TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム 勝田貴元、難関ラリー・エストニアで総合5位を獲得

2022.07.18(月)- 17:00配信

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、7月14日(木)から17日(日)にかけて、エストニアのタルトゥを中心に開催された、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第7戦「ラリー・エストニア」に、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンと共に出場。降雨で非常に困難なコンディションとなった超高速グラベル(未舗装路)ラリーをしっかりと戦い抜き、総合5位でフィニッシュしました。

勝田・ジョンストン組
勝田・ジョンストン組

2020年に初めてWRCとして開催されたラリー・エストニアは、地理的に近いフィンランドのWRCラウンドと同様、非常にハイスピードなグラベルラリーです。ただしステージの路面は全体的にラリー・フィンランドよりも軟らかく、同じステージを2回目に走る際は非常に深い轍が刻まれ、ドライビングを難しいものにします。さらに、今年に関しては開幕前から悪天候となることが予想され、実際、金曜日以降は毎日午後に局地的な降雨があり、グリップレベルが目まぐるしく変化。非常にトリッキーな路面での戦いとなりました。

勝田は、これまでにWRC開催ではない年のイベントも含めると、ラリー・エストニアには4回の出場経験がありましたが、様々な理由によりまだ一度も完走したことがありませんでした。昨年は序盤総合3位につけながらも、ジャンプの着地の衝撃で当時のコ・ドライバーが首に違和感を覚え、大事をとってリタイアを選択するなど、速さを結果として残すことができませんでした。

勝田にとって5回目のチャレンジとなる今年は、14日の木曜日の夜に行なわれたオープニングステージで7番手タイムを記録。フルデイでの戦いとなった15日金曜日のデイ2は、トリッキーな路面コンディションで自信を持って走ることができず、確実性を重視したアプローチでステージを走行。終盤にかけてペースを上げ、総合7位につけました。16日土曜日のデイ3はさらにペースが良くなり、5番手タイムを2回記録。総合5位に順位を上げました。そして迎えた最終日17日の日曜日は、SS20とSS23で3番手タイムを記録。どちらも同じステージでしたが、SS20はドライ、SS23はウェットとコンディションは大きく異なり、勝田は濡れて滑りやすくなった路面でも自信を持って攻めました。そして、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終のパワーステージでは、5番手タイムをマーク。総合5位フィニッシュで獲得した10ポイントに、ボーナスの1ポイントを加算し、ポジティブに難関ラリーを締めくくりました。

勝田はこれで、開幕から7戦連続で総合8位以上の成績を残し、7戦連続でポイントを獲得。全ラリーでポイントを獲得しているのは勝田以外では選手権をリードする僚友カッレ・ロバンペラのみであり、今シーズンの勝田は安定した走りを継続しています。

勝田貴元:今回は路面コンディションが非常にトリッキーで、なおかつ変化が大きかったので、どうなるのか判断するのがとても難しいラリーでした。そのような状況下で、ドライバーは迅速に適応しなければなりませんが、金曜日はそれができず自信を持つことができなかったので、とにかく賢く、問題が起こらないように乗り切ることを心がけて走りました。それでも、ラリーの終盤までにはかなり改善することができたと思います。土曜日の時点でもかなり良くなっていましたし、日曜日はクルマのフィーリングがとても良く感じられ、難しいコンディションであってもいいタイムが出ました。今後さらに改善すべき点を見つけなければなりませんが、次のラリー・フィンランドに向けて、セットアップやフィーリングの面で有効と思えるものを今回見つけることができたので、とても楽しみです。

ユホ・ハンニネン(インストラクター):最終的にはポジティブな週末になりました。リザルトは良かったですし、貴元のドライビングもどんどん良くなっていきました。彼は序盤苦戦してタイムを失ってしまいましたが、それでも今回もまた我慢強く走れたのは良かったと思います。本当に難しいコンディションのラリーでしたし、グリップレベルが何度も大きく変わるような状況が、彼にとっては最も大変だったと思います。まだまだ改善できる部分はありますし、次のラリー・フィンランドでも雨が降れば同じようなコンディションになる可能性があるので、どうすればもっと自信を持ってドライブできるようになるのかをこれから考える必要があります。

ラリー・エストニアの結果

  1. 1 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    2h54m29.0s

  2. 2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +1m00.9s

  3. 3 オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID)

    +1m55.7s

  4. 4 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID)

    +3m53.3s

  5. 5 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +4m13.4s

次回のイベント情報

勝田の次戦は、8月4日から7日にかけてフィンランドのユバスキュラを中心に開催される「ラリー・フィンランド」です。今回のエストニアと同様、超高速グラベル(未舗装路)イベントであるフィンランドは、現在フィンランドに住む勝田にとって第2のホームラリーといえる一戦です。昨年は秋季の開催となりましたが、今年は本来の開催時期である夏季に戻り、盛夏のフィンランドの森で僅差を競う超高速バトルが展開されます。