NEXT GENERATION ラリーで世界の道を切り拓け! ―北欧フィンランドで奮闘する若きアスリートたち―

摂氏マイナス30度、一面白銀のフィールドで唸りをあげる4輪駆動の日本車。運転しているのは20代前半の若き日本人、新井大輝(あらい・ひろき)と勝田貴元(かつた・たかもと)の2人。
彼らは世界ラリー選手権(WRC)の舞台を目指し、TOYOTA

GAZOO Racingが主催する育成プロジェクト「ラリーチャレンジプログラム」に参加。北欧フィンランドで日夜トレーニングを続けている。
全ては世界中の道を制覇し、ナンバーワンになるために。今回はそんな彼らの素顔に迫ってみよう。

想像できない彼らの生きる世界
彼らが取り組んでいる競技は、モータースポーツのひとつ「ラリー」。舗装された路面はもちろん、舗装されていない土の路面、さらには雪の上でクルマを運転し、そのタイムを競う競技だ。天候も関係ない。フィンランドでは、-35℃の中を走ることもある、とても過酷な環境だ。
かつては映画や雑誌などを通じて若い世代を熱狂させた「ラリー」。しかし、そんな時代を知らない彼らの同世代からは「危なくないの?」と率直に聞かれるという。アンビリーバブルすぎる、飛び抜けたフィールドで彼らは戦っている。

リアル“頭文字D”の世界!?心優しき青年の生きる道

2016年、新井大輝と勝田貴元は共に23歳になる。
そんな2人は71人の応募者があった「チャレンジプログラム」の
オーディション通過を果たした選ばれしアスリートたちだ。

普段の新井大輝は東京電気大学・機械工学科に通う現役の大学生。 人と話すのが好きなのかインタビュー中も常に笑っていた。
親しみやすく、周りの友達を大切にするタイプである。

彼の友達は新井の今をどう見ているのだろう?
「どういう競技をやってるの?と聞かれたら、”頭文字(イニシャ

ル)D※”みたいな感じかな?って答えています。
だいたい『死なないでね』、『気をつけてやってね』と言われます。 (大学の)研究室は先輩も後輩も全員オトコで女子が居ない環境ですし、僕が所属している自動車研究室は、当然クルマに興味のある人が入って来るので、その話をしてキラーンとするのはいつも男性の方です。ははは」

※頭文字Dについて
しげの秀一氏による、走り屋の若者たちを描いた大ヒットマンガ。
『週刊ヤングマガジン』(講談社)にて、1995年から2013年まで連載。単行本全48巻。
http://yanmaga.jp/contents/initial_d

一方、勝田貴元は12歳から最近までサーキットを主戦場とするレースを戦ってきた。
周りの友達も彼のことを「サーキットレーサー」として認識している。 ただ、今、彼が取り組んでいるラリーのこととなると…。
「レースをやってた時は、F1の下の下くらいのやつっていう説明ができたんですけど、(ラリーは)口で説明するのが難しいので、知らない人に聞かれたら、動画見せるしかないですね。こういうの、こういうのって! 友達はオートマチック車限定免許の人が多く、マ

ニュアル車に対するハードルが高いみたいに言ってますね。今はクルマが進化して、快適な“休憩”じゃないですけど、長距離運転しても楽になってきているじゃないですか。そこでマニュアルになると運転も難しいし、疲れるしみたいに言ってて(笑)。

まぁそれもそうだなとは確かに思うんですけど、マニュアルに乗るとクルマの楽しさとか初めてわかることもあるかと思いますから、ぜひ乗って欲しいし、クルマの楽しさを分かって欲しいなと思いますね!」

勝田はレース用の特別なライセンスを取得し、16歳からサーキットでマニュアルミッションのレース車両を運転してきた非常に稀な存在だ。
しかし、新井がクルマの免許を取ったのは19歳で、同世代の人達と何ら変わらない。

こうしてクルマの話や普段の生活の話をしていると2人とも実に屈託のない笑顔を見せる、ごく普通の青年である。そんな彼らは、ありとあらゆるシチュエーションの道を誰よりも速く駆け抜けた者が勝利する競技「ラリー」を戦っている。ライバルは日本人だけではない。世界中にはとんでもないモンスター級の実力を持ったドライバーたちがワンサカいる。そこで勝利を目指すのが、彼らが生きる道なのだ。

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NEXT GENERATION ラリーで世界の道を切り拓け! ―北欧フィンランドで奮闘する若きアスリートたち―

摂氏マイナス30度、一面白銀のフィールドで唸りをあげる4輪駆動の日本車。運転しているのは20代前半の若き日本人、新井大輝(あらい・ひろき)と勝田貴元(かつた・たかもと)の2人。
彼らは世界ラリー選手権(WRC)の舞台を目指し、TOYOTA GAZOO Racingが主催する育成プロジェクト「ラリーチャレンジプログラム」に参加。北欧フィンランドで日夜トレーニングを続けている。
全ては世界中の道を制覇し、ナンバーワンになるために。今回はそんな彼らの素顔に迫ってみよう。

想像できない彼らの生きる世界
彼らが取り組んでいる競技は、モータースポーツのひとつ「ラリー。」舗装された路面はもちろん、舗装されていない土の路面、さらには雪の上で車を運転し、そのタイムを競う競技だ。天候も関係ない。フィンランドでは、-35℃の中を走ることもある、とても過酷な環境だ。
かつては映画や雑誌などを通じて若い世代を熱狂させた「ラリー」。しかし、そんな時代を知らない彼らの同世代からは「危なくないの?」と率直に聞かれるという。アンビリーバブルすぎる、飛び抜けたフィールドで彼らは戦っている。

リアル“頭文字D”の世界!?心優しき青年の生きる道

2016年、新井大輝と勝田貴元は共に23歳になる。
そんな2人は71人の応募者があった「チャレンジプログラム」の
オーディション通過を果たした選ばれしアスリートたちだ。

普段の新井大輝は東京電気大学・機械工学科に通う現役の大学生。 人と話すのが好きなのかインタビュー中も常に笑っていた。
親しみやすく、周りの友達を大切にするタイプである。

彼の友達は新井の今をどう見ているのだろう?
「どういう競技をやってるの?と聞かれたら、”頭文字(イニシャル)D※”みたいな感じかな?って答えています。
だいたい『死なないでね』、『気をつけてやってね』と言われます。 (大学の)研究室は先輩も後輩も全員オトコで女子が居ない環境ですし、僕が所属している自動車研究室は、当然車に興味のある人が入って来るので、その話をしてキラーンとするのはいつも男性の方です。ははは。」

※頭文字Dについて
しげの秀一氏による、走り屋の若者たちを描いた大ヒットマンガ。
『週刊ヤングマガジン』(講談社)にて、1995年から2013年まで連載。単行本全48巻。
http://yanmaga.jp/contents/initial_d

一方、勝田貴元は12歳から
最近までサーキットを
主戦場とするレースを
戦ってきた。
周りの友達も彼のことを
「サーキットレーサー」
として認識している。
ただ、今、彼が取り組んでいるラリーのこととなると…。
「レースをやってた時は、F1の下の下くらいのやつっていう説明ができたんですけど、(ラリーは)口で説明するのが難しいので、知らない人に聞かれたら、動画見せるしかないですね。こういうの、こういうのって! 友達はオートマチック車限定免許の人が多く、マニュアル車に対するハードルが高いみたいに言ってますね。今は車が進化して、快適な“休憩”じゃないですけど、長距離運転しても楽になってきているじゃないですか。そこでマニュアルになると運転も難しいし、疲れるしみたいに言ってて(笑)。

まぁそれもそうだなとは確かに思うんですけど、マニュアルに乗ると車の楽しさとか初めてわかることもあるかと思いますから、ぜひ乗って欲しいし、車の楽しさを分かって欲しいなと思いますね!」

勝田はレース用の特別なライセンスを取得し、16歳からサーキットでマニュアルミッションのレース車両を運転してきた非常に稀な存在だ。
しかし、新井が車の免許を取ったのは19歳で、同世代の人達と何ら変わらない。

こうして車の話や普段の生活の話をしていると2人とも実に屈託のない笑顔を見せる、ごく普通の青年である。そんな彼らは、ありとあらゆるシチュエーションの道を誰よりも速く駆け抜けた者が勝利する競技「ラリー」を戦っている。ライバルは日本人だけではない。世界中にはとんでもないモンスター級の実力を持ったドライバーたちがワンサカいる。そこで勝利を目指すのが、彼らが生きる道なのだ。

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