予選で12番グリッドとなったラルフだったが、戦略を考えるとレースで上位を争える自信は十分にあった。そしてまさにその通りの結果となる。レース序盤、アクシデントが多発した1周目を終えると、ラルフは数珠繋ぎになった6台(デヴィッド・クルサード、フェリペ・マッサ、ジャンカルロ・フィジケラ、ファン・パブロ・モントーヤ、クリスチャン・クリエン、そしてラルフ)の最後尾に位置していた。残念ながらチームメートのヤルノ・トゥルーリは1周目に他車と接触し、ピットストップを余儀なくされていた。
67周で争われた今回のレースだったが、ラルフは25周目まで1回目のピットストップを引っ張った。これにより、彼の予選タイムは重い燃料のせいだったことが判明する。そして1回目のピットストップを終えると順位を3つ上げ、8位でコースに復帰。前を行くクルサードとの差はわずか2秒だった。
「スタートは完璧とはいえなかった」と話すラルフ。「1回目のピットストップの後も、ちょっとした不運に見舞われてしまった。タイヤのグリップを取り戻すのがあれほど難しいとは予想していなかったんだ。そのせいで順位を2つ落としてしまった。その後、1つ順位を取り戻したが、フィジケラに対してはいずれにせよ自分の順位を守れるとは思っていなかった。彼のほうが速いクルマだったからね。とはいえ、12位からスタートしてこの順位になれたのはうれしかったよ。レース全般を通じてクルマの感触もよかった」
第2スティントの好調な走りの成果もあり、ラルフはクルサードの前に立ち、そしてマイルド・セヴン・ルノーのフィジケラとスクーデリア・フェラーリ・マルボロに乗る兄、ミハエル・シューマッハーのすぐ後ろでフィニッシュとなる。この3台の4位争いはチェッカーフラッグまで続いていた。
ヤルノにとって今回のレースはすぐにでも忘れてしまいたい内容になってしまった。
「スタート直後の1コーナーでウェバーから押し出される形になってしまった。そのせいでタイヤがパンクしてしまったし、結果的にそれが私のレースを台無しにしてしまった」と話すヤルノ。「レース後半になると(エンジンバルブ用の)エアー消費量が多すぎることがわかって、それを充填するために2回もピットストップをすることになった。最後はそれもなくなってしまいフィニッシュ目前で止まってしまった」
また、レース中のヤルノには、背後から迫ってきたファン・パブロ・モントーヤに道を譲るよう指示する青旗を無視したと見なされ、ドライヴ・スルー・ペナルティを課されている。モントーヤは最後尾からのスタートだったが最後は2位にまで追い上げている。合計するとヤルノは5回のピットストップを行い(1周目、26周目、47周目、53周目、54周目)、3周遅れの14位扱いとなった。
レースの方はトップを走っていたキミ・ライコネンがリタイヤすると、フェンルナンド・アロンソが独走し12戦目にして6勝目を達成。この結果タイトル争いでは、残り7戦でライコネンに36ポイントのリードを築いた。3位はラッキー・ストライクBARホンダのジェンソン・バトン、4位はフィジケラ、5位はミハエル・シューマッハー、6位はラルフ、7位はレッドブル・レーシングのデヴィッド・クルサード、そして8位はザウバー・ペトロナスのフェリペ・マッサとなった。
シャシー部門テクニカルディレクターのマイク・ガスコインは次のように語っている。「ヤルノにとっては、とにかくやることがすべて悪い方へと行ってしまうレースになってしまった。いっぽうのラルフは12番グリッドからスタートして、とてもいいレースをしてくれた。今日の目標はポイントを獲得することだったし、実際、彼の6位というのは実力で勝ち取った順位だ。レースのファステストラップでもやはり6位だったしね」
5週間で4戦をこなすという慌ただしい夏を送っている今年のF1だが、次は7月31日にハンガロリンクで開催される第13戦ハンガリーGPのためブダペストへと移動する。現在31ポイントを手にしているヤルノはドライバーズ選手権で6位(5位のルーベンス・バリチェロとは31ポイントで同点だが3位フィニッシュの回数の多さによりバリチェロが5位、ヤルノが6位となる)、26ポイントのラルフは8位となっている。コンストラクターズ選手権では57ポイントのパナソニック・トヨタ・レーシングが4位となり、5位のBMWウィリアムズF1チームに10ポイントの差をつけている。
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