TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム 2期生の小暮と山本がラリー・フィンランドに挑むも
アクシデントとメカニカルトラブルでリタイアを喫する

2024.08.05(月)- 17:00配信

TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、8月1日(木)から4日(日)にかけてフィンランドの「ユバスキュラ」を中心に開催された、FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」のWRC2クラスに、GR Yaris Rally2で参戦。フィンランドに活動拠点を置く彼らにとっては第2のホームイベントでしたが、小暮はアクシデントで、山本はメカニカルトラブルによりリタイアとなりました。

山本・サルミネン組
山本・サルミネン組

フィンランド中央スオミ県の都市、ユバスキュラを中心に開催されるラリー・フィンランドは、WRC全戦でもっとも平均速度が高いイベントとして知られています。森林地帯に設けられたグラベル(未舗装路)ステージは非常にハイスピードで、緩やかな超高速コーナーが続きます。TGR WRCチャレンジプログラムの2期生としてフィンランドに住み、経験を積んできた小暮と山本にとっては、日本に次ぐ第2のホームラリーといえるイベントですが、4輪駆動のRally2車両で出場するのは今回が初めてでした。そして今回、彼らがエントリーしたWRC2クラスに関しては、フィンランド国内選手権に出場している経験豊かなドライバーを含め、多数のRally2車両が参戦。非常にハイレベルかつ激しい戦いが繰り広げられました。

通常、路面がドライコンディションであれば、フィンランドの硬く締まったグラベル路面ではスムースかつ正確なドライビングが求められます。しかし今回は断続的に雨が降り続いたため、路面のコンディションが変わりやすく、グリップレベルを把握することが非常に難しい中での走行となりました。

金曜日の朝から始まった森林地帯での本格的なステージは、雨の影響でグリップが安定せず難易度の高いコンディションでしたが、小暮と山本は確実性の高い走りで午前中のループを乗り切りました。ところが、引き続き濡れた路面での戦いとなった午後のループで、小暮はサーリカスのステージでミスを犯しコースオフ。残念ながらリタイアを喫しました。

一方、山本は好タイムを何本か記録しながら金曜日を走り切り、土曜日に駒を進めました。土曜日のステージには、久々に復活したラリー・フィンランドを代表する超高速ステージ「オウニンポウヤ」も含まれ、山本はWRC屈指の難関ステージを初めて走行しました。午前中のループを走り終え、午後の再走ステージでのさらなるペースアップを予定していた山本でしたが、日中のミッドデイサービスで深刻なメカニカルトラブルが発見されたため、残念ながら午後のステージを走行することなく、残念ながらラリーからリタイアすることになりました。

小暮ひかる:
ユバスキュラにはもう2年近く住んでいるので、今ではホームラリーのような感覚ですし、全てが馴染み深いものに感じられます。サルディニアでのアクシデント後、数ヶ月運転をしていなかったので、初日は忍耐強く走り、良いリズムを見つけようと思っていました。午前中は天候が変わりやすく、完全にドライのところもあれば、車内からほとんど何も見えないくらい雨が激しく降っているところもあったので、慎重に走りました。それでも、金曜日の朝のループでは一度も危ない場面はなく、スピードも安定していました。サーリカスのステージはそれまで走る機会がなかったので、他のステージよりも慎重に走りました。それにも関わらず、ぬかるんだ路面のコーナーでミスをしてしまいました。コーナーに進入するのが僅かに遅れてクリーンなラインを通ることができず、コースを外れて横転してしまったのです。サルディニアでの負傷から回復した直後だったので、小さなインパクトではありましたが、翌日再出走することは叶いませんでした。

山本雄紀:
今年のラリー・フィンランドは、序盤から昨年よりもスピードが速く感じられました。きっと、オウニンポウヤがアイテナリーに組み込まれたからだと思います。フィンランドの道は今ではかなり慣れてきましたが、今回はRally2車両の出場台数が多かったので、きっと大きなチャレンジになるだろうと覚悟していました。とにかく自分のペースを築き、エストニアよりも良いリズムを見つけることに集中しました。金曜日は天候が変わりやすく、午後はパンクもしたので大変でしたが、それ以外は本当に順調でした。先月のエストニアと比較しても、自分のペースが向上していることを感じました。オウニンポウヤのステージは本当に素晴らしく、コーナーを5速ギヤでジャンプしながら駆け抜けるためには、通るラインを正確に覚えておく必要がありました。それでもフィーリングは素晴らしく、本当に楽しめましたし、来年はさらにプッシュできると確信しました。

ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):
ひかると雄紀は、彼らにとってはホームイベントのように思えるラリー・フィンランドに出場することに興奮していました。彼らはステージについては既に知っていましたが、路面のコンディションに関しては知らなかったので、非常に難しいチャレンジになりました。それでもポジティブな面も多くありました。今回の主な目標は、路面のコンディションがより安定しているときにWRC2トップドライバーたちとの差を縮めることでしたが、彼らはその目標を達成しました。残念ながら雄紀のリタイアを防ぐことはできませんでしたが、難しいコンディションの中、彼は賢明な走りを見せてくれました。一方、ひかるは金曜日の午前中は調子が良く、午後も同じペースで走り続ける予定でした。しかし小さなミスを犯し、彼は何とか対処しようとしましたが、残念ながらクルマが横転してしまいました。ラリーではしばしば厳しい状況に直面することもあります。エストニアを怪我で欠場したことも含めて、ひかるは今そのような局面に置かれていますが、きっと立ち直ることができるはずです。

山本・サルミネン組
山本・サルミネン組
小暮・ルフティネン組
小暮・ルフティネン組

ラリー・フィンランドの結果(WRC2クラス)

  1. 1 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Škoda Fabia RS Rally2)

    2h33m57.4s

  2. 2 Jari-Matti Latvala/Juho Hänninen (Toyota GR Yaris Rally2)

    +39.0s

  3. 3 Lauri Joona/Janni Hussi (Škoda Fabia RS Rally2)

    +1m13.9s

  4. 4 Mikko Heikkilä/Kristian Temonen (Toyota GR Yaris Rally2)

    +1m16.5s

  5. 5 Georg Linnamäe/James Morgan (Toyota GR Yaris Rally2)

    +1m51.5s

  6. 6 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2)

    +2m32.0s

  7. R 山本 雄紀/マルコ・サルミネン (Toyota GR Yaris Rally2)

  8. R 小暮 ひかる/トピ・ルフティネン (Toyota GR Yaris Rally2)

■次回のイベント情報

小暮と山本の次戦は、9月13日から14日にかけて、イタリアで開催される、「ラリー・ミッレ・ミリア」です。イタリア北部のブレシアを中心に、アルプスの麓の道を走行するこのイベントは、ターマック(舗装路)ラリーです。道幅が狭く、ツイスティなコーナーが続くテクニカルなステージが多くを占めますが、ワイドで緩やかなコーナーが連続するセクションも点在します。