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Rd.13 Grand Prix of Hungary Keizo Takahashi report
grand prix
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高橋敬三リポート:日曜日

2005年7月31日(日)

応援ありがとうございました。ハンガリーGPの決勝についてご報告いたします。

●ラルフ初の表彰台は、すべての要素がプラスに働いた結果
望みどおりの結果が得られたのは本当にうれしいですね。今回表彰台が獲れたのはひとつだけの要因ではありません。まず、クルマが速かったのがひとつ。そのうえで戦略がうまく機能し、さらにタイヤをうまく使うことができた。ドライバーも最後まで全力で走ってくれました。こうしたいろんな要素がすべてプラスに働き、結果として3位、4位という成績が得られたのだと思います。

レース中に心配したのはヤルノのことです。スタート直後の1コーナーで追突されましたが、モニターではディフューザーが壊れたように見えました。ドライバーはあまり衝撃を感じなかったようでしたが、影響が一番心配でした。データを解析した結果、それほど大きな損傷ではないことが分かりました。ただその後、ヤルノのクルマはバランスの変化が顕著に出たんです。アンダーからオーバーへとかなり大きく変化したので、1回目のピットストップで空気圧を調整、2回目のピットストップで空気圧に加えてフロントウイングの調整を行いました。結果、レースを通じてトップと同レベルのペースで走ることができました。

一方、ラルフにはまったく問題なく、本当にいいペースで走れました。3回目のピットストップの後で2番手を走るフェラーリに追いつきました。ペースを上げてプレッシャーを掛ければ何が起きるか分かりませんから、ラルフには回転を上げるよう指示を出して、「抜け、抜け」とやったんですが、抜くのはやっぱり無理でしたね。

スタート直後、4番手、5番手を走行するヤルノとラルフ。ヤルノはスタート直後の1コーナーで後続のクルマに追突されたが大きなダメージはなく、4位でゴール。  

●プラクティスを通じて自信を取り戻す
金曜日のプラクティスから好調でしたが、プラクティスでは他のチームがどれくらいの燃料を積んでいるのか分からないこともあり、相対的に速いのかどうか分からないところがありました。ただ、土曜日になるとセットアップがさらに良くなったうえ、シミュレーションをした結果、ポテンシャルがあるという判断ができるようになりました。自信が出てきたのはこの時点です。

3ストップで好成績を望むには速いクルマが欠かせないのですが、速いクルマを準備することができました。ならば3ストップで行こうと決断しました。その場合。ドライバーは予選アタック並みの全力の走りを続けないといけないのですが、ドライバーも見事にそれに応えてくれました。

タイヤもレースの最後までうまく使い切ることができました。レースでのパフォーマンスの変化について、フランス、イギリスでは課題を残しました。その後のテストで対策品のテストを行いました。ホッケンハイムではトラフィックに引っかかったこともあり、順位的には目立ちませんでしたが、タイヤ自体はうまく使うことができたという感触を得ることができました。今回タイヤをうまく使うことができ、レースの最初から最後までペースを維持することができたのは、これまでの失敗の経験が生きた、と感じています。タイヤの問題は克服することができました。今後の課題は、クルマをもっと速くして、マクラーレンに追いつくことです。

●表彰台の真ん中を目指し、エボリューションを続ける
TF105のエボリューションを続け、もっと進化させなければいけません。久しぶりに表彰台に上がったうえ、2台そろって上位入賞を果たすことができました。来年に向けた開発も始まっていますが、まだ今シーズンは6戦残っています。来年も大事ですが今年も大事です。残りの6戦を頑張ることが来年につながると思いますので、今年のクルマをさらに改良し、マクラーレンに追いついて表彰台の真ん中を獲る。諦めずにやらなければいけないと思います。

今回の表彰台が本当にうれしいのは、ラルフがトヨタ入りして初めて表彰台を獲得したことです。彼は今まで不運に見舞われていましたが、これで完全にペースに乗ったことでしょう。ヤルノはスタート直後にディフューザーを損傷したにもかかわらず、いいペースで走ってくれました。ふたりのドライバーがそれぞれ実力を発揮する、いい回転になってきたと思います。次のトルコに向けてこの調子を維持したいですね。

公式サイトへのアクセスありがとうございました。今後もパナソニック・トヨタ・レーシングへの応援よろしくお願いします。

高橋敬三プロフィール
レース後喜びに沸くトヨタF1チーム。ラルフはトヨタで初めて、チームとしては今年4回目の表彰台獲得となった。