シンガポールGP
テクニカルインサイト
パスカル・バセロン Q+A
●新しいコースへの準備はどのように進めるのでしょう?
「我々のシンガポールGPに向けた準備はいつもとほぼ変わらない。2004年以降、新しいコースを幾つか経験しているが、全般的に全てがスムーズに進んでいる。新しいコースへの挑戦には慣れているので、その点に不安はない。3週間前の初めてのバレンシアGPの週末でも成功しているし、シンガポールでも同じアプローチで臨むつもりだ。もちろんシンガポールのコースレイアウトは精査済みだし、他の幾つかのコースとやや似ている部分も見つかっている。その結果、今回は高ダウンフォースのサーキットである、という結論に達したので、空力のセットアップに関してはどの方向へ進むべきかも分かっている。かなり初期の段階で検討した他の要素としては、ブレーキへの負荷の厳しさが挙げられる。ブレーキを変更しなければならない場合、作業に長い時間がかかるため、これは非常に重要な要素と言える。シンガポールがブレーキに対して非常に厳しいことは間違いないし、恐らくかなり(ブレーキを)高温の状態で使い続けることなると予想している」
●夜のレースは物事を複雑にするものなのでしょうか?
「我々はそれに対しても準備している。我々のチームスタッフのかなり多くがル・マン24時間レースを経験しているので、多分その点は幾分アドバンテージがあるはずだ。お陰で我々はナイトレースがどんなものなのかが良く分かっているし、とにかくミスを避けるために何が必要なのかも分かっている。また、ダッシュボード上のライトやピットストップでの対応についてもね。私は夜のレースに向けてワクワクしているし、それに私にとってはこれがハイライトになるだろう」
●時差のある地域では疲労が課題になるでしょうか?
「過度の疲労を避けるため、チームのスケジュールはほぼヨーロッパの時間帯のままにしておくつもりだ。できる限り2度の時差変更をしないように努めている。そうしないとまずはシンガポールの時間帯に合わせようとして、次に金曜日以降は仕事の時間に合わせてもう一度時差を調整することになるからね。そうなると身体的にも辛くなるだろう。我々のロジスティクスチームは、このイベントの計画に多くの時間を費やしてきたし、私としてもチームは最低限の乱れのみでこれを切り抜けられると自信を持っている。通常通りの睡眠時間でみんなの調子をいい状態に保っておくことがどれ程重要なのかを過小評価はしていないよ」
●雨の可能性については如何ですか?
「どの日もある程度は雨の可能性があると考えている。現実的に考えて、ドライバーが夜のドライビングで雨にも対処しなければならなくなる可能性は大いにあるだろう。あの地域では今季非常に雨が激しくなっているしね。不確定要素の一つなのが、照明設備のライトがどの程度雨粒に影響されるのかと、その場合にどのくらい視界に影響が出るのかという点だ。あらゆる要素を考慮すると、モンツァでの金曜日午前中のフリー走行時より暗くなるかどうかは疑問だけどね!」
●ではドライバーにとってはモンツァよりも雨の不安が大きくなる可能性があると?
「低ダウンフォースかつ超高速のモンツァはやや特別なケースだ。雨のモンツァを走るのが好きなドライバーが数多くいるとは思わない。水滴が木立の合間に溜まるし、とにかく前が見えなくなるからね。シンガポールにはそれと同じような難しさはないはずだが、ただしクルマをコース上に留めて防護壁にぶつからないようにするのはやはり難しいだろう。スピードとクルマのドライバビリティに関しては、モンツァより1段階楽になるはずだ」
●コースの路面とタイヤに関してはどんな情報を持っていますか?
「バンプに関してはコース状況を把握しているが、特に通常と大きく異なる部分はない。ブリヂストンからは路面の粗さについて情報をもらっており、今回はモナコやモントリオールと同じくブリヂストン・ポテンザ・タイヤのスーパーソフトとソフトを使うことになる。ただし、モントリオールとモナコでは路面が非常にスムーズなため、タイヤの熱入れとグリップに関して問題が生じることもあるが、シンガポールではタイヤコンパウンドに対し路面がやや粗く厳しいため、もっと普通の状態に近くなると予想している」
●高ダウンフォースのシンガポールのコースは、TF108の長所に対し有利に働くでしょうか?
「最近の我々が弱さを見せたのは、かなり低ダウンフォースの傾向が強かった時だけだ。その原因がどこにあるのかは完全に明確になっていないが、シンガポールは我々のパフォーマンスの幅にしっかりと収まると考えている。クルマには1~2カ所、小さな変更を行うが、それ以外に大きな変更はなく、誰もが今回のレースを大いに楽しみにしていると思う
」