- Round8
- TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race Rd.8 鈴鹿サーキット
プロフェッショナルシリーズ レポート
シーズン後半の勢いを維持したまま井口卓人選手が
ポールトゥウィンで2勝目を獲得
年間8戦のシリーズ戦で競われた2016年のTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race。4月からスタートした2016年シーズンも、今回の鈴鹿サーキットで最終戦を迎えることになった。
プロフェッショナルシリーズのチャンピオンは前戦の十勝スピードウェイラウンドで決まっていて、ブリヂストンタイヤを履く♯34佐々木雅弘選手が初の栄冠を手に入れることになった。そのため最終戦の鈴鹿サーキットラウンドは、ランキング2位以降の争いに注目が集まる。
オートポリスの代替戦によってダブルヘッダーとなった十勝スピードウェイラウンドで、優勝と2位を獲得した♯88井口卓人選手がポイントランキング3位に付け、2位の♯906阪口良平選手との差は5ポイント。最終戦の成績次第では逆転可能な状況となっていた。そしてランキング4位以降も混沌としていて、複数のドライバーが好成績を残せばランキングアップの可能性を有していた。
最終戦のエントリー台数は41台で鈴鹿サーキットのフルグリッドが40台のため、1台が予選落ちとなる可能性があった。だが、1台のリタイヤがありフルグリッドとなる40台で予選はスタートすることになった。
10月29日(土)に行なわれた予選は、前々戦の初優勝などシーズン後半の好調を維持している井口選手が、計測1周目に2分31秒572のトップタイムをマーク。31秒台を記録するドライバーは現れるが、井口選手を越えることができないまま20分の予選は時間が経過。残り6分のところで赤旗が出て中断となったが、再開後にも井口選手のトップタイムは更新されず、3戦連続のポールポジションを獲得した。2位は♯60服部尚貴選手、3位は♯369平中克幸選手が獲得した。
10月30日(日)に8周で競われた決勝レース。ポールポジションからスタートした井口選手は、絶好のスタートダッシュで1コーナーをトップで通過。井口選手に続いたのは、4番手から好スタートした♯202蒲生尚弥選手、服部選手、平中選手の順番で1周目を終えた。トップを走る井口選手は、2分31秒726の予選タイムに匹敵するファステストラップで後続を引き離しに掛かるが、蒲生選手も同等のタイムで1秒以内のギャップで追いかける。3番手争いも熾烈となり服部選手と平中選手がテールトゥノーズで周回を重ねる。シケインでチャンスを狙う平中選手は、5周目に服部選手のインに入り3番手を奪取。一方のトップ争いも終盤の6周目にはコンマ2秒差まで詰まり、テールトゥノーズとなった。蒲生選手は130Rからシケインでパスしようとするが、井口選手も絶妙なブロックラインで隙を見せない。均衡した状況がファイナルラップの最終コーナーまで続いたが井口選手が見事に逃げ切って今シーズン2勝目を飾った。2位には蒲生選手、3位には平中選手が入っている。
この最終戦の結果によって井口選手はランキング2位となり、3位は阪口選手、4位争いは2ポイントを追加した♯31青木孝行がランキングを守った。
リザルト
Rank | Driver | Car name | Total time | Gap |
---|---|---|---|---|
1位 | 井口卓人 | CG ROBOT BRZ BS | 20'24.869 | - |
2位 | 蒲生尚弥 | ASICS Blue 86R | 20'24.970 | 0.101 |
3位 | 平中克幸 | GY RACING 86 | 20'29.031 | 4.061 |
4位 | 服部尚貴 | OTG DL 86 | 20'30.844 | 1.813 |
5位 | 吉田広樹 | OTG DL 86 | 20'31.873 | 1.029 |
PICKUP PROFESSIONAL
白熱した戦いをサポートする
タイヤメーカーのエンジニア
ブリヂストン
鈴木栄一さん
「今シーズンは、プロフェッショナルとクラブマンの両シリーズでチャンピオンを獲得することができました。この状況になれたのも競合するメーカーがいるからこそです。昨年と一昨年はヨコハマタイヤさんにシリーズチャンピオンを獲得されました。この『負けたこと』によって得られるものが大きかったと思っています。勝てるタイヤやアイデアを集結し、シーズン途中でも新たなモデルを導入することでシリーズチャンピオンに到達できたと感じています。市販タイヤを使う86/BRZレースは、サーキットやシーズン通して安定した性能を発揮させる必要があるので、非常にハードルの高いレースです」とライバルメーカーがいるからこそ技術が磨かれていくとのことだった。
ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル
藤本廣太さん
「2014年と15年の2年連続でシリーズチャンピオンを獲得したのですが、このシリーズは常に開発競争が熾烈で非常に困難なワンメイクレースです。プロフェッショナル用のADVAN A08Bはシーズン途中で仕様変更を行ない1勝できましたが、シーズンを通しては厳しい戦いとなってしまいました。一方のクラブマンシリーズは十勝スピードウェイラウンドからADVAN A052が使えるようになり、上位を争える状況だと思っています。参戦してくれるドライバーのためにも勝てるタイヤを供給していきたいというのがポリシーです」と今シーズンは苦戦を強いられたが、勝てるタイヤの開発を続けていきたいと語っていた。
日本グッドイヤー
福島亨一さん
「今シーズンから自社チームとなる『GY RACING』から2台をエントリーすることになりました。そのことでより開発スピードが上がって、勝てるタイヤが出来てきたと思っています。シーズン初戦で優勝できたことは、開発ドライバーやエンジニアの努力の賜物です。ただ、シーズン通してパフォーマンスを発揮するのは難しく、しかも1セットで予選と決勝を走るため、ライフと性能のバランスが難しいところです。弊社のタイヤを使用してくれるチームも増えてきたので、より良いモデルを開発していきたいと感じています」と勝てるタイヤの開発を目指して、より進歩させたいと語っていた。
住友ゴム工業
久保北斗さん
「今シーズンは優勝を狙うことができるOTGチームに弊社のタイヤを選択してもらい、開幕戦では2位と5位で好成績を残せました。しかし、その後は気候やコンディションの変化によって苦戦を強いられました。また、ブリヂストンさんが新スペックを投入したことなどによって、困難な状況が続きました。ですが、最終戦は4位と5位を獲得できたので開発の方向性は間違っていないと思っています。シリーズ開催当初は、開発に出遅れていましたが、今後は開発のテンポもアップさせて優勝とチャンピオンを狙っていきます」と今シーズンの状況と来シーズンへの抱負を語ってくれた。
次戦予告
- 2016 TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race Round TGRF
- 開催予定:2016.11.26 ~ 27
場所:富士スピードウェイ
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