モントリオールで開幕したF1世界選手権第8戦カナダGPの初日、パナソニック・トヨタ・レーシングのリカルド・ゾンタが全体で2番手となるタイムを記録し好調なスタートを切った。
ゾンタは全長4.361キロメートルのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットを1分14秒858で周回。これはマクラーレンのテストドライバー、ペドロ・デ・ラ・ロサが記録したこの日のトップタイムから遅れることわずか0.19秒の好タイムだった。
「クルマのバランスはよかったが、コース・コンディションが最初と最後でかなり変わってしまった」と話すゾンタ。「その影響でタイヤ選択の判断が難しくなってしまった――これからデータを分析してみないとね。ただし全体的な速さに関して言えば、今回も上位争いが期待できると思う」
モントリオールのコースは全体が再舗装されたため、レースへの準備がさらに複雑になっている――タイヤメーカーにとっては比較できるデータがまったくないからだ。もちろんどんなサーキットでも週末のセッションが進むにつれてコンディションは変化していく。そのため、常にこういった要素は考慮しておかなければならないわけだが、ただし新しく舗装された路面の場合、その副産物として化学反応が起こりやすいため、一層その変化が大きなものになってしまうのだ。
このコースはブレーキに厳しいことでも知られており、トラクション・コントロールの微調整が非常に重要になる。なぜなら、低速コーナーの立ち上がりでアクセルをオンにする回数が多くなり、このときに余計なホイールスピンを繰り返してしまうとリアタイヤの摩耗が激しくなってしまうからだ。
またレースドライバーのラルフ・シューマッハーは全体の9位(1分16秒364)、ヤルノ・トゥルーリは11位(1分16秒638)でこの日のセッションを終えている。
「最初は路面がやや滑りやすかったが、どの方向でセットアップを進めていくべきかはかなり明確になっている」と話すシューマッハー。「ここでもトヨタは競争力を発揮できると思う。できるだけポイントが高い順位でフィニッシュすることが目標だ」
トゥルーリが続ける。「典型的な金曜日だった。いつものようにセットアップとタイヤ選択の作業に取り組んだ。路面が新しくなったのでグリップがすこし減ったけど、でもこれは全員にとって同じ条件だからね」
デ・ラ・ロサとゾンタに続く3番手は、現在タイトル争いでトップに立つマイルド・セブン・ルノーF1のフェルナンド・アロンソ(1分15秒376)、4位と5位はマクラーレン・メルセデスのファン・パブロ・モントーヤ(1分15秒625)とキミ・ライコネン(1分15秒679)、6位はルノーのジャンカルロ・フィジケラ(1分15秒846)となっている。
シャシー部門テクニカル・ディレクターのマイク・ガスコインは、「トヨタの3台のクルマにメカニカルなトラブルはまったくなく、予定通りの金曜日のプログラムを完了した」とコメント。さらにジョン・ハウエット(TMG社長)は「過去2レースでは表彰台を逃しているが、モナコGPではセーフティーカーが入るタイミングが悪かったり、ヨーロッパGPではヤルノのスターターに問題が生じたりして運から見放されていた。不運がなければニュルブルクリンクでは間違いなくヤルノが表彰台に上がっていたと思う。われわれは今も高い競争力を維持できていると私は思うし、さらなる表彰台も狙えるはずだ」と語っている |