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Rd.17 Grand Prix of Brazil report
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ブラジルGPを終えて
ヤルノ・トゥルーリQ+A
ブラジルGPを終えたヤルノ・トゥルーリに、苦しい展開となった今回のレースを振り返ってもらった。~TMG広報スタッフ
2005年9月30日(金)
●ブラジルGPはいかがでしたか?
「インテルラゴスは好きなコースだ。かなりのテクニカル・サーキットだし、いいレースができると期待していた。でも残念なことにフリー走行でエンジンを交換しなければならなくなって、そのせいでグリッドが10番手降格になり18番グリッドからのスタートになった」

●それはあなたにとっては新しい経験だったのでは?
「確かにね!2005年は1基のエンジンを2レース続けて使わなければならないわけだけど、われわれのエンジンの信頼性はずっと素晴らしくて、エンジン部門の人たちは最高の仕事をしてくれている。何らかのペナルティを受けたのは今回が初めてのことだったけど、ここまで目にしてきたように、いくつかのトップチームはもっと頻繁にこういった事態を招いているわけだからね。今年の私の予選順位を振り返ってみると、ブラジルGP前の16レースでトップ5入りしたのが13回で、トップ10から落ちたことは1度もない。だから……、そうだね、今回のグリッドは私にとってはなんだか馴染みのない位置だったよ!」

●インテルラゴスの特徴を教えてください。
「ターン12の“ジュンカオ”からターン1までは、かなり急な上り坂のセクションで、ここではアクセル全開で走る。コースは反時計回りだから、レースが進むにつれて首にキツくなってくる。クルマに関して言えば、このコースではどうしても強力なエンジンが必要になる。バックストレートもかなり長いけど、そこからインフィールド・セクションになるとかなりタイトなコーナーが続く。このせいでセットアップではバランスの取れた妥協点を探さなければならなくなる。曲がりくねった部分ではダウンフォースが欲しくなるものの、ストレートでは不要だからね。追い越しのポイントは現実的には1個所しかない。それがターン1だ。だからストレートで簡単に抜かれないようにするためには、あまりウィングを立てないように注意する必要がある。予選の1周の走りでベストラップを刻むための理想を言えば、追い越しを気にしなければならないレース用のセットアップよりも、もっとダウンフォースをつけた形になるだろう。でも今は、当然のことながら、予選を終えたときのセットアップでレースを走らなければならないからね」

●レースで順位を上げるために、グリッド降格のペナルティが課されるとわかった段階で、チームは予選時に燃料を重くしてレースの第1スティントを長く走る戦略にしたのでしょうか?
「そう、基本的にはそういった戦略だった。その意味では、ペナルティを受ける前の私の順位が8位だったことを誇らしく感じている。レースでは1回目のピットストップをなんと32周目まで引っ張った。これはレース距離の半分まであと3周という長さだった。クルマに搭載されていた燃料がどれほど重かったかが、ここからもわかると思う。ただしこういう状況で難しいのは、他車の追い越しがとにかく困難だということだ」

●最終ラップで止まってしまったのはなぜですか?
「エンジンにニューマチック系のトラブルが起きたからだ。鈴鹿で新しいエンジンにしなければならないかを決める前に、チームはエンジンの状態を詳しく調査する予定だ」

●トヨタの一員として日本へ向かうのは楽しみですか?
「実際のところ、日本でレースするのは大好きなんだ。鈴鹿はドライブするのに最高のサーキットだし、私がトヨタで“暫定ポールポジション”を獲ったのも去年の日本GPだった。あのときは、日曜日のレースの前に、2回の予選セッションを実施したんだ。鈴鹿周辺に台風がやってくるという予報のため土曜日のセッションをすべて取りやめにしたからね。ドライバーがみんなサーキットホテルでぶらぶらしながら、結局はやってこなかった台風の襲来を待っていたわけだけど、あれはかなり珍しい状況だったね。でも、何かが起こってからあれこれ言うよりも賢明な選択だったと思う。それにボーリングをしてみんなと一緒に食事する機会もあったしね」

●鈴鹿では何がそれほど特別なのでしょう?
「鈴鹿は滑らかなコーナーが続く高速サーキットだ。あそこではいいリズムと強い意志が必要になる。S字はドライバーにとって手強いセクションだし、130Rは多少変更されたものの、今でもかなりの高速コーナーだ」

●日本のファンはF1に対して特別な好意を持っているのでしょうか?
「そういう風に見えるね。レースに集まる観客は以前のほうが今よりも多かったんだ。観戦チケットを希望する人が定員の6倍にもなってしまって、そのために当選者を決める抽選をしたほどだからね。雨が降っているのに、いい席を確保するために外に置いてあるテーブルの上で寝ている人がいたのを覚えている」

●日本にはいつ行くのですか?
「レース前の火曜日に到着する。それだけ前に着いておけば、時差を調整するための余裕もできるしね。実は今回はヨーロッパ時間の5時間遅れになっているブラジルGPの後だから、かなりキツいんだ。日本へ向かう前にヘレス・テストのために一度スペインに戻ったし、それに今度は8時間先にずれるわけだからね。こういった旅行の間中、気を付けておかなければならないのは、時差ぼけの影響を最小限に抑えるために正しい時間に食事し、正しい時間に眠るように心掛けて、身体の水分を十分に保っておくことだ」

●残りは極東での2レースだけになりましたが、自分にとっての今シーズンをどう評価していますか?
「非常によかったと思う。直近の数戦ではコンストラクターズ選手権の3位の座を巡ってフェラーリに挑戦できるかも、というところまできたしね。それにそう思えたのは、自分たちにその力があるんだという確信が持てたからだ。でも、状況はそれほどわれわれにとって有利な展開にはならなかった。でも全体的に見れば、自分が想像できた以上のシーズンになったし、そのハイライトと言えば、第2戦マレーシアGPの2位と、同じく2位のバーレーンGPだろうね」

●(ドライバーズ選手権で)チャンピオンが決定した流れについてはどう思いますか?
「別の人間がワールド・チャンピオンになったのはずいぶんと久しぶりのことのように思える。ここ数シーズンは、まるでミハエル・シューマッハーが個人的な所有権を持っているかのようだったからね!フェルナンド・アロンソのドライブはシーズンを通じてとてもよかったと思う。彼自身と彼のチームは共に非常に高い信頼性をと安定性を見せたし、それにもちろん彼は私の元チームメートだから、彼には心からの祝福を送りたいと思う!」

●タイトルに挑戦するためにトヨタに必要なものは何でしょう?
「(ルノーと)同じようなことだと思う。今年はコンストラクターズ選手権でトップ3に挑戦できるほど、非常に大きな進化を遂げたけど、このチームはまだ比較的若いということを忘れてはいけない。今年の終わりで4シーズンを終えたことになるわけだけど、フェラーリとマクラーレンとルノーの経験を合計すれば125年にもなるんだからね!」