2020年プレスリリース
TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラム
勝田貴元、初めてヤリスWRCで挑んだモンテカルロで総合7位を獲得
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、1月23日(木)から26日(日)にかけてモナコおよびフランスで開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロに、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦しました。勝田にとっては昨年の第13戦ラリー・スペイン以来、通算3回目となるWRカーによるトップカテゴリー出場でしたが、自己最高位となる総合7位で完走し、ドライバー選手権ポイントを獲得しました。
-
勝田・バリット組
ラリー・モンテカルロは、WRCの中でもっとも長い歴史と格式を誇るイベントです。セレモニアルスタートをモナコ公国で行うなど華麗なイメージのラリーですが、毎年WRCカレンダーの中で1、2を争うほど難易度の高い1戦でもあります。主舞台となるフランス山中の舗装路は、所々に積雪区間があり、濡れている区間は気温が下がると凍結するなど、路面コンディションが刻々と変化します。また、その路面に対応するため多くの種類のタイヤが供給されるのも大きな特徴ですが、凍結路をドライ用のスリックタイヤで走るなど、コンディションに合っていないタイヤで走行しなければならないこともあります。今年のモンテカルロは比較的穏やかな天気が続きましたが、溶け残った雪やアイスバーンも多く、タイヤのグリップが安定して得にくいステージが多くありました。
勝田は昨年、モンテカルロに初めて出場し、R5カーで完走を果たしました。しかし、WRカーでの出場は今回が初めてとなるため、チームは完走して経験を積むことを1番の目標に起き、勝田はそれを達成するため注意深い走りを続けました。モンテカルロの経験が十分ではない勝田のために、かつてヤリスWRCでシーズンを戦ったユホ・ハンニネンが、クレイグ・パリーと共にセーフティクルーとして参加。競技が始まる前にハンニネンとパリーはステージを走行し、最新の路面状況を勝田とバリットに伝えるなど、献身的に勝田をサポートしました。
あらゆるミスを排除するため、計画通り注意深く走り続けた勝田は、金曜日が終了した時点で総合7位につけました。多くのベテラン選手がドライビングミスで順位を落とす中、勝田はトリッキーなコンディションのステージを堅実に走行。土曜日の朝は凍結路面でクルマがスライドして雪壁に当たり、、その際フロントの開口部に詰まった雪を取り除くため停車を余儀なくされ、3分以上を失いました。しかし、午後はペースが向上し、経験豊かなWRカードライバーに匹敵するタイムを記録。日曜日も良い流れを保ち、リスクを負わないアプローチながら好タイムを刻み、目標である完走を果たしました。
勝田貴元: 多くの経験を積みながら、このラリーを完走できたことに満足しています。木曜日にラリーをスタートした時から比べると、大きく成長できたのではないかと思います。異なる路面コンディションや、違う種類のタイヤを履いた時に、どのようにドライブするべきか十分に学びましたし、クルマに対する理解もさらに深まりました。土曜日の朝の路面コンディションは非常に難しく、ミスをしてしまいましたが、その後気持ちを切り替えることができ、良いフィーリングを掴めました。自分がラリー終盤に刻んだタイムは、過去に何度も同じステージを走行した経験を持つ他のドライバーと比べても、良かったと思います。コ・ドライバーのダン、グラベルクルーを務めてくれたユホとクレイグ、そしてチーム全員に感謝します。みんな、本当に素晴らしい仕事をしてくれました。
ヤルッコ・ミエッティネン(インストラクター): タカとダンが、ヤリスWRCでラリー・モンテカルロを走り切ったことを非常に嬉しく思います。今回は経験を積むために完走することが目標だったので、コンディションが変わったり、悪くなった路面を、タカはとにかく注意深く走りました。ドライバーは、全てのステージで自分の速さをフルに発揮したいと思うのが普通なので、きっと相当我慢を強いられたはずです。しかし、ドライコンディションの路面では存分に速さを示し、特に日曜日のドライビングは全体的にハイレベルでした。
■ラリー・モンテカルロの結果(h:時間、m:分、s:秒)
1 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC)
3h10m57.6s
2 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC)
+12.6s
3 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC)
+14.3s
4 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (フォード フィエスタ WRC)
+3m09.0s
5 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC)
+4m17.2s
6 セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ (ヒュンダイ i20クーペWRC)
+5m04.7s
7 勝田 貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリスWRC)
+11m27.9s
■次回のイベント情報
今季ヤリスWRCで、WRC8戦に出場する勝田の次戦は、2月13日から16日にかけて開催予定のWRC第2戦「ラリー・スウェーデン」です。シーズン唯一のフルスノーラリーであるスウェーデンは、2018年に勝田がR5カーで初めてWRC 2カテゴリー優勝を果たした、記念すべき1戦です。しかし、ヤリスWRCでの出場は今回が初めてとなるため、勝田にとっては新たなるチャレンジとなります。
TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラムはパートナー企業の皆さまによって支えられています。
関連リンク
-
成長を続ける勝田貴元、2020年シーズンはWRC8戦にヤリスWRCで参戦
TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジプログラムは、2020年も継続して重要なステップを踏みます。日本人ドライバーの勝田貴元はFIA世界ラリー選手権(WRC)の8戦にヤリスWRCで参戦します。 -
セントラルラリー愛知・岐阜2019
ヤリスWRCで参戦の勝田貴元、母国開催のWRCテストラリーで総合優勝
11月7日(木)~10日(日)にかけて、2020年のFIA世界ラリー選手権(WRC)開催に向けたテストラリー、「セントラルラリー愛知・岐阜2019」が、愛知県と岐阜県を舞台に開催され、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの勝田貴元/ダニエル・バリット組がヤリスWRCで参戦し総合優勝を果たしました。また、TOYOTA GAZOO Racingで全日本ラリーJN2クラスチャンピオンの眞貝知志/安藤裕一組(TGR Vitz GRMN Rally)は、初日にLEG離脱(デイリタイア)するも2日目に再出走を果たし、ベストタイムを刻みながら、クラス6位で完走しました。 -
勝田貴元、ヤリスWRCでのWRC出場2戦目で大きな成長を遂げる
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、10月24日(木)から27日(日)にかけてスペイン北東部カタルニア地方のサロウを中心に開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦ラリー・スペインに、コ・ドライバーのダニエル・バリットと共にヤリスWRCで参戦しました。勝田にとっては第10戦ラリー・ドイチェランド以来2回目のWRカーによるトップカテゴリーチャレンジとなり、メカニカルトラブルに見舞われるも、今回も全てのステージを走破。総合39位で完走を果たしました。