本ラリーは、イタリアターマックラリー選手権の一戦として、イタリア北部に位置するトレンティーノの山岳部を舞台に開催され、金曜日の夜に10.15kmのスペシャルステージ（SS）でスタート。翌土曜日は金曜日と同じステージ2本を含む5つのSSを走り、2日間の合計92.29kmで競われました。

大竹、小暮、山本は、それぞれ日本国内でのターマックラリーの経験はあったものの、欧州でのターマックラリー参戦は今回が初めての経験となり、さらなる成長をする機会でした。また今回は、天候の変化が激しく、完全なドライから完全なウェットコンディション、時にミックスという状況の変化を経験することとなりました。

3選手がエントリーしたRally4クラスには19台が参加。接戦が繰り広げられる同クラスで、3選手揃って最初のステージから地元の選手に対しても競争力あるタイムを記録しました。

山本・テイスコネン組は、金曜日の夜、暗く、ウェットコンディションのSS1でクラス2番手のタイムを記録すると、土曜日もSS4とSS7の2本のステージでクラス3番手タイムを記録し、クラス5位でラリーを終えました。小暮・ルフティネン組はウェットとドライの入り混じった最終ステージのSS7でクラス2番手の好タイムを出したことで順位を一つ上げ9位、逆転を許した大竹・サルミネン組がクラス10位でラリーを終えました。

小暮ひかる：今回のラリーはとても楽しいイベントでしたが、タフでチャレンジングでもありました。天候が常に変化し、いくつかのステージではドライとウェットが混在する状況でとても難しかったです。事前テストではウェットコンディションは経験していなかったので、そこもチャレンジになりました。今回一番重要なのはマイレージを稼ぐことだと思っていたので、マージンを残して走ったことで少しスローになってしまうことがありましたが、最終ステージでは少しプッシュし良いタイムを出すことができました。

大竹直生：欧州での初のターマックラリーとしては良かったと思います。変り続ける天候の下での運転は簡単ではありませんでしたが、これまでと全く異なる経験ができたことは素晴らしかったですし、楽しむことができました。日本でターマックラリーの経験はありましたが、道もクルマも違い、今回は前輪駆動でのターマックという新しい経験でした。少し慎重に行き過ぎるところがあるので、自分の最大の改善点は、正しいブレーキングポイントを見つけることだと思いました。

山本雄紀：今回の目標はできるだけ多くのマイレージを稼ぐことだったので、しっかりと完走ができてとても嬉しく思っています。路面が刻々と変化し、特にドライとウェットが混在するステージでは、道の状況を読み、グリップの効きを見極めることがとても難しかったです。今回のラリーで学んだ一番のことは、自分の目で見える状況に応じてブレーキやアクセルの正しいポイントを適応させていく必要があるということです。

ミッコ・ヒルボネン（チーフインストラクター）：初めてのターマックラリーに対する3選手のアプローチにはとても満足しています。彼らにとって新しいことばかりだった今回のラリーで最も大切だったのは、完走し、マイレージを稼ぐことでした。ですが、それだけにとどまらず、全員が地元ドライバーに対して競争力ある走りを見せてくれました。事前テストはかなりタフな内容だったのですが、全員落ち着いて本番に挑むことができました。金曜日の夜、SS1の直前に激しい雨になりましたが、山本がとても良い走りをしたのは印象的でした。土曜日の朝もまだ湿気が多かったのですが、大竹と、サーキットレースのバックグラウンドを見せてくれた小暮も、トリッキーなコンディションの中で良いタイムを出してくれました。3選手とも、ターマックでのペースノートについてはまだまだ学ぶべきことはありますが、全員終始安定しており、今回の経験によって次のターマックラリーはかなり楽になると思います。