TOYOTA GAZOO Racing WRC チャレンジプログラム 勝田貴元、大きな困難に見舞われるも速さを示す

2023.06.05(月)- 17:00配信

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、6月1日(木)から4日(日)にかけて、イタリアのサルディニア島北部で行なわれた2023年FIA世界ラリー選手権(WRC)第6戦「ラリー・イタリア サルディニア」に、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンと共にGR YARIS Rally1 HYBRIDで出場。デイ3でデイリタイアを喫するも、2本のベストタイムを記録するなど速さを示しました。

勝田・ジョンストン組
勝田・ジョンストン組

地中海に浮かぶ風光明媚なサルディニア島で開催されるこのラリーは、例年、気温が高く、太陽が強く照りつける荒れたグラベル(未舗装路)のステージが特徴です。しかし、今年はラリーウィークを通して天気が安定せず、強い雨も降り路面は非常に滑りやすく、なおかつ荒れている区間も多くあり、ドライバーたちに多くの試練を与えました。

前戦ラリー・ポルトガルでTGR-WRTのマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして「ワークスノミネート」された勝田は、トラブルにも関わらず非常にいい走りをし、速さを示しました。今回のサルディニアではセバスチャン・オジエが3台目のクルマのステアリングを握ったため、勝田はワークスノミネートを受けない立場での出場となりました。

6月1日(木)の夜にオルビアで行なわれたスーパーSSで、勝田は4番手タイムを刻みいいスタートを切りました。そして、本格的なグラベルステージが始まった2日(金)のデイ2でも勝田は高いパフォーマンスを発揮。SS2で4番手タイムを刻んだ後、SS3ではベストタイムを記録。総合3位に順位を上げました。SS4ではコーナーを曲がりきれず20秒程度を失い総合5位に順位を下げましたが、その後SS6で3番手タイムを刻むなど、速さを保ちました。

3日(土)のデイ3は、オープニングのSS8で終盤にウォータースプラッシュ(河渡り)を通過する際、クルマのフロント部分に大きなダメージを負ってしまいました。勝田はSS8を走りきるも競技を続行することは難しく、リエゾン(移動区間)でデイリタイアを余儀なくされました。

サービスパークでメカニックたちによって修理されたクルマで最終日のデイ4に再出走した勝田は、SS17で2番手タイムを、SS18では今大会2回目となるベストタイムを記録。ボーナスの選手権ポイントがかかる最終SSのパワーステージでは3番手タイムを刻み、総合順位は40位でしたが、ボーナスの3ポイントを獲得し、いい形で困難なラリーを締めくくりました。

勝田貴元:金曜日の朝スタートした時からペースは良く、2本目のSS3ではベストタイムを記録することができました。続くSS4はロングステージで非常に難しく、路面が滑りやすかったことでオーバーシュートしてしまいました。その後も走り続けることができたのはラッキーでした。しかし、土曜日最初のSS8ではウォータースプラッシュへのアプローチを誤ってしまいました。水深がかなり深く、なおかつスピードが少し高すぎたのでブレーキをかけて水の中に入ることになり、クルマに非常に大きなダメージを負って競技を続けることができなくなってしまいました。とても残念でしたが、これを教訓として今後に生かしたいと思います。日曜日はクルマのフィーリングがとても良かったので、パワーステージではプッシュし、ポイントを獲得することができました。このようないい形でラリーを終えることができて良かったです。次のケニアが今から楽しみですし、今年もいい結果を残せることを願っています。

ヤリ-マティ・ラトバラ(TOYOTA GAZOO Racing WRT チーム代表):非常に難しいラリーだったにもかかわらず、貴元は良いペースで走行し、スピードも備えていたことを嬉しく思います。ただ、小さなミスがいくつかあり、それは十分起こり得ることなので、彼とともに原因を調査分析し、将来に向けて改善するよう努めたいと思います。表彰台を狙えるだけのスピードがあることは分かっているので、あとは安定性を高めるだけです。最終のパワーステージでは3番手タイムを記録し、アタックすれば高いスピードを出せることを証明しました。これによって、貴元のお気に入りのイベントのひとつである、次戦ケニアを楽しみに待つことができるでしょう。

ラリー・イタリア サルディニアの結果:

  1. 1 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID)

    3h40m01.4s

  2. 2 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (ヒョンデ i20 N Rally1 HYBRID)

    +33.0s

  3. 3 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +1m55.3s

  4. 4 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +5m20.5s

  5. 5 アンドレアス・ミケルセン/トシュテン・エリクソン (シュコダ Fabia RS Rally2)

    +9m33.3s

  6. 40 勝田 貴元/アーロン・ジョンストン (トヨタ GR YARIS Rally1 HYBRID)

    +1h10m11.0s

■次回のイベント情報

勝田の次戦は、6月22日から25日にかけて、アフリカのケニアで行われる第7戦「サファリ・ラリー ケニア」です。この伝統的なグラベル(未舗装路)ラリーは、非常にハイスピードなステージもあれば、路面が荒れていたり軟らかい大量の砂に覆われている区間もあるなど、クルマにとっても選手にとってもタフな1戦です。勝田はこのラリーで2021年に総合2位に、2022年に総合3位に入るなど2大会連続で表彰台に立っており、とても相性の良いラリーといえます。