ダカールラリー2022レポート No.2 前半戦を終えて、アル-アティヤ/ボーメル組が首位を堅守

2022.1.8(土)- 18:00配信

サウジアラビアを舞台とし、元旦にスタートが切られたダカールラリー2022は、1月7日(金)のステージ6をフィニッシュし、前半戦を終了。サウジアラビアの首都リヤド近郊での休息日を迎えます。4台のGRダカールハイラックスT1+で今年のダカールラリー2022に臨んでいるTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)は、2019年にハイラックスでトヨタにダカールラリー初優勝をもたらしたナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組が、ステージ1に続き、ステージ4でも勝利。他のステージでも大きなタイムロスを喫することなく着実な走りを続け、前半戦を終えた時点で2位に48分の差をつけ、首位を走行しています。ベテランのジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が表彰台圏内と僅差の4位。ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組は序盤のタイムロスで総合順位は42位であるものの、ステージ5では初勝利を挙げました。シャミア・ヴァリアワ/ダニー・スタッセン組もステージ6でチーム最上位フィニッシュと速さを見せており、TGRのGRダカールハイラックスT1+はこの「世界一過酷なラリー」で4台が無事に前半戦を走り切りました。

【ステージ4】
1月5日(水)のステージ4は、アル・カイスマからリヤドへと向かう、競技区間465kmと、今大会最長のステージ。このステージ4では、ステージ1でステージ勝利を挙げて以来総合首位の座をキープし続ける、アル-アティヤ/ボーメル組が今大会2度目となるステージウィンを飾りました。

前日のステージ3で2位に入り、2番手からスタートを切ったラテガン/カミングス組は、ステージ前半好調でトップ争いを繰り広げていましたが、右後輪ハブの破損に見舞われ、アシスタンストラックを待っての修復を余儀なくされてしまいました。

ド・ヴィリエール/マーフィ組は中盤、遅い車両に追いついた際に、ダストで見えなかった岩にヒットしタイヤのパンクに見舞われましたが、その後は巻き返し、ステージ6位でフィニッシュ。総合順位で3位の車両に2秒差まで詰め寄りました。

ヴァリアワ/スタッセン組はパンクの他、ワイパートラブルや泥濘路でのスタックなど、苦戦を強いられましたがステージ25位でフィニッシュしました。

【ステージ5】
1月6日(木)のステージ5は、リヤドをスタートして再びリヤドへと戻るループステージで競技区間は395km。このステージでは、ラテガン/カミングス組がステージウィン。南アフリカクロスカントリーラリーチャンピオンとして、昨年からダカールに挑戦する期待のホープが、挑戦2年目にして初のステージウィンを飾りました。このステージで、ラテガン/カミングス組は2度のパンクと、ドアが閉まらなくなるトラブルに見舞われましたが、2位に約2分の差をつけてのステージ最速タイムで、その速さを証明しました。

前日のステージ4でトップ争いを繰り広げながら、ホイールハブの破損で大きく遅れたラテガン/カミングス組は、アシスタンストラックによる修復後、夜10時にようやくビバークへと戻って来ました。そして翌朝6時に寝不足でのスタートを切りながらも見事にステージ勝利を勝ち取って見せました。これでTGRはステージ4に続き2ステージ連続勝利となりました。

前日ステージウィンを飾ったアル-アティヤ/ボーメル組は先頭でのスタート。この日は、いつもは先にスタートする2輪クラスが別コースを走るため、コースを切り拓いていく役割となりました。あとからスタートしたライバルに追いつかれ、最後の100kmほどは一緒に走行し、そのライバルとほぼ3分差でのフィニッシュし、総合首位の座を堅守しました。

ド・ヴィリエール/マーフィ組はこのステージでパンクもなく着実な走りを見せ7位。ヴァリアワ/スタッセン組はパンクとナビゲーションミスでタイムをロスし、23位でフィニッシュしました。
なおド・ヴィリエール/マーフィ組はステージ2で発生したバイクとの接触事故に対し、5時間のペナルティを受け総合順位を33位まで下げることになりました。

【ステージ6】
1月7日(金)、休息日を前にした、前半戦最終日のステージ6もリヤドを起点とした競技区間348kmのループステージ。この日は、前日まで不運が続いたヴァリアワ/スタッセン組が後方スタートながらノートラブルでの好走を見せ、チーム最上位の7位フィニッシュ。ヴァリアワ/スタッセン組はこの結果、総合順位を18位へと上げました。

総合首位につけるアル-アティヤ/ボーメル組は着実な走りでステージ10位ながら、ライバルよりも前でフィニッシュし、総合での2位との差を48分54秒へと拡げて前半戦を終えることとなりました。

ド・ヴィリエール/マーフィ組はこの日14位でフィニッシュ。前日に受けたペナルティがFIAによる検証の結果撤回されたことを受け、総合4位に復帰。2位、3位とは僅か3分ほどの差となっており、激しい上位争いが繰り広げられています。

ステージ5で初勝利を挙げたラテガンはこの日先頭スタートの洗礼を受けることとなりました。2度のパンクに見舞われるなどでタイムをロスし、24分遅れの31位でフィニッシュしました。

前半戦を終えたダカールラリー2022は、1月8日(土)、リヤド近郊での休息日を迎えます。ドライバー/コ・ドライバーはこの1日の休息で、後半戦への英気を養い、メカニックは車両を完全な状態に整備します。そして1月9日(日)のステージ7より、1月14日(金)のジェッダでのゴールへ向け、激戦が再開されます。

ダカールラリー2022 ステージ6 終了時点の総合結果:

総合順位 ドライバー/コ・ドライバー(車両/チーム) 首位との差
1位 #201 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル
(GRダカールハイラックスT1+/TOYOTA GAZOO Racing)
4位 #207 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ
(GRダカールハイラックスT1+/TOYOTA GAZOO Racing)
51分56秒
18位 #233 シャミア・ヴァリアワ/ダニー・スタッセン
(GRダカールハイラックスT1+/TOYOTA GAZOO Racing)
2時間57分57秒
42位 #225 ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス
(GRダカールハイラックスT1+/TOYOTA GAZOO Racing)
9時間43分02秒

ステージ6終了時のコメント:
チーム代表 グリン・ホール:
今日のステージは非常にトリッキーで、特にナビゲーションは難しかったのですが、シャミアとダニーが真のペースを見せてくれました。パンクに見舞われることもなかった彼らはクリーンな走りでした。同様に、ナッサーとマシューも見事な走りで、まずまずのマージンを持っての総合首位で休息日を迎えることができました。ジニエルとデニスもハイペースでの走りを続けて上位につけています。先頭スタートのヘンクとブレットにとってはちょっと厳しい一日になってしまいましたが、大きなトラブルはありませんでした。全体的に見れば、ステージ6でのパフォーマンスには満足しています。

ナッサー・アル-アティヤ:
大変でしたが、良い一日でした。ナビゲーションが非常に難しかったのですが、マシューが今日も素晴らしい働きをしてくれました。我々はクルマもタイヤも好調でした。ステージ終盤は特に難しく、みんな我々のうしろについてきました。ラリー前半戦を、大きくリードして終えられることは非常に嬉しいです。後半戦もこのマージンを守るべく、集中して戦わなくてはなりません。

ジニエル・ド・ヴィリエール:
今日のステージはとてもトリッキーで、ナビエーションが難しく、終盤の砂丘では視界がとても悪かったです。我々は最後、みんなナッサーについていき、多くの車両が一緒にフィニッシュしました。振り返れば今日はパンク1回のみで、他に大きなトラブルの無い良い一日でした。

ヘンク・ラテガン:
我々にとっては厳しい一日でした。スタートは良かったのですが、コースを切り拓いていくのは困難でした。それでも序盤は良いペースで走れていましたが、峡谷に入ったところでコースを誤り、他の競技者と一緒に大きくタイムロスしてしまいました。正しいコースに復帰してからは追い上げましたが、川の近くで再びコースを見失いました。再びコースに復帰したあとは、2度のパンクに見舞われました。最後は砂丘越えで上位グループに合流してフィニッシュすることができました。

シャミア・ヴァリアワ:
今日はパンクもなく、トラブルにも見舞われずにクリーンに走ることができました。コース上のダストが酷かったので、フィニッシュ後に自分たちのタイムを聞いて驚きました。もっと遅れていると思っていましたが、想像以上の好タイムだったので、我々にとって良いステージでした。