TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、2024年シーズンの初戦として、2月2日(金)から3日(土)にかけて開催されたフィンランド・ラリー選手権第1戦「アークティック・ラップランド・ラリー」に、GR Yaris Rally2で参戦。Rally2車両での初出場となるラリーで力強い走りを続け、完走を果たしました。
WRCチャレンジプログラムの2期生として、小暮と山本は最初の2年間を2輪駆動のRally4車両で戦い、実戦経験を積んできました。そして3年目となる2024年は、よりハイスピードかつパワフルな4輪駆動車両のRally2にステップアップ。Rally2は、WRCのトップカテゴリー・ラリーカーであるRally1に次ぐ、高いパフォーマンスを備えたラリーカーです。小暮と山本がドライブするクルマは、今年1月に開催された2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロで実戦デビューを果たしたばかりの、GR Yaris Rally2。彼らにとっては新たなる、そして大きなチャレンジとなりました。
アークティック・ラップランド・ラリーは、多くの強豪選手が出場するフィンランド・ラリー選手権の第2戦であり、北極圏の入り口であるロヴァニエミを拠点に12本、合計199.95kmのスペシャルステージ(SS=競技区間)で競われました。路面は全て積雪および凍結路であり、非常にハイスピードなスノーラリーとしても知られています。また、一日の終りには暗闇の中を走行するナイトステージも用意されました。
小暮と山本は一年前、このラリーにRally 4で出場しました。しかし、Rally2での出場となる今年は走行スピード域が大幅に上がるため、全てのステージを走りきり、できる限り多くの経験を積むことを目標にラリーをスタート。両名とも全ステージを走破し、その目標をしっかりと達成しました。
昨年に続き、コ・ドライバーのトピ・ルフティネンとコンビを組んで出場した小暮は、初日の金曜日から速さを示しSS3ではSM1クラス6番手タイムを記録。クラス9番手で金曜日を終えました。土曜日の午前中にはクルマの技術的な問題でタイムを失いましたが、サービスで問題が解決した後は順調に走行。柔らかい新雪に覆われた難しいステージや、全長32.65kmのロングステージを走破し、SM1クラス8位でフィニッシュしました。
一方、山本は、昨年をもってWRCチャレンジプログラムを「卒業」した勝田貴元とも以前ペアを組んでいた、マルコ・サルミネンを新たにコ・ドライバーとして迎え今シーズンをスタート。土曜日午前中のステージではオーバーシュートによりタイムを失いましたが、その後は良い走りを続けて挽回し、SS10ではSM1クラス4番手タイムを記録。小暮と1.7秒差のSM1クラス9位でRally2デビュー戦を終えました。
■ドライバーコメント
小暮ひかる:
まず何よりも、このラリーを完走することができて嬉しいです。始まる前は少しナーバスになっていましたが、全てが上手く行きました。GR Yaris Rally2のフィーリングはとても良く、結果にも満足しています。運転のリズムとクルマのフィーリングを掴むことに集中していたので、自分のスピードに関してはそれほど意識していませんでしたが、結果的に速さもあったので良かったです。GR Yaris Rally2に乗り換えてスピード域は上がりましたが、落ち着いてスムースに走ることができたので満足しています。路面が荒れていたり、滑りやすいコンディションでは少し苦戦し、特に金曜日のスーパーSSは手を焼きました。それでもシーズン最初のラリーでしたし、次のラリー・スウェーデンに向けて改善に集中したいと思います。
山本雄紀:
とてもいい経験になりました。GR Yaris Rally2で出場した初めてのラリーで、何もかもが新しくワクワクしていました。ラリーを完走し、全てのステージを走り切ることが今回の目標でしたし、絶対にやり遂げなければならないことだったので、達成することができて本当に良かったです。ラリー前のプレイベントテストでは非常にいいフィーリングが得られていたので、ラリー本番でも同じリズムをキープすることを心がけていました。もちろん、様々なコンディションに直面したため簡単には行かず、序盤は少し慎重になり過ぎました。しかし、ステージを重ねるごとに自信がつき、フィーリングもどんどん良くなって行きました。今回、いくつか異なるタイプのステージを走れたことは、ラリー・スウェーデンに向けていい予行演習になりましたし、次のチャレンジに向けて心の準備もできました。
ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):
ひかると雄紀にとって、エキサイティングな一週間でした。彼らは多くの新しいことに直面しましたし、新しいGR Yaris Rally2をドライブすることにもプレッシャーを感じていたはずです。また、彼らにとっては昨年8月のラリー・フィンランド以来となるラリー出場だったので、テストの数こそ多かったとはいえ、競技という点では長いブランクがありました。それを考えると彼らはよくやったと思います。ステージはグラベル(砂利)が多く出ているような難しいコンディションだったため、タイヤを少しセーブすることも考えなければなりませんでした。それでも、ふたりともプッシュできる時にはプッシュし、本当に堅実でスマートなドライブをしたと思います。一番の目標は新しいクルマでできるだけ多くの距離を走ることでしたが、ふたりとも非常にうまくやってくれました。ラリー・スウェーデンに向けての素晴らしい準備になりましたが、それはまた別のチャレンジです。それでも、タイヤマネージメントや、競技レベルのスピードでこのクルマを走らせる方法など、今回のラリーで多くの経験を積むことができたと思います。彼らがいいスタートを切ったことに、とても満足しています。
アークティック・ラップランド・ラリーの結果(SM1クラス)
1 Mikko Heikkilä/Kristian Temonen (Toyota GR Yaris Rally2)
1h41m02.8s
2 Teemu Asunmaa/Ville Mannisenmäki (Škoda Fabia RS Rally2)
+7.3s
3 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2)
+35.7s
4 Georg Linnamäe/James Morgan (Toyota GR Yaris Rally2)
+57.0s
5 Benjamin Korhola/Miikka Anttila (Hyundai i20 N Rally2)
+1m37.5s
6 Niclas Grönholm/Tomi Tuominen (Škoda Fabia R5)
+2m31.2s
8 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2)
+3m51.2s
9 山本 雄紀/マルコ・サルミネン (Toyota GR Yaris Rally2)
+3m52.9s
■次回のイベント情報
小暮と山本の次戦は、2月15日から18日にかけてスウェーデン北部で開催される、WRC第2戦「ラリー・スウェーデン」です。今回のアークティック・ラップランド・ラリーと同じように、雪と氷に覆われた森林地帯の未舗装路が舞台となるこのスノーラリーは、スウェーデン北部のウーメオーを中心に行われます。小暮と山本は昨年もRally4車両でラリー・スウェーデンに出場しましたが、今回はよりハイパフォーマンスなGR Yaris Rally2での出場となり、WRCのサポートカテゴリーである「WRC 2」に初めて挑みます。
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