プレイドライブ x TOYOTA GAZOO Racing From Finland 輝く明日へ WRCチャレンジプログラム 2期生リレーコラム 第1~3回

第1回 大竹直生 編
フィンランドから初めまして!

 みなさん初めまして! TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の大竹直生です。
 今月から、TGR WRCチャレンジプログラム2期生の僕と山本雄紀、小暮ひかるの3人で、リレーコラムを書いていきますので、よろしくお願いします!
 僕たちは、2022年の4月半ばからフィンランドのユバスキラという街に住み、日々トレーニングを積んでいます。ユバスキラではそれぞれワンルームのアパートに住んでいて、僕にとっては人生で初めてのひとり暮らしです。自炊して、洗濯して、ご飯を食べてからお皿を洗って、部屋も片付けて……今は少しずつ慣れてきましたが、最初の数週間はバタバタでした(笑)。

 一番大変なのが、自炊です。日本でもほとんど自炊をしたことがなかったのに、フィンランドのスーパーマーケットで買い物をして、インターネットでレシピを調べながら、なんとか作っています。
 スーパーマーケットでは意外と日本の食品も売っていて、醤油やマヨネーズは普通に手に入れることができます。お寿司もたくさんあるので、わさびやガリなんかも売っていました。さらに、僕らの味方、アジアンスーパーがユバスキラには何店舗かあるので、そこに行けば日本の食品も置いています。先日、アジアンスーパーに行くと“あきたこまち”が売っていました。タイ米はよく売ってるんですが、正真正銘日本のお米が売られていたんです。その時はまだ、日本から持ってきたお米がたくさん残っていたので買わなかったのですが、いざお米が減ってきてアジアンスーパーに行くと、まさかの売り切れ……。どうやら、ずっと置いている商品ではないようで、在庫がある時に買わないとダメだったみたいです。ひょっとしたら、ものすごいビッグチャンスを逃したかもしれません……(涙)。
 気がつけばご飯の話ばかりになってしまいました。トレーニングの話に戻ります。トレーニングは基本平日に行われ、ドライビングだけではなく、ペースノートやフィジカル面のトレーニングもやっています。ここまで沢山のトレーニングをさせてもらえる環境を用意してくださったことに、感謝しかありません!  ペースノートトレーニングはすでに1000km以上も練習していますし、Rally4車両を使ったドライビングトレーニングも、ものすごい距離を走らせてもらっています。フィンランドの道は、走るのもそうですが、ペースノート作りがめちゃくちゃ難しい!! 超ハイスピードでクレストだらけ、全部のコーナーにコーションをつけたいくらいです(笑)。

 ペースノートのシステムも今までとガラッと変えて、去年の僕とはまったく別人のようなペースノートになっています。今ではフィンランド語もいくつかペースノートに入っています。日本語では表現が難しかったり、フィンランド語の方が短い言い方があるというのがフィンランド語を使う理由ですが、カッコいいからっていうのも少し入ってますね(笑)。
 みなさんご存じだと思いますが、フィンランドの道はクレストやジャンプだらけで、そのクレストやジャンプも全開で飛んで大丈夫なのか? このスピードでどれくらい飛ぶのか? どんな姿勢、向きで突っ込めばいいのか? というのがまだまだ分かりません……。何回も同じ道を走っていると徐々に分かってきますが、初めての道でレッキのスピードで判断するには、もっと経験が必要ですね。まだまだ伸びしろしかないというポジティブ精神で、これからもトレーニングを頑張っていきます!

フィンランドの道は超ハイスピードでクレストだらけ。日本では未体験な道ばかりですが、ポジティブ精神でこれからも頑張ります!

第2回 山本雄紀 編
元気にやってます!

 はじめまして! 今月号のコラムを担当する、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの山本雄紀です。できるだけ皆さんにフィンランドでの生活やラリー活動の様子が伝わるように書きたいと思います。よろしくお願いします!
 さて、4月にフィンランドのユバスキラに引っ越してから、もうすぐ3カ月になります。海外でのひとり暮らしや日々のスケジュール、そして半端じゃなく高いフィンランドの物価にも慣れてきた頃ですが、なかでも一番の大きな出来事といえば、6月末にあった僕たちのフィンランド国内ラリー選手権デビューです。さすがラリー大国なだけあって、その規模が本当に大きく、国全体でラリーがスポーツとして認知されているんだなということを実感しました。

 僕にとっては海外ラリー自体が初めての経験。テストではたくさん走らせてもらっているとはいえ、本番が始まる前はこれまでのラリー人生のなかで一番ドキドキしました。ラリーが開催されたのは、ユバスキラから西に200㎞ほど離れたところにあるセイナヨキという小さな街。フィンランドといえば、クレストやジャンプだらけの超高速グラベルのイメージがあるかと思います。実際、僕たちもユバスキラ周辺のそのような道でたくさんテストをこなしてきました。しかし、フィンランド国内でも地域によって道の雰囲気が違っていて、今回のセイナヨキはどちらかというとクレストなど縦のうねりは少なく、開けた野原の中にあるステージが多くて、とにかくペースノート作りが難しく感じました。というのも、林道であれば両サイドの木々からある程度は先がイメージしやすいのですが、野原だとそれが一切あてにならないからです。
 そんななかで始まったラリーは、夕日やダスト、雨といった様々な条件によりとてもチャレンジングな内容となり、ペースノート作りやドライビング、そして自分自身のコンディショニングといったところまで、たくさんの課題が見つかった収穫の多いラリーとなりました。

 絶対に完走することを目標にしていたので、多くの車両がリタイアしたなか、クラス4位完走で終えることができて本当にほっとしました。コ・ドライバーのミイカやチームの皆さんに支えられていることをあらためて実感し、本当に感謝しています。今は、ラリーで得た課題をもとに、焦らずしっかりと弱点を克服するため日々のトレーニングに励んでいるので、次戦でしっかり成長を見せられるように頑張ります。
 さて、普段の生活はというと……、毎日の夜ご飯は大抵家で自炊をしているのですが、日本から持参した5㎏のお米を早くも消費しきってしまいました。日本でひとり暮らしをしていた時は、こんなペースで消費することはなかったので甘く考えていましたが、こちらでは自分の家が唯一好きな日本食を食べられる場所なので、ついつい作りすぎてしまいます。そんなタイミングでヘルシンキに行く予定ができ、なおくんとひかるくんと3人で電車に揺られて行ってきました。ヘルシンキはこれまで素通りだったので、ちゃんと街を散策するのは今回が初めてです。行ってみるとさすがはヘルシンキ、日本人の方が経営されているレストランや食材店がいくつかあり、お米5㎏の追加入手に成功しました!
 ほかにも、生姜チューブや納豆、梅干しなどユバスキラでは恐らく手に入らない日本食材がたくさん売っていて、大量購入してしまいました。これで当分困らずに済みそうです(笑)。ヘルシンキでは、ほかにも無印良品があったり、ラーメン屋さんやスタバがあったり、終始感動しっぱなしでした。
 今回のコラムはこのあたりで。お米食べて元気をつけて、次のラリーに向け頑張っていきますので応援よろしくお願いします!
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

大学生の頃、バイトで数えきれないほど作ってマスターしたかつ丼。次ヘルシンキに行った時は、どんぶり鉢を探さないとですね(笑)。

第3回 小暮ひかる 編
楽しみつつ全力で取り組みます!

 皆さんはじめまして! TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム2期生の3人目として今回のリレーコラムを担当する小暮ひかるです。こういったコラムを書くのは初めてで緊張していますが、楽しく書いていこうと思います。
 誕生日の前々日に出国、というスタートから始まり、フィンランドに移住してから4カ月が経ちました。大学でひとり暮らしの経験はあったものの、海外では言語的・文化的な壁があるために最初の1週間は生活するのもやっとでした。街には見慣れない店ばかりで、さらには商品がフィンランド語で書いてあるので、買い物をしようにもどこに何が売っているのか分からない……。なんとか見つけたかと思えばクオリティの分からないフィンランドブランドの商品ばかり。「郷に入っては郷に従え」ということわざがありますが、そんなのはお構いなしに、見たことがあるという安心感で、日本で見かけるブランドのものばかり買いまくりました(笑)。そんな感じで生活用品をそろえたので、家の居心地と安心感はだいぶ高くなり、寝つきが移住時よりだいぶ改善されました。

 寝つきといえば、7月に入ってからフィンランドにも夏が訪れて日中30℃を超える日が出始め、なぜか夏服や扇風機がセールになっていたので購入したのですが、家に持ち帰る途中でも知らないおじさんに「夏はもう終わりなのにどうして買ったんだ」と話しかけられました。というのもフィンランドの夏はひとときで、8月になったら終わりらしいんです。日本的にはこれからが夏本番の時期なので、いくら北欧といえども寒くなるなんてありえないと思っていました。ただ実際、天候が悪い日や朝晩は長袖を着ていても本当に寒いですし、日中は日差しの強さで暑く感じますが気温自体はあまり高くないんです。気温は今後どんどん下がる方向で夏服の出番はほとんどなさそう。この間衣替えしたばかりなのに直さないといけないですね(泣)。
 さて、ラリートレーニングに関してはデビュー戦以降も変わらず日々トレーニングに励んでいます。WRCエストニアとWRCフィンランドのステージレッキと観戦はとても印象的な出来事でした。6月のデビュー戦を経て、あらためてペースノートの重要さと精度不足を認識し、改善に努めていました。今回2度のWRCレッキを通して、ステージの雰囲気だけでなく、2日間の長時間・長距離レッキでいかに集中力を保つかを学べました。実際に自分自身がステージを見て感じたことや作ったペースノートとWRCドライバーのペースノートやドライビングも比較できました。クルマは違いますが、例えば自分が想像していたブレーキングポイントやライン取りがWRCドライバーとは異なる部分が多くありましたし、自分の想像していたスピード域以上で走っているセクションもありました。また、ペースノートでは自分が表現に苦労していたところをWRCドライバーがどういった単語で表現しているのかを学ぶことができました。
 WRCイベントを生で観戦するのは初めてでしたが、両国のラリーファンの数の多さと情熱がすごく伝わり、あらためてラリーの人気度の高さ、認知度の高さを感じました。
 7月はWRCレッキ以外に少しだけ夏休みがあり、ヘルシンキでコ・ドライバーのトピ(ルーティネン)と日本食を堪能しました。日本食、本当に美味しかった……。
 そんな感じで以前よりレベルアップしてHPもMPも満タンのはずです! 今後も将来に向けて今何をすべきかを考えながら日々のトレーニング、イベントに楽しみつつ全力で取り組んでいく所存ですので、応援していただけるとうれしいです。あまり得意ではないですがSNSの投稿も頑張るのでよかったら気にかけていただけるとうれしいです(笑)。最後まで読んでいただきありがとうございました。
 次回はトップバッターに戻って大竹君です。

SS観戦は親子連れも多く、ラリーの人気をあらためて感じます。コ・ドラのトピは箸に苦戦。
斬新な持ち方を開発してました(笑)。