TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge Program

Training Report Vol. 5 - SM Oili Jalonen Ralli(FRC Rd.6)/Rally Spain (FIA WRC Rd.11)

勝田貴元と新井大輝は、9月のフィンランド選手権参戦のあと、今シーズン最終戦となるラリー・スペイン(FIA世界ラリー選手権 第11戦)に参戦。今年学んだこと、努力してきたことを全て出し切るべく挑戦したが…

RALLY REPORT

SM Oili Jalonen Ralli(フィンランドラリー選手権第6戦)
2017年9月8-9日(SS数8本、総SS距離97.54km)
総合結果
#36 新井大輝/グレン・マクニール 総合3位 (Ford Fiesta R5)
#33 勝田貴元/マルコ・サルミネン 総合5位 (Ford Fiesta R5)

勝田・新井にとっては、シーズン初めのラップランドラリー(フィンランドラリー選手権第1戦)以来の選手権参戦となった。

ラリーはフィンランド南西に位置する街、ウーシカウプンキを舞台に8つのスペシャルステージ(SS)で構成され、総SS距離97.54km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離298.78kmを90台が競った。全体的に道幅が広く、硬く引き締まったグラベル(未舗装路)の高速ステージは、午前中は激しい雨でウェットコンディションとなったが、午後には雨は上がり、水はけのよいフィンランドの道はほぼドライコンディションとなった。

午前中の激しい雨に対し、適切なタイヤ選択をした新井・マクニール組はスタートから安定した走行を続け、SS3とSS5では2番手タイムを記録。午後のSS6では岩にヒットしてホイールが曲がり、8秒ほどタイムを失うアクシデントがありながらも、最終的に3位でラリーを終え、表彰台に上った。

一方、勝田・サルミネン組はスタート前にギアボックスにトラブルが発生し、試練の幕開けとなった。SS4までは5速から4速へのシフトダウンが困難なままの走行を強いられたが、落ち着いた対処で乗り切った。SS4の後のサービスでの修復後は調子を取り戻し、上位とのタイム差を徐々に詰め、5位でラリーを終えた。

  • 勝田/サルミネン組
    勝田/サルミネン組
  • 新井大輝
    新井大輝
Rally Spain(FIA世界ラリー選手権第11戦) - WRC2クラス
2017年10月5-8日(SS数19本、総SS距離312.02km)
総合結果
#38 勝田貴元/マルコ・サルミネン WRC2クラス 14位 (Ford Fiesta R5)
#40 新井大輝/グレン・マクニール リタイア (Ford Fiesta R5)

勝田、新井にとって今シーズン5戦目のWRCイベントであるラリー・スペインは、デイ1のグラベル(未舗装路)とデイ2、デイ3のターマック(舗装路)からなるWRC唯一のミックスサーフェスラリー。二人にとっては新たな挑戦でもあり、また本プログラムでの今シーズン最後のラリーとして、これまでのトレーニングの成果を発揮する集大成の場となるはずであった。

しかし、勝田はデイ1最初のSS1でコーナーを曲がりきれずガードレールにヒット。同ステージは走りきり、ステアリングアームの損傷は修復したものの、パワーステアリングのダメージにより走行継続を断念。SS2を前に早くもデイリタイアとなった。ラリー2ルールによりデイ2から再出走可能となった勝田は残る二日間、経験を最大限に得るために、完走を最重要視した丁寧な走りを貫き、クラス14位でラリーを終えた。

一方、新井はSS1、SS2でトップ3のタイムを記録するなど、スタートから良い走りを見せていたが、SS3でコースオフ。車両の損傷が大きく、リタイアを余儀なくされた。

  • 勝田/サルミネン組
    勝田/サルミネン組
  • 新井/マクニール組
    新井/マクニール組
勝田貴元選手
Takamoto Katsuta

ラリー・スペインのSS1、イメージミスで、少しオーバースピードでコーナーに入ってしまい、さらに滑りやすい路面に足をすくわれ、アウト側のバリアにヒットしてしまいました。デイ1は何が何でも生き残らなければと思っていたのに、デイリタイアとなってしまいとても悔しかったです。

デイ2、3の高速ターマックステージでは、はやる気持ちを抑え、セッティング等を試しながら、ミスなく最後まで走り切ることができました。かなりナーバスになってしまい自然なドライビングはできませんでしたが、これも僕にとって1つの経験であり勉強だと思いました。

この一年間、ポジティブな経験もネガティヴな経験も様々なことがありましたが、これからの自分にとってすべて必要だったと感じています。今年は大きく成長できた一年でした。ペースノートも考え方もドライビングも去年とは比べ物にならないくらい変わりました。ですが、まだまだミスがあったり、精神的に弱い部分があったりと未熟なので、自分のミスに言い訳をせず、今後も今以上にさらに成長していけるように頑張りたいと思います。

勝田貴元選手
新井大輝選手
Hiroki Arai

ラリースペインでは、レッキや事前のテストから自分の試したい内容や方向性をリストアップして臨みました。また、前回のラリーからリズムに乗れるペースノートの作り方のコツを掴めたので、今回もそれを心がけて走行しました。

今回のラリーはSS1から競争力あるタイムを出せて驚きました。これまでは初見のステージでは全く歯が立たなかったのですが、一本目から3番手タイムが出せて自信がつきました。準備段階で路面のイメージや良い方向性を見出すことができ、SS1から自信を持って走行できたからだと思います。この4ヶ月間、自分の課題であった、ラリーに対する気持ちの切り替え方がやっと自然にできるようになりました。ラリー本番の2週間前からコンディションを調整し、本番当日にモチベーションを最高の状態にする方法をフィジカルトレーナーやメンタルトレーナーから学びました。

結果としては、自分のヒアリングのミスでSS3でリタイヤしてしまい、調子が良かった分、悔しくて仕方ありませんが、ミスに向き合って改善します。走りきれなかったのが残念ですが、この4ヶ月間がむしゃらにラリーに向き合ってきて良かったです。今までで一番成長が実感できたラリーでした。

新井大輝選手
チーフインストラクター ヨウニ・アンプヤ
チーフインストラクター
ヨウニ・アンプヤ

最終戦のラリー・スペインは、ドライバーにとってもチームにとっても残念な結果となりました。新井については、最初はとてもよいスピードで走っていたのですが、二人とも早い段階でミスが発生してしまったことで、期待していた結果を得ることができませんでした。ですが、二人とも他のWRC2ドライバーと比べてもかなりいい位置まで来ていると思います。彼らに必要なのは、長丁場のラリーで環境や状況に左右されず集中力を保てるメンタル面での成長と経験です。

今シーズン、彼らは大きな成長を遂げました。ですが、特にメンタル面など、まだまだ未熟な部分もあります。両ドライバーにもチームにも、良いこと・悪いこと、様々な要素があった一年でしたが、一人一人が責任を持ち、ベストを尽くし、前に進み続けていかなければなりません。

チーフインストラクター ヨウニ・アンプヤ

Dear, reader…(読者の皆さんへ)

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