グランプリ > 2005グランプリ > ベルギーGP > プレスリリース
Rd.16 Grand Prix of Belgium report
grand prix
ベルギーGP決勝 波乱のレースでR.シューマッハーが7位入賞
一時は首位を争うも、攻めのタイヤ選択が裏目に。J.トゥルーリは終盤無念のクラッシュ
2005年9月11日(日)(ベルギー・スパ・フランコルシャン発)

9月11日(日)、F1第16戦ベルギーGPの決勝レースがベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われた。朝からの雨はやんだものの、路面はウェットで、気温17度、路面温度18度、湿度90%というコンディションで、午後2時にレースが開始された。5番手グリッドからスタートしたラルフ・シューマッハーは、1周目に8位までポジションを落とすが、10周目、先陣を切ってピットインすると、その直後にジャンカルロ・フィジケラ(ルノー)のクラッシュにより、セーフティカーが導入。ここで上位グループのほとんどがピットインすることで、ラルフ・シューマッハーは3位に浮上。その後、2位にポジションを上げ、さらに首位を行くJ.モントーヤ(マクラーレン・メルセデス)とテール・トゥ・ノーズのバトルを展開する。その後、23周目の2度目のピットインで、ドライタイヤへの変更を試みるが、これは裏目に出て、翌周再度ピットイン。14位までポジションを落とすことになってしまった。しかし、そこから再び追い上げを見せ、ポイント圏内の7位でフィニッシュした。一方、ヤルノ・トゥルーリは、スタート順位の3位で序盤を走行。セーフティカー導入時のピットインで、ドライタイヤに交換するが、路面状態には合わず、すぐに再度ピットイン。大きく後退を余儀なくされ、追い上げを図ったが、35周目にクラッシュ。無念のリタイアとなった。
優勝は、キミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)であった。

ラルフ・シューマッハー : カーナンバー17 
シャシー:TF105/05
 


決勝順位 :  7位  44周/44周(トップと1分27秒574差)
グリッド :  5番手

「とても厳しいレースだった。セーフティカー導入のタイミングは我々には有利に働き、良いポジションにつけられた。あのコンディションでの“TF105”も好調で、全てが上手く行っており、戦略も明確だった。しかし、ドライタイヤへの変更の決断は早過ぎた。非常に難しい決断であり、私も納得したが、それは正しい選択ではなかった。他のチーム同様に、我々ももっと早く路面が乾くと予測していたが、実際には、信じられないほどゆっくりと路面は乾いていった。路面は驚くほど滑りやすく、こんな状態でのレースは記憶にない。その後我々は追い上げ、2ポイントを獲得することが出来た。チームは非常によい仕事をしてくれた。ただ、一つ決断が間違っていただけだ」

ヤルノ・トゥルーリ : カーナンバー16 
シャシー:TF105/07
  


決勝順位 :  リタイア  34周/44周
グリッド :  3番手

「今日は、間違いなく表彰台を争える実力があった。“TF105”は非常に速く、序盤は、マクラーレン・メルセデスの2台に遜色ないペースで走ることが出来た。ハンドリングも良好で、タイヤも非常に良かった。しかし、セーフティカーが導入されたとき、我々は短時間で、タイヤをどうするかの判断を強いられた。コース上にはまだ濡れた路面が残っており、私はインターミディエイトタイヤのままで行きたかったのだが、チームはドライタイヤに換えることを決断した。それはちょっとしたギャンブルであり、結局の所、正しい選択ではなかった。セーフティカーの後でコースに戻ったときには、なんとかペースを維持出来たが、結局再度のピットインを強いられ、ポジションダウンを余儀なくされてしまった。その後、追い上げて行ったが、終盤、ティアゴ・モンテイロ(ジョーダン)の後に付いたとき、彼がピットレーンでの速度リミッターボタンを誤って押してしまったようで、私はどこに逃げることも出来ず、彼に追突してフロントウィングを失い、壁にクラッシュしてしまった」

高橋敬三 : 技術コーディネーション担当ディレクター

「路面が乾くのが思ったより遅く、タイヤ交換の判断が難しいレースだった。両ドライバー共に全力で走ってくれただけに、今回の結果はとても残念だ。今シーズンも残り3戦となったが、残るレースも全力で頑張りたい」

冨田 務 : TMG会長 兼 チーム代表

「2台が表彰台を狙える状況にありながら、チャレンジングな賭けに出て、それが叶わなかったことは非常に残念だ。最初のスティントでは、我々のペースは非常に速く、上位争いを展開することが出来た。その時点では、非常によい結果へと向かっていたが、セーフティカーが導入されたときに、我々は、タイヤの変更に関して誤った決断をしてしまった。ラルフ・シューマッハーにとってはセーフティカーのタイミングは上手く働いたが、ヤルノ・トゥルーリには、走行ラインがやや乾いていると判断し、ドライタイヤに変更してしまった。どうするか決める必要があったのは確かだが、我々の決断は誤っていた。そして、ラルフ・シューマッハーの2度目のピットストップでも、同様の決断を下し、ポジションを失ってしまった。とはいえ、我々が今日採った戦略には満足している。我々は勝つためにF1に参戦しているのであり、次善の結果を受け入れるよりも、積極的にギャンブルに打って出ることを選ぶ。少なくとも今日、我々はウェットレースでの戦い方について、価値ある経験を積むことが出来た」