パナソニック・トヨタ・レーシングは、スペイン・バルセロナのカタルニア・サーキットで行われているF1合同テストにおいて“TF106”のシェイクダウンを行っている。後部デザインが変更され、前部も進化したシャシーに新たなV型8気筒“RVX-06”エンジンを搭載、そして、ブリヂストンタイヤを初めて装着という、初走行は、ヤルノ・トゥルーリとリカルド・ゾンタによって行われた。4日間の合同テストの前半2日間を終え、後半2日へとテストは続くが、3ヶ月後の2006年シーズン開幕戦バーレーンへ向けて、他チームに先駆けて新型車を投入したことが開発への大きな優位性を持つことは間違いない。
ヤルノ・トゥルーリ: TF106/02
29日 ベストラップ:1分18秒641 周回数:82周
30日 ベストラップ:1分17秒019 周回数:65周
V型8気筒エンジンをテストするのは初めてですが、どのような感触でしたか?
「全体的に非常に良い感じだった。なにより、“TF106”のハンドリングとエンジンのパワー、そして、全体的な感触の良さにとても驚かされた。開発は正しい方向に進んでいると思う。走りも良く、競争力も高い。非常によいスタートが切れた」
新しいタイヤについてはどうですか?
「タイヤも非常に良く、納得行くスタートとなった。安定した信頼性の高い周回を重ねることが出来た。走り始めから好感触であった。まだフロントサスペンションの反応についていくつかやるべきことがあるが、エンジニアは既に、この問題について長い時間をかけてテストを重ね努力してきており、開幕戦までには解決出来ていることを期待している」
リカルド・ゾンタ: TF106/01
29日 ベストラップ:1分17秒821 周回数:58周
30日 ベストラップ:1分17秒440 周回数:20周
昨日と今日の2日間、どんな作業に集中したのですか?
「昨日はタイヤのセットアップを行ったが、今日はあまり周回数を延ばすことが出来なかった。まだやらなくてはならないことは多いが、私はここで金曜日までテストを行う」
今日はなぜ周回数を延ばすことが出来なかったのですか?
「燃料ポンプに若干のトラブルが出たため、チームはこれを交換する決断をした。その作業に時間を取られたため、午前中は走ることが出来なかった」
V型10気筒エンジンとV型8気筒エンジンを比較して、第一印象は?パワー不足を感じますか?
「とても好印象だ。カタルニア・サーキットは高速コーナーを持ち、V型8気筒エンジンのテストにはとても向いているコースだが、そこでもパワー不足を感じることはなかった」
新しいシャシー、新しいエンジン、新しいタイヤでのテストを要約すると?
「新型車“TF106”開発のこれまでの仕事ぶりに非常に感銘を受けている。もちろん我々はこれからも、シャシー、エンジン、タイヤの一体となってどのように働くか理解すべく、ハードな作業を続けていく必要がある」
マイク・ガスコイン: シャシー部門テクニカルディレクター
この2日間のテストの主な目的は?
「大きな機械的トラブルには全く見舞われなかった。ヤルノ・トゥルーリは特に、トラブルフリーで合理的な2日間のテストを過ごした。リカルド・ゾンタの“TF106”は、1日目に油圧系の漏れと、2日目に開発中の燃料ポンプに問題が発生した。しかし、それ以外、本当にテストプログラムに影響を与えるような問題は起こらなかった。全体的に見て、この2日間、2台共に非常に信頼性が高かったと言える」
今回のテストを総括すると?
「非常にポジティブなテストだということだ。我々は良い進歩を遂げている。ラップタイムにおいても競争力は高そうで、これは喜ぶべきことだ。しかし、まだ改善すべき点は数多くあると考えている」
ブリヂストンタイヤと新しい“TF106”との適合性はどうでしたか?
「我々は新しいタイヤを理解するために、テクニカルパートナーであるブリヂストンとともに、全般に渡ってともに作業を行っている。まだやらなくてはならないことは多いが、反面、“TF106”と新しいタイヤの組み合わせにおいて、バランスなどで大きな問題は無かった」
ライバルに対し、新型車でテスト出来る優位性は何ですか?
「早くから新型車でテストを行うことで、シャシー及びエンジンの信頼性についての作業を進められ、そして、何か重要な課題も、解決する時間を持つことが出来る。加えて、ブリヂストンとの開発を新型車で行えることで、変更も最小限で済む。これらのことは、開幕戦直前まで最終的な変更を導入出来る能力と組み合わされ、我々のライバルに対し、優位性を持つと思う。
リカルド・ゾンタはラルフ・シューマッハーとともに、バルセロナでの残りの2日間のテストに参加する。ラルフ・シューマッハーは、“TF106”の初テストを行うこととなる。
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