レーシングだったが、それでもヤルノ・トゥルーリが1ポイントを獲得――これでヤルノは7戦中5戦でポイントを獲得したことになる。ただし彼の今回のレースは、スターティンググリッドで発生したトラブルの影響で我慢を強いられる展開となってしまった。

またチームメートのラルフ・シューマッハーは、スタート直後の1コーナーで発生した多重クラッシュに巻き込まれ、予定外のピットストップが必要となった。この結果2人の表彰台フィニッシュのチャンスは事実上1周目で消滅してしまった。

「昨日の予選の走りにはとても満足していた。4番グリッドからのスタートだったし、燃料も長いスティントを走れるよう重めに積んでいた」と話すトゥルーリ。「こうしたレースになってしまったから、何も得られないよりは1ポイント獲れただけでもよかったわけだけど、でも今日はもっと大きな成果を手にできたはずだ。グリッド上でエンジンの点火に問題が起きて、そのため15秒シグナルが表示されてからも本来そこにいてはいけないスタッフが作業を続けなければならなかった。その結果、ドライブスルー・ペナルティを受けてしまった。レースでは渋滞につかまってしまったため、最初のピットストップを予定よりも早めに行った。ニュルブルクリンクでは追い越しが難しいため、それから先はどうすることもできなかった。もし今日の運が自分のほうに向いていたら――ライコネンに起こったトラブルを考えてみれば――私が勝つことだって不可能ではなかったんだ」

ニュルブルクリンクの悪名高い狭い1コーナーで何が起こったのかをラルフが説明してくれた。「スタートはまずまずだったし、1コーナーには慎重に入っていったんだ。あそこは接触事故が起きやすいことを知っていたからね。フェルナンド・アロンソのすぐ後ろに迫っていたんだけど、突然、彼のクルマがほとんど止まりそうになったんだ。それに前が見えない状態だったから、クラッシュに巻き込まれてしまった。私には何もできなかったし、そのせいでフロントノーズを失い、予定外のピットストップをするはめになってしまった。これで1分くらい遅れをとってしまい、その後、失った順位を取り戻すためにハードに攻めていったけど、佐藤琢磨のすぐ後ろを走っていたとき、ターン5でフロントのグリップがなくなってしまって、コーナーで大きくアンダーステアになり、その結果スピンしてしまった。それで今日のレースは終わりになってしまった。次のカナダではもうすこし運が良くなってくれればと思うよ」

ウェスト・マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネンは3連勝まであと1周と迫った時点で、タイヤのバイブレーションが起因となったサスペンションの破損によりクラッシュしてしまった。この結果、マイルド・セヴン・ルノーF1のフェルナンド・アロンソが今シーズン4勝目を達成し、タイトル争いでトップの座をさらに確固たるものにした。2位は2レース連続でBMWウィリアムズのニック・ハイドフェルド、3位はスクーデリア・フェラーリ・マルボロのルーベンス・バリチェロ、4位はレッドブル・レーシングのデヴィッド・クルサード、5位はフェラーリのミハエル・シューマッハー、6位はルノーのジャンカルロ・フィジケラ、7位はマクラーレンのファン・パブロ・モントーヤとなった。

パナソニック・トヨタ・レーシングのチーフ・レースエンジニアのディーター・ガスは次のように語っている。「エンジンの点火がうまくできなかった際、スペアのスターターを規定の時間内に持ってくることができなかった。ヤルノへのペナルティは不運だった。レースでのペースはよかったし今回もまたいい結果が残せるはずだったからね。ラルフは1コーナーのアクシデントに巻き込まれてしまった。彼がミスしたわけではない。ヤルノが最後に1ポイントをなんとか獲得できたものの、全体的に今回は残念な結果になってしまった。ライバルに起こった不運がわれわれの邪魔をしてしまった形だ。ただしこれもモータースポーツだからね。今週のポジティブな面としては、ここでもまたかなりのレースペースを見せられたこと、そしてトップレベルの信頼性を証明できたことはよかったと思う」

F1はここからカナダとアメリカでの“フライアウェイ”レースに臨むことになる。ドライバーズ選手権ではアロンソが後続に32ポイントの差を付けてトップに立っている。2位は27ポイントのライコネンとトゥルーリ、4位は25ポイントのハイドフェルドとなっている。パナソニック・トヨタ・レーシングはBMWウィリアムズF1チームに1ポイントの差を付けてコンストラクターズ選手権の3位を保っている。