F1世界選手権第12戦、ドイツGPの舞台となるホッケンハイムの初日、パナソニック・トヨタ・レーシングは好調なスタートを切った。
チームのテストドライバー、リカルド・ゾンタは全長4.574キロのコース(ホッケンハイムはコースが大幅に改修されてから今年で4回目の開催となる)を1分14秒893で周回し、2回のセッションを合わせて3番手となった。いっぽう、この日のトップとなったウェスト・マクラーレン・メルセデスのアレクサンダー・ヴルツのタイムは1分13秒973、2位のキミ・ライコネンのタイムは1分14秒576だった。
「実り多い一日だった」と話すゾンタ。「最初のセッションでは、雨が心配されていたので走行時間が短縮されてしまう可能性があった。だからいつもより切迫した感じがあった。結局雨は降らなかったし、お陰で私はタイヤの減り具合をチェックするためにロングランのプログラムを最後までこなすことができた。セッションの最後にはタイムアタックのために新しいタイヤで走ったものの、渋滞につかまってしまって1秒ほど失ってしまった」
ヤルノ・トゥルーリが続ける。「どのクルマにもメカニカル・トラブルがなく、まさに典型的ないつもの金曜日だった。いい一日だったが、タイヤを選ぶ前にまずはデータを注意深く検討する必要があるだろう」
ラルフ・シューマッハーにとっては、もちろん母国のファンを前にしたレースとなる。また、ホッケンハイムはケルンにあるTMGの従業員たちがサーキットでTF105の走りを観戦できる2回目のチャンスでもある。
そのシューマッハーは、ホッケンハイム入りする前にヘレスで3日間のテストをこなし、担当のレース・エンジニアと共にクルマのセットアップ作業を行っている。
「ヘレスで走った主な理由は、インディアナポリスでクラッシュした後、あまりテストできていなかったためだ。夏のテスト禁止期間を前にテスト走行ができたのはいいタイミングだった」と話すシューマッハー。「前回のレースでは終盤になるにつれて、いいペースで走ることができた。今回はドイツのみんなの前でいいレースをお見せできるよう、ベストを尽くす」
チャンピオン争いでトップに立っているフェルナンド・アロンソは4番手となる1分15秒772を記録。その後ろに3台目のマクラーレン、ファン・パブロ・モントーヤ(1分15秒772)が続き、ラッキーストライクBARホンダのジェンソン・バトンが5番手(1分15秒851)となった。
シャシー部門テクニカルディレクターのマイク・ガスコインは、にわか雨が予想される天候の影響でタイヤの選択が難しくなっている、と説明した。
「今日は暑くなかったが、この状態でブリスターができるようならかなり苦しい展開になるだろう」と話すガスコイン。「われわれのクルマにはそういった症状は発生しなかったが、実際にそうなっていた他チームのクルマも何台かあったようだ。タイヤの選択に関してはすこし考える必要がある。明確に判断できるわけではないからね。“プライム”のタイヤは安定しているものの熱の入りがよくない。“オプション”のタイヤは1周目は速いものの安定感に欠ける。われわれとしてはどちらかいっぽうを重視しなければならないわけだが、とにかく天候とコースコンディションがどうなるかを把握しておかなければならない」
「問題はソフトなタイヤを選べば予選では都合がいいだろうが、雨が降ってしまうとタイヤの摩耗の問題を抱えることになってしまう。“プライム”のほうなら摩耗の問題はないが、十分に温めることができないかもしれない。天候がどうなるのか、そして崩れるとしたらそれはいつなのかに関する正確な情報がないままでは、かなりリスクのある選択になってしまう」
シルバーストーンではヤルノが同じエンジンで3レース目を走ったため(インディアナポリスで予定の走行距離を走っていなかったため)、今回、ヤルノとラルフは共に最新スペックのトヨタV10エンジンでホッケンハイムに挑んでいる。
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