みなさん、こんにちは高橋敬三です。応援ありがとうございました。ブラジルGPの報告です。
前戦ベルギーが終わって、ブラジルGPの前にシルバーストーンで行われたテストでTF105Bを走らせました。しかし、テストは雨に見舞われるなどしたため、Bスペックのクルマは今回のインテルラゴスには投入していませんが、新しい空力パーツを投入しています。フロントウイングと、サイドポンツーンにある大型フィンの下にあるスプリッターを変更しました。また、ヤルノに関してはフレッシュエンジンを搭載しています。ただし、スペック自体はこれまでのものと同じです。
●金曜日:バンプに悩まされるも、順調にプログラム消化
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トラブルによりエンジン交換をしたトゥルーリはスターティンググリッドの10降格により、17番手スタート。 |
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午前中は路面がホコリっぽく滑りやすくて、グレイニング(タイヤのささくれ摩耗)も出ました。さらにインテルラゴス特有のバンピーな路面にも悩まされました。特に路面が再舗装されたインフィールド前半区間であるターン6からターン8までが、逆にひどくなっていたため、ドライバーたちは飛び跳ねるクルマと格闘しながらの走行となりました。
今年のブラジルGPは週末ずっと曇り空で涼しい天候が予想されていて、今日も気温は午後に入ってもあまり上がらず、路面温度は逆にセッション後半には下がっていくほどでした。しかし、第3ドライバーのゾンタを含め、われわれ3台のクルマはトラブルなく順調に周回を重ねることができ、予定していたタイヤ選択に向けてのプログラムはすべて消化することができました。
2種類のタイヤの走行データもきちんと取れ、その差があまりないので、タイヤ選択はそれほど悩まずに済みそうです。しかし、車両バランスに関しては、まだ改善の余地が残されていますね。いかにバンピーな路面でクルマの挙動を安定させるかというのが、明日へ向けての課題になるでしょう。初日を終えた段階でのタイムやポジションに関しては、コース上での渋滞に引っかかった結果なので、そんなに心配していません。
●土曜日:鈴鹿をにらんでエンジンを交換
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ラルフはアンダーステアと格闘しながら、最後まであきらめないねばり強い走りで1ポイント獲得。 |
予選は残念な結果となりました。まずヤルノの予選前エンジン交換について説明すると、ニューマチック圧力の消費が大きく、レースではピットストップ時に補充すれば最後まで走りきれる可能性もあったのですが、このエンジンは次の鈴鹿にも使用するので、『だったら、ここで交換しておいた方がいい』という結論を下しました。
午前中のフリー走行では、ヤルノのクルマはセッティングがバッチリだっただけに残念。ドライバーには申し訳ない気持ちでいっぱいです。したがって、ヤルノは10番手降格が決定している中で、予選アタックに臨むことになりました。しかし、ヤルノは腐ることなく、きちんと自分の仕事を果たしてくれました。インテルラゴスは抜きにくいので、たとえ10番手降格が決定していても、ひと桁の予選順位を獲得すれば、最後尾スタートは免れます。6番手から8番手に入ればいいと考えていましたから、十分な結果です。
一方、ラルフのクルマにはまったくトラブルはなく、午前中のセットアップ作業も順調に終え、さらにヤルノと異なるオプションタイヤを選択したので、予選ではかなりやれるだろうという手応えがありました。しかし、タイムアタックに入った瞬間、突然クルマが予期せぬアンダーステア症状を抱えて、午前中の自己ベストを上回ることができずにアタックは終了しました。
いずれにしても、上位グリッドからのスタートではありませんが、コンストラクターズ選手権争いがあるので、最後まであきらめずに頑張ります。ブラジルのレース結果は次の日本GPの予選走行順につながるので、日曜日のレースではポイントはもちろんのこと、たとえポイントが獲得できなくても、ひとつでも上位のポジションを狙うレースとなるでしょう。
●日曜日:フラストレーションがたまるレース
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サイドポンツーン横のフィンの下にあるスプリットが2枚の仕様となっている。 |
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フラストレーションがたまるレース結果となりました。まず、18番手からスタートしたヤルノが、前方で発生したスタート直後の事故を避けるために、コースの外側を大きく迂回しなければならず、結果的に他のクルマにポジションを譲る形となったのが痛かった。これでしばらくジョーダン(カーティケヤン)に引っかかり、その後はB・A・R(佐藤琢磨)を抜けず、1回目のピットストップ後は再びB・A・Rの後ろに回ってしまうという悪循環が続きました。
さらにヤルノのエンジンはこの日もニューマチックバルブのエア消費が大きく、ピットストップごとにエアを補填しながらのレースを強いられ、最後はリタイアせざるを得ない状況になりました。週末に2台同じトラブルに見舞われたことを深刻に受け止め、日本グランプリまでに原因を究明して、きちんと対策するつもりです。
チームメートのラルフは1コーナーでの混乱に巻き込まれることなく、いいスタートを切ったのですが、こちらも前日から悩まされていたタイヤの症状が解消されないままのレースとなりました。レース中もグリップ感がなく、特にレース前半は非常に運転しずらい状況だったそうです。それでも、ラルフは粘り強いレースを披露し、8位に入賞してくれたことがせめてもの救いです。ヤルノもリタイアに終わりましたが、18番手からスタートして13位完走となったので、次の日本グランプリの予選は、良くもないけれど、悪くない走行順を得ることができました。
これでコンストラクターズ選手権3位を走るフェラーリとの差が広がりましたが、まだまだチャンスはあると思います。この後、スペインのヘレスでTF105Bを走らせ、そのパフォーマンスが確認できれば、日本グランプリへの投入も充分あり得ます。そしてエンジンも、今季もっともパワフルなものにバージョンアップさせる予定です。最後まで全力で開発を続け、鈴鹿では今季最高の走りを日本のファンの皆さんに披露したいと思っています。そして、世界中各地で応援してくれるファンの皆様も期待していて下さい。頑張ります。
公式サイトへのアクセスありがとうございました。
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