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Grand Prix Tests
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新型空力パッケージを導入して開幕戦へ向けてテストを開始
明日からイタリア・バレルンガテストで空力一新の“TF106”を熟成
 
2006年2月13日(月)
 

2006年シーズンの開幕戦バーレーンGPまで、残すところ3週間あまりとなった。パナソニック・トヨタ・レーシングの冬季テストも最終段階を迎え、明日2月14日(火)からイタリアのバレルンガ・サーキットにおいて、レース仕様の“TF106”の初走行を行う。

このバレルンガテストに投入する“TF106”は、ドイツ・ケルンのTMG施設で50%風洞を駆使し、来るシーズンのために過去6ヶ月に渡って、絶え間なく開発された、全く新しい空力パッケージを装備している。

「風洞での開発時間を最大化することが、これまで常に我々の意図であった」と、シャシー部門テクニカルディレクターのマイク・ガスコインは説明する。

「我々は、“TF106”の機械的なベース車両を昨年11月末から走らせ始められたことで、新しいシャシーと、そして新しいブリヂストンタイヤについて貴重なデータを収集し、同時に、開幕からの3戦のために、ぎりぎりまで先進的な空力パッケージの開発に時間を割くことが出来た。これまでも開幕直後の序盤戦は、いつも信頼性が鍵となってきたが、我々は、100%の信頼性を目標にするだけではなく、100%の戦闘力も持ちたい。我々のシーズンへ向けたアプローチは、必ずしも冬季テストにおいて最速とはならないかも知れないが、シーズンを通じての表彰台獲得、そして初優勝へ向けての挑戦には有効だと思う」

現時点での最高の競争力を追求し、空力性能に影響する全てのエリアにおいて、見直されなかった部分はないと言えるほど全てに改良が行われた。

「現時点で最高の競争力を持つと思われる空力パッケージを得るべく、パーツ一つ一つの全てに至るまで見直しを行った」とマイク・ガスコインは付け加えた。「新しい前後のウィングと、より研ぎ澄まされた形状のサイドポッド、そしてディフューザーも改善されると共に、エンジンカバーとフロアもデザインが変更された。全てにおいて研究され、改良し、テストを経て、再び改善された。我々は開幕戦までにあと2回のテストを予定している。今週のバレルンガテストに続き、来週はバルセロナの合同テストに参加する。そして、その間に冬季テスト期間中に行っているブリヂストンタイヤのテスト作業と共に新空力パッケージの“TF106”との調整作業を行う」

“TF106”は、風洞で着実に仕上げられてきた最も先進的な空力パッケージをタイムリーに得ると共に、長期に渡り慎重に進められてきたRVX-06エンジンの開発からもアドバンテージを得ることになる。この新たな空力パッケージとエンジンの組み合わせが実現する2月14日は、素晴らしいバレンタインデーとなるに違いない。

「今年の初めから、我々はレース仕様の“RVXー06”エンジンでテストを行ってきた。しかし、その結果に満足して開発を停めるようなことはなく、常に勝利へ向けて開発を続けている。例えば、レースウィーク中に自在に使える最高回転数のレベルについて、限界を見極める様々なテストを行っている。また、最近のテストにおいて、2レースウィーク分の走行距離を走り切ることを確認しており、エンジンの信頼性においては自信を持っている。今週のバレルンガテストは、大きく改良された空力パッケージが、エンジンの冷却面で問題ないか確認するために重要なものとなる。特に、シーズン開幕直後は、バーレーンとマレーシアという、酷暑の下でのレースとなるだけに、重要性は高い。さらに余裕を見て、ベンチマシン(エンジン・ダイナモ)上でさらなる進展を遂げている。序盤戦で昨年と同様の活躍を出来る可能性は高く、そうなれば、通常通りの改良を少しずつ行うよりもむしろ、一度に大きなアップグレードを行っていく」

2006年シーズンから、レース中のタイヤ交換が再び許されることになり、勝利への不可欠な要素となった、この極めて重要となるピットストップを短縮すべく、パナソニック・トヨタ・レーシングのピットクルーは、冬季テスト期間中、さらに忙しい日々を過ごすことになった。しかし、チームマネージャーのリチャード・クレーガンは、ピットストップのトレーニングは、これまでも、常に重要であったと説明する。

「昨シーズン、レース中のタイヤ交換は許されていなかったが、我々は緊急時のタイヤ変更を含め、どんな状況にでも対応出来る必要性を感じており、通常のトレーニングプログラムを継続していた。今シーズンは再びレース中のタイヤ交換が許されることになるが、我々がチーム内でトレーニングを続けていたことが活かされることになる。トヨタ生産方式(TPS)を利用し、我々はピットストップにおいても常に改善活動を続けており、そのことがシーズン中に我々の力になることを確信している。タイヤ交換はまた、F1レースに再びスペクタルを加え、また、レース戦略と実践がより興味深いものになるだろう。シーズンが開幕すれば、誰が課題を確実に成し得たか分かることになるが、我々は出来る限りのベストを尽くして来ており、リードすることが出来ると確信している」

“TF106”は、2005年11月29日のテスト走行開始以来、2月9日のヘレス合同テスト終了までに3578周を走破しており、通算走行距離は15749kmに達する。これはバーレーンGPを51回も走ることと同等の距離となる。