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Grand Prix Tests
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F1バルセロナ合同テスト最終日 強い雨に見舞われ続行を断念
ラルフ・シューマッハー、リカルド・ゾンタともに1周のチェック走行のみで来週のヘレステストへ
 
2005年12月2日(金)(スペイン・バルセロナ発)
 

パナソニック・トヨタ・レーシングの4日間に渡る、カタルニア・サーキットでの新型“TF106”初テスト最終日は、悪天候で迎えることとなった。雨は止むことなく、チームは予定されていたプログラムを諦め、昼食後、テストを断念。来週ヘレスで行われるF1合同テストに向け集中することとなった。

ラルフ・シューマッハー: TF106/02
初期チェック走行のみ
周回数:0周 走行距離:0km

「今日は有意義な何かを行うためには雨が強すぎた。コンディション次第ではウェットタイヤのテストを行えることもあるが、今日の路面はあまりに大量の雨で覆われていた。そのために、アクアプレーニングの危険があり、検討の結果、早くプログラムを終了せざるを得なかった。新型“TF106”とブリヂストンタイヤで2日間フルに走行できることを望んでいたが、天候に阻まれることになってしまった。とはいえ、木曜日に走行出来たことで、“TF106”には良い印象を得ることが出来た。早い時期から新しいパッケージを導入し、開幕戦のバーレーンへ向けて開発出来るのは良いことであり、チームの組織と“TF106”のポテンシャルの双方に感銘を受けている。我々は冬季に集中的なテストスケジュールを立てており、来週のヘレステストではより多くを学ぶことになるだろう」

リカルド・ゾンタ: TF106/01
初期チェック走行のみ
周回数:0周 走行距離:0km

「今日はあまり語るべきことがない。ただ言えるのは怖かったということだ。いくつかの電子回路のチェックと、路面状態がテスト出来るかどうかを見るために走ってみたが、とても無理だった。出来ればウェットタイヤのテストも行いたかったのだが、今日はあまりに雨が強く、ストレートですら、全開で走ることは不可能だった。この時期の天候は当てにならず、今日の結果は仕方ないが、それでも我々は昨日までの3日間で十分に学び、非常に前向きな印象のままテストを終えることとなった。ブリヂストンタイヤとの作業では、シミュレーション作業での確認だけでなく、いくつかの異なったコンパウンドを試すことも出来た」

雨に祟られたバルセロナのF1合同テスト最終日であったが、その悪天候にも関わらず、ブリヂストンタイヤとの初テストであったパナソニック・トヨタ・レーシングをはじめとするいくつかのチームがピットに残っていた。皮肉にも来週のヘレステストでは、人工的にウェット路面を造り出すことになるかも知れない。

ディーター・ガス: チーフ・レース・エンジニア

「全てのウェット路面が同じというわけではない。今日は雨が強すぎ、ストレートですらフルスロットルに出来ないような状況では、アクシデントのリスクが高すぎると判断した。我々が人工的にウェットコンディションを造り出す理由は、コントロールされたコンディションの下でテストを行うためだ。自然の雨の下では、一貫したコンディションを得ることが出来ず、このことはタイヤの評価を非常に難しくする。レースにおいては、直面する様々なコンディションに対処しなくてはならないが、テストでは一貫性が必要なのだ。今回のテストは、全体的に見れば非常に良いテストであった。我々はブリヂストンタイヤと作業を行ってきたが、まだ慣れる必要があり、今後も重要なプログラムが続く。また、他にも多くの成果があった。特に大きな問題もなく新型“TF106”のシェイクダウンを行えたことは非常に重要で、パフォーマンスは有望と思える」

最新仕様のフロントサスペンションと、新しい後部を持つ新型“TF106”の評価に加え、今週のバルセロナテストで鍵となったのは、パナソニック・トヨタ・レーシングにとって初めての走行となったブリヂストンタイヤと、最新仕様の2.4リッター“RVX-06”V型8気筒エンジンの評価であった。

パスカル・バセロン: 研究開発部門チーフ

「ブリヂストン・ポテンザタイヤでの初テストでは、重量配分とダウンフォースに関してバランスが取れているかどうかを確認する必要があった。剛性と歪みによる避けられない変化を考慮して、車高を予測出来るかが鍵となるポイントの一つだ。我々はそれを予測して設計し、タイヤを取り付けた状態で、走行するコンディションに対応出来るかどうかを確認した。我々はそれを見出したが、ブリヂストンタイヤでこれまでに確認出来たのは、非常に特殊な寒いコンディションのみであり、判断を下すのはやや早過ぎる」

ルカ・マルモリーニ: エンジン部門テクニカルディレクター

「我々は多くを学び、ファクトリーでテストしてきたもののいくつかを確認出来た。しかし、最終日の天候が、より多くの走行を阻むこととなったことは残念だ。次のテストはわずか数日後に控えているが、クリスマスの休暇が3週間後に迫っており、一日でも貴重な時間を無駄にすることは出来ない。それは開幕戦のバーレーンへ持ち込むための、長い製造時間を必要とするエンジンパーツを決定しなくてはならない期間である。1月と2月のテストの時点では、バーレーンへ向けて対応するには遅過ぎる。これが今、一日でもテストの日程を無駄にしたくない理由である。現在、我々は木曜日にラルフ・シューマッハーのエンジンに起こった問題について分析中だ。しかし、あのエンジンは900km余りを走行しており、あまり深刻なものではない。パフォーマンスと耐久性に関しては、3人のドライバー全員から非常に良い反応を得ている。我々には既にレースを戦えるパッケージが用意出来ている。そして、より一層のエンジン改良に取り組んでいる。そこまで多大なリスクを負わなくても対応出来るとしても、我々は、あえて改良を続けていく」