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Rd.18 Grand Prix of Japan report
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波乱の予選は2台の明暗が分かれる結果に
明日の日本GP決勝に向けて予選が行われたこの日、パナソニック・トヨタ・レーシングは歓喜と落胆を一度に体験することになった――ラルフ・シューマッハーがポールポジションを獲得したが、いっぽうで、ヤルノ・トゥルーリはスピンを喫しコースアウトとなっている。
2005年10月8日(土)

混乱に陥ったアメリカGPでヤルノがポールポジションを獲得して以来、トヨタが予選でトップに立ったのは今年これで2回目になる。昨日の天気予報がぴったりと当たったこの日、鈴鹿サーキットは朝の雨の影響で滑りやすい状況となり、さらには予選セッションで最後に走るドライバーたちは激しい雨にさらされることとなった。

ラルフの出走順は13番手で、激しい雨が降り出す前だった。ラルフは予選アタックに入るとすぐに第1セクターで最速タイムを記録し、トップをうかがう姿勢を見せる。そしてトリッキーな第2セクターを含め、残りの周回をうまくまとめ1分46秒106を記録。ラッキーストライクBARホンダのジェンソン・バトンを0.035秒差で抑え、ポールポジションを獲得した。この結果、史上初めてフロントローをトヨタとホンダが占めることになった。日本GPにこれほど相応しいお膳立てはないだろう!

「母国GPでトヨタにポールポジションをもたらすことができたなんて最高だ」と話すラルフ。「路面は信じられないほど滑りやすかったし、クルマから最大限のパフォーマンスを引き出すのとプッシュし過ぎとの境界は本当にギリギリだった。でもわれわれはまさにドンぴしゃのところで走れたし、ようやく自分にとって状況がうまく転がってくれたことをとても嬉しく思う。今年は運に恵まれていなかったから、メカニクスたちと話ながら、ヤルノが予選のラップを始めたら雨が降り始めるかも、なんて冗談を言っていたんだ!」

「昨日と今日を終えて、われわれは上位を走れる可能性が十分にあると感じていたから、戦略もかなりアグレッシブなんだ。レースで優勝を狙えないなんて思いこむ理由はひとつもないしね。特に今回は速いクルマがグリッドの後方になったから、もしかしたら自然にそれ(優勝)が現実になるかもしれない」

雨によるコース・コンディションの悪化と、前戦の上位入賞者が最後に走るという1ラップの予選方式が相まって、新チャンピオンのフェルナンド・アロンソとチーム・マクラーレン・メルセデスの2人はいずれも最悪なコース・コンディションの中、予選を走ることになった。結果として彼らはグリッド後方に沈み、レースでは前方の集団を追い越しながらのレースを強いられることになる。

トヨタへ初優勝をプレゼントしたいラルフにとって最大のライバルになるのは、マイルド・セブン・ルノーのジャンカルロ・フィジケラだろう。彼は1分46秒276で3番手につけている。今シーズンの開幕戦のメルボルンで優勝を飾っている彼は、シーズン2勝目にも自信を見せている。ただし彼のほうにはルノーのコンストラクターズ選手権の行方がかかっているだけに、その分、重荷を背負っているとも言える。

3位以下の順位は、レッドブルのクリスチャン・クリエンが4位(1分46秒464)、5位がBARホンダの佐藤琢磨(1分46秒841)、6位がもう一台のレッドブル、デヴィッド・クルサード(1分46秒892)となっている。

いっぽうのヤルノのほうは、マクラーレンの2台とアロンソと共に、グリッド後方からのスタートとなる。

「シーズンを通してずっと予選ではいい結果を出してきただけに、ここでこういったことが起こってしまったことに対して、自分でも大きなフラストレーションを感じる」と話すヤルノ。「でも今週末はウェットでもドライでも、とにかくクルマのハンドリングが思わしくなかった。今の私にできるのは、レースで自分のほうに転がってくるチャンスをすべて生かせるよう集中して、ポイントを獲得できるよう前方の集団を追い抜いていくことだけだ」

シャシー部門テクニカルディレクターのマイク・ガスコインは次のように話している。「ヤルノは残念ながらデグナーカーブでコースアウトしてしまった。だがラルフは非常に難しい路面状況の中、見事にポールポジションを獲得してくれたので、明日は力強いレースが期待できるだろう。ドライバーは2人とも、今回初めてレースを走るTF105Bに対して、“レースディスタンスでは以前よりももっと安定して力を発揮できる”と判断している。明日は日本のファンの皆さんの前で、力強いレースができることを楽しみにしている」